タクシーが走り出すとすぐに「ホリエモンが捕まりましたよ・・・」と話しかけてきた。
株式取締法違反? 時代のカリスマが逮捕されたのだ!
「これでまた景気が悪くなるんでしょうかね・・・」と振り帰り気味に・・・。
バブル崩壊後の長い長い不況のトンネルには皆んなが辟易していた・・・。
やっと抜け出せるかと言う期待・・・。
かってのバブル時代を彷彿とさせる動きだと経済界の様々な指標や政府の発表にも注視していた。
ホリエモンやヒルズ族、あるいは数千万、数十億円を稼ぎ出したという主婦やフリーターに触発され、一攫千金(いっかくせんきん)を夢見た個人投資家がマウスを手に急増していた。一石二鳥(いっせきにちょう)、実利的に市場経済の勉強が出来るのだと学生たちも参戦したマネーゲームは日本経済を押し上げるばかりだった。
風声鶴唳(ふうせいかくれい)、強制捜査というショッキングな情報に狼狽した個人投資家が売りに売りを呼ぶアクセスで東証の受容量をはるかに超へて暴落、政治経済界にホリエモンショックを引き起こしていた。
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堀江貴文という名前、ライブドアーという社名、今は知らぬ者もいないが・・・。
球団買収に名乗りを上げたTシャツ姿の若者。そのことがマスコミに登場するはじめだったろうか?私も興味を持ってコラム:28「何か?が変わるとき」(’04/9月27日)に取り上げていた。
「若者の合理主義、独善的な生き方には不遜と見られかねない社会的風土があって、計画はスムースに運ばないだろう」と見ていた。
しかし、その後も経済界のルールや大人社会の常識をも意に解せずの行動には旧社会のしがらみにとらわれない若者として多くのマスコミは好意的に映像の主役とし、時代の寵児として祭り挙げていた。
若者は思うがままに生き、行動のすべてにマスコミが群がっていた。
資産は膨れ上がり、まさに人生ゲームやテレビゲーム感覚だったのだろう・・・。
IT・勝ち組のおごり・・・。深く善悪を考えることすら無かったと言うことだろう。

多感な時代にバブル経済の極みを知り、破綻を目にした堀江青年には、その後の生き方を左右する多くの教訓を得ていた。
怒られながら成長するという経験、さして汗することも無くベンチャー企業を立ち上げる。その虚業性・・・。
そのバーチャルリアリテイに多くの不確実な問題が潜んでもいた。
PCモニターや携帯のメール、音声をとうして余りにも大きい決断がなされる。しかし、その自覚がほとんど無かった。
「駄目なら駄目!と言ってくれよ・・・」
「それが悪いなんて書いてないじゃん・・・」という若者。
若者の独善的なゲーム論理?そのグレーゾーンの生き方は犯罪として解釈されるものだったのだ!。
TIME誌にはGAME OVERの文字があった。
(31 January / 2006 記)

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追伸:雑誌の表紙に見覚えのある顔が・・・。
その眼差しには鋭い光があった。
POPULAR SCIENCE誌の最新号 特集:超未来予測・THINK FUTUREに登場したホリエモンだった。
「理想的な未来を創造しません。未来は分からないほうが本当は楽しいはずです。
まあ、あんまり未来を予測することに私はモチベーシヨンが沸きませんね。
今見えているテクノロジーから想像される未来は、現在の哲学とか倫理とか宗教とかが意味をなさない世界になることは、分かりきっていますから、ある意味ナンセンスな気がします。それよりも、何も考えずに明日何が起こるのかドキドキわくわくしている方が幸せですね」
幾つかの質問のあとに「10年先に堀江さんが描く理想的な未来は?」という問いに答えたもの・・・。
「2005年を騒がせたライブドアー社長堀江貴文氏。日本の未来、世界の未来を彼がどう感じ取っているのかを率直に質問した。そして、2006年はわれわれをどう驚かしてくれるのか?」という前文には今日を予感させるものは無い。
人間にとっては明日のこと、まして、未来を予測することは難しい・・・。

宇宙旅行の商業化を夢見たホリエモン・・・。
宇宙船に乗り込み、満足げに微笑んでいた映像が印象的だった。
いま、彼の独房は宇宙船になぞらえているのだろうか?
早過ぎたという行動、その生き方を心静かに振り返って欲しいと思っている。
若者に、その時間は十分ある・・・。
2006年、まさにわれわれを驚かせてくれる事件であった。

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