スクリーンの映像を背に数名のプレゼンターが立つ・・・。
その一人一人の表情を読み取ることは出来ないがスーツ姿のシルエットがなかなか決まっていた。
発表はグループ代表によるメンバーの紹介、続いてプロジェクトにかかわる調査と分析結果、そして個人アプローチの発表へと続くパターンだ。

発表者は前に進み出てPC画面を覗き込み、原稿を読み上げる・・・。
暗がりの中、字ずらを拾うことに懸命で声のトーンが単調になりメリハリに欠ける。
勿論、視線を「聞き手」に向け、その反応を見るどころでもないだろう・・・。
また、自分の意見や言葉として十分咀嚼(そしゃく)していないための不安が、一層の緊張感を生んでいるようにも見える・・・。
しかし、上手くやろうとするための緊張感、不慣れの恐怖心や不安感は全ての人に共通する気持ちのたかぶり・・・。
「あがる」こと、人間としての向上心、自意識に繋がるもの・・・。

あがらずにプレゼンテーションを上手くやる!
そのために「十分な準備をする」ことが大切だと言うこと・・・。
集められた情報を自分のものにする。
自分の意見、自分の言葉になるまでの繰り返し。その繰り返しの「経験」と「慣れ」が必要だと言うことになります。

人前で「あがる」ということ・・・。
当然ながら、人間は人間に対して特に強く敏感に、そして複雑に反応するものであると言われています。
気心の分る仲間や知人には臆せず話せることも、相手が初対面であれば容易なことではなくなるのです。
相手の反応が分からないための時々刻々の「対応」と「調整」をしなければならないからです。
人と人のコミニケーシヨンは「ことば」だけでは無く、むしろ聞き手の眼に映る印象、つまり態度や顔付き、表情、言葉使い、手の仕草、服装、そして、発声の語調まで・・・。
むしろ、その方が大切だともいわれます。
人間が視覚的な動物であると言われる故でもあるのです。
相手の顔や態度を見ただけで、その人を判断し、値踏みしてしまう・・・。
つまり、聞き手の理性に働きかける「ことば」であっても、ひとは相手の印象や価値観で判断する「感情の動物」でもあるのです。
人は相手の態度を「読み」、感じ取って「反応」する。それに、また反応する。
良くも悪くも・・・。
その往復によって良い(悪い)人間関係はつくりあげられてゆくことになります。

プレゼンテイションを「上手くやりたい」「よく思われるものにしたい」・・・・。
人前であがらずにしゃべるという事は、知的であろうとする人間の全てに共通するもので、また苦手意識となっているものでもあるのです。
そのことを克服する、それはそれなりの努力を必要とするものなのです。

そのためのノウハウ書も多いが紙数の関係で、ここで紹介することは出来ません。
いずれにしても「そのための準備を十分に」し、自分なりの平常心を保つ方法を見出すことに尽きるのでしょう。

多くを経験し慣れること・・・。
あるいは、時に、開き直る!そのことで案外、「何とかなる」ことが分り、「何とかならない」こと、「失敗」であることも分る・・・。
成長する人間にとって受け止めるべき経験、それがまた大切なのです。

(30 July/2005 記)
・・・・・・・

追伸
:産学共同プロジェクトテーマ:「2010年の社会生活を予測・・・・」は、何より彼ら自身が生きる「いま」を十分に認識する事からはじまることになる。
デザインビジョンの獲得・・・。
常日頃からの問題意識が大切だ!と言うことです。

企業での「プレゼンテーション」は緊張した中でも、その「グループメンバーの連携」、「一生懸命」さが好感の持てるものであったと考えています。
勿論、全身で聴き、好意的な態度の「聞き手」であったと言うことにも感謝です。

「そのときの出逢いが人生を根底から変えることがある よき出逢いを」と言う相田みつをの言葉がある。
人間とは人の間と言う意味。人は人の関係によって人生を変えるとも言う。
クラスやグループの仲間、先輩後輩との寝食を共にした友人・・・。
人との出逢いを大切に・・・。
30年目の軽井沢セミナー、「デザインスキル」の習得と言う目標の他にそんな「人と人の繋がり」を意図したものでもある。
その繋がり、更に世代を超えたものにしたい!とも考えている・・・。

(31 July/2005 記)

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