基礎学力・・・
専門・デザイン力・・・
そして、社会人基礎力・・・
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人との接触の中で仕事をする能力として基礎学力や専門知識に加え、考え抜く力やコミュニケーション力、協調性、規律性、積極性などの「社会人基礎力」が職場で重要だと言われる一方、若者のそうした能力の低下が指摘されている・・・。
先日の読売新聞にそんな内容の特集記事を目にした。
これまでは大人になる段階で「自然に」身につくと考えられ、その育成は半ば「常識」レベルのこと見られていた。しかし、いまは日本社会の中でこうした能力を育てる仕組みが相対的に低下しており、明確な定義を与えて「意識的に育成すべきであろう・・・」と強調している。
ベネッセコーポレーションの調査でも大学生の「意欲」「説得力」「協調性」といった「社会的強み」が、1997年から2005年の間に全般的に低下してきていることを指摘する。
この「社会人基礎力」は「学力」と相関関係があり、企業は採用にあたって数値化しやすい「学力」のみによって評価すればよかった。
しかし、最近はその相関関係は低下しており、企業も「社会人基礎力」を独立した要素として重視しているのだという。
経済産業省は「社会人基礎力」についてトヨタ、ソニー、日立などの企業、大学、自治体、経済団体、労働組合など各界代表委員によってその定義、育成や評価、活用のあり方を探る「社会人基礎力に関する研究会」を開いているという。

欧米でも近年、「社会人基礎力」を意味する「ソフトスキル」が重視されているのだとか・・・。
これは先進国に共通する問題なのだ!

経済産業省/研究会による中間報告は「社会人基礎力」の内容と枠組みを発表している。
○前に踏み出す力(action)
・一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力
・主体性=物事に進んで取り組む力
・働きかけ力=他人に働きかけ巻き込む力
・実行力=目的を設定し確実に行動する力
○考え抜く力(thinking)
・疑問を持ち、考え抜く力
・課題発見力=現状分析し目的や課題を明らかにする力
・計画力=課題解決のプロセスを明らかにし準備する力
・想像力=新しい価値を生み出す力
○チームで働く力(teamwork)
・多様な人と共に目標に向けて協力する力
・発信力=自分の意見を分かりやすく伝える力
・傾聴力=相手の意見を丁寧に聞く力
・柔軟性=意見の違いや立場の違いを理解する力
・状況把握力=自分と周囲との関係を理解する力
・規律性=社会のルールや人との約束を守る力
・ストレスコントロール力=ストレス発生源への対応力
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これほどに項目を挙げたわけではないが、しかし、内容はそのまま「軽井沢セミナー」の目標であり、日常的な「デザイン演習」に求めたものであるといえる。(特に軽井沢セミナー小史としたコラム10~14に記述)
言葉を代えれば「デザイン演習」を通して「社会人基礎力」を学んでいたのだと言える・・・。
特集記事に眼を止めたのも丁度、今年度、受託研究の事を考えていたときだったのだ・・・。

その産学連携のプロジェクト、今年もデザイン力、スキルの修得と同時にソフトスキル=社会人基礎力についても更に意識した学ぶ場にしたいと考えている。
ID生諸君はそれらの内容を演習に求め、目標として1つ1つを大切に学んで欲しいと思っている。プログラムされた演習に全力で取り組んでもらいたいものである。
その効果は、学ぶ者自身の意欲、自覚次第でもある。
自らの為すべき努力を怠り外に目を向け、何かを求める事ではなく、目の前の演習に確りと取り組んで欲しいと考えている。
自ずとデザイン力と社会人基礎力が身につくことになるはずだ!

「青い鳥」を求めてさ迷うだけでは、得るものは無い・・・。
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人間の成長過程で脳は様々な情報を吸収し、咀嚼しつつ豊かな心をつくりあげる。
幼児の喧嘩やいじめ、傷つき傷つけ返す、その小さな応酬が人間を成長させる。
良いこと、悪いことも・・・。バランスの取れた情報が必要なのだ。
自分の心すら分からない人間が増加しつつあるいま、社会人基礎力が低下するのは当然のことだろう。

(February 28/2006 記)

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