前回の続きです。

 

1年前。2023年3月22日小学校の卒業式。桜の開花が早く満開を迎えようとしている。卒業式の前に、校庭でお別れ式が行われる。1年生から5年生までの在校生が作る花道を卒業生が歩く恒例行事。ここ数年は行われなかったり縮小されたり。在校生たちの卒業生に向けた「バイバーイ」の声が可愛らしく母はすでに涙目。マスク姿でのお別れ式。

そして、体育館での卒業式。卒業生、教職員、保護者と在校生の5年生が参列。前の年は在校生の参列が見送られたため、卒業生の娘にとって初めて体験する卒業式。卒業生の子ども達はマスクを外して入場。マスクをしている子も数人。保護者はマスク着用。

卒業証書授与も答辞も基本マスクはせず。歌う時だけ「卒業生はマスクをしましょう」というアナウンスがある。歌う時はステージの方を向いたままの後ろ姿。コロナ前は、在校生や保護者の方を振り向いて歌っていた。それでも。たとえ後ろ姿でも卒業式での歌声を間近で聴けて胸にくるものがある。卒業生退場の時は再びマスクを外し、晴れやかな顔で体育館を後にして行った。

「私たちが思っていた学校生活ではなくても、この6年間の思い出は私たちだけの大切な宝物です。」

卒業生代表答辞の言葉。

 

コロナが始まった直後の2020年の卒業式。この年も桜の開花が早く、卒業式で満開を迎えようとしていた。

当時小学校6年生だった子ども達は、突然始まった休校で小学校生活最後の1ヶ月を奪われた。卒業式も簡略化。保護者の参列もなく。卒業式の後、先生方が校庭で歌を歌ってくれたと聞いた。その後も休校が続き、中学校生活が始まったのは6月になってから。

コロナという存在がまだよくわかっておらず、何が正解なのかもわからず。リモートというシステムも定着しておらず。手探りでまるまる3年間コロナ禍を過ごした。

 

2023年5月、新型コロナウィルス感染症が5類に移行。インフルエンザと同じ扱いになった。

それまではコロナに感染すると特定の場所に隔離されたり行動制限の期間が長かったり。感染していなかったとしても濃厚接触者として行動が制限されたり。

私が感染すると、濃厚接触者として子ども達の行動に制限がかかってしまう。子ども達の様々な機会を奪ってしまう。そんな不安がとてつもなく大きかった。

コロナウィルスそのものがなくなる訳ではないけれど、5類に移行することで気持ちの上での負担はかなり軽くなった。

小学校での様々な行事が中止になる経験をした娘は中学生になり、体育祭や合唱祭など学校行事を楽しんでいる様子。

中学校の修学旅行が中止になった息子も高校2年生になり、高校で修学旅行を経験することができた。それも沖縄。羨ましすぎる。

 

 

そして2024年3月。寒の戻りからか桜は蕾のまま開花の時を待っている。新型コロナウィルスが5類になって初めての卒業式の季節。全てが元通りというわけではないけれど5年ぶりに通常の卒業式。マスクは自己判断、つけてもいいしつけなくてもいい。

小学校の卒業式を迎えた子ども達はいつも通り、でもお洒落をして(お洒落をさせられて)ちょっと照れくさそうに卒業式へ向かっていった。

 

小学生も中学生も高校生も、これまで生きてきた多くの時間をコロナ禍で過ごした子ども達。

どうか楽しく輝かしい日々が待っていますように。

 

 

2023年2月に高田和明先生が他界されました。

2023年5月に奈良謙先生が他界されました。

お二方とも学生時代に多くのことを教えてくださり、一緒に楽しい時間を過ごしてくださいました。沢山の学びをいただきました。

コロナ禍でお会いできる機会がなくなり時間が過ぎていく中、再会できないままお別れとなってしまいました。

お二人と過ごさせていただいた楽しい時間、忘れません。改めてご冥福をお祈りいたします。

高田先生、奈良先生、本当にありがとうございました。

 

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