この春、最寄り駅にエレベーターとエスカレーターが設置されました!バンザーイ!バンザーイ!!バンザーイ!!!

変なテンションですみません。私が住んでいる最寄り駅の北口側には、長年エレベーターもエスカレーターもありませんでした。40段以上ある急な階段を昇るか、エレベーターやエスカレーターを利用したいなら(時々開かずの)踏切をわたって南口側に行くかしかありませんでした。若いクセして(たいして若くもありませんが)エレベーターとかエスカレーターとかに頼るなよというお声も聞こえてきそうですが、マッシー通信を書きはじめて15年。このエレベーターエスカレーター問題とは長いおつきあいなのです。ここでは文字数が多くなるので勝手にエレエス問題と命名させていただきます。
初めて私がエレエス問題と出会ったのは、2004年のことでした。マッシー通信を書きはじめて1年目のことです。私はまだ子どもはおらず、妊娠もしていませんでした。アメリカで子どもを産んだ日芸の友人Mさんが赤ちゃん連れで帰国したときのこと。ベビーカーで移動する事の難しさ、大変さを思い知らされました。ベビーカーの大敵が段差であることを体感したのです。
連載9「はじめての日本」
それから2年後、私は妊娠しました。日に日に大きくなるお腹を抱えて、急な階段の昇り降りをしなければならず、エレエス問題の当事者となりました。
特に階段を降りることの恐怖といったら。つま先が見える状態で階段を降りられるのって幸せなことなんですね。
連載32「怖いものだらけ」
そして生まれて初めての子育て。ベビーカーでの移動が日常になりました。駅北口の40段以上ある急な階段をベビーカーごと抱えて昇るなんてことできません。南口のエレベーターに辿り着いても、我れ先にとエレベーターに乗り込む自由に階段を登れる人。待っても待っても乗れないエレベーター。
そんな経験からコラムも書きました。連載39から抜粋です。
「ベビーカーを使うようになってからエレベーターを利用する事が多くなりました。ふと、以前取材した方の話を思い出しました。
『まず、金魚鉢のような入れ物を思い浮かべてください。そこにコブシぐらいのゴツゴツした岩を入れます。次にもう少し小さい石を入れます。まだ隙間があるので今度は砂利を入れます。もうこれ以上入らないと思ったら、最後に金魚鉢の口ぎりぎりまで砂を入れます。もう入らないと思うでしょう?いえいえ、まだ入ります。水を入れるのです。これは何を意味しているか解りますか。もう入らないと思ってもあきらめるな?いえ違います。大きいものから入れなさいということです。最初に砂や水を入れてしまったら、岩は入らなくなってしまいますよね。』物事は大きなことから取り組んだほうがよいというたとえ話ですが、私はエレベーターに乗る時にこの話を思い出すのです。岩は車いすや体の不自由な人、お年寄り、ベビーカーなど。エレベーターにまず乗せるべき人たちを意味していると思うのです。」
連載39「あなたは岩、石、砂利」
新しくできた北口のエレベーター。いいなと思うのは両サイドに階段があることです。真ん中にエレベーターがあって、東と西に向かう階段がそれぞれああります。この配置だと本当に必要な人だけがエレベーターを利用できます。自由に歩ける人は東と西の階段を使えばいいですし、その方がエレベーターを待つよりも早い。人の流れがスムーズです。階段はかつての43段から52段になりました。段数は増えましたが、そのぶん緩やかな傾斜になっています。
一方南口は東にエレベーター、西に階段、それぞれ1つずつです。東側に降りたい人がエレベーター前に溜まってしまい、ベビーカーが後から来ても知らん顔。自由に階段を降りられる人が我れ先にとエレベーターに乗り込んでいました。そもそも思いやりの気持ちがあればいい話しですが、エレベーターの配置にも問題があったのですね。
さて、様々な駅でエレエス問題は解決しつつありますが、あらたな問題が。エスカレーター片側空け問題です。エスカレーターの片側を空けるのがマナー、と定着してしまったアレ。結論として空けるのは間違いなのですが、間違いがマナーとして定着してしまっているという不思議なケースです。子どもがエスカレーターに乗っている横をものすごい勢いで駆け下りられると怖い。でも私も片側空けがマナーと勘違いしていた時期もありました。
ここまで定着してしまったことがどうやって本来の使い方に戻るのか、これから注意して見ていきたいと思います。
 
2018年5月10日
増子瑞穂
 
一般社団法人日本エレベーター協会

「エスカレーターの安全基準は、ステップ上に立ち止まって利用することを前提にしています」

●かつての急な階段

●エスカレーターもついて階段は緩やかに

●エレベーターの両サイドには階段

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