いまや、世界最大の家電生産・輸出国でもある中国・・・。
テレビやDVD、エアコン、冷蔵庫、パソコンやディスプレー、そして、携帯電話など。生産するのは10数社の総合家電メーカーで、国内や諸外国への輸出で販売を競っているのだ。
それらのメーカが目指すのは、韓国のサムスンだと答える。
もはや、日本企業ではなく韓国の企業なのだ・・・。
サムスン社は、中国市場におけるプレゼンスが大きいこと、なにより、わずか数年で高級ブランドイメージに転換させ、世界的に大きなマーケット・シェアを獲得している。
まだまだ、発展途上ともいえる中国の家電メーカーにとっては、まさに憧れの的となるものだろう・・・。また、サムスン社は政府のバックアップで発展しており、中国の多くのメーカーもまた国有企業、学ぶことが多いと考えられることも理由だろう。
しかし、「品質第一! 効率第一!」と、作業の前に全員が合唱する中国のテレビ製造工場。それは日本式朝礼の風景でもあったのだ。

「日本製TV 米で苦戦」、「技術の優位性薄れる」・・・・
そんな大見出しの記事を先日の読売新聞が報じていた。
「米ラスベガスで開かれた世界最大の家電見本市『国際家電ショー(CES)』で、日本の電機メーカーは3D対応テレビなど先端技術を使った製品をアピールした。しかし、3D対応テレビは韓国、中国メーカーも既に展示しており、早くも日本勢の技術的優位は薄れつつある」と言うものだ。
「今年は日立製作所、パイオニアなどがCESへのテレビの出展を中止し、北米市場で日本メーカーの存在感は低下している」のだとも・・・。
サムスンは昨年、米市場でLEDをバックライトに使ったテレビで8割以上のシエアーを確保。インターネット接続機能付きテレビでも75%を押さえ、これまで日本が得意にしてきた高付加価値製品でも優位に立っているのだ。
日本勢は、次世代の3D対応テレビで巻き返しをはかると言うが、サムスンも今春からパナソニックと並び業界の先陣を切って3D製品を投入しているのだ。
「会場を訪れていたサムスンの李健ヒ前会長は、『我々は(日本より)基礎技術やデザインで勝っている』と競争に自信を示したのだ」とも・・・。
事実、「’09年1~9月の北米の薄型テレビ販売シエアーは、サムスンが26・9%(前年比3・1ポイントの伸び)、ソニーは14・3%(前年比3・7ポイントの低下)だった。
ある日本メーカー幹部は『もはや日本メーカーが追いつくのは難しい情勢だ』と嘆く。
「北米においては日本の高い技術力と言うイメージは、すでにない」のだ、と。

中国テレビメーカーが目指す第2、第3のサムスン・・・・
後発メーカーのさらなる発展進出の方向として、当然ながら3C(Consumer, Computer, Communication)。液晶パネルのモジュール、半導体の生産なども考え、また、欧米のメーカーを買収し、そのブランドや生産工場、研究開発センターを活用すると言う展開もある。例えば、中国のTCLはドイツSchneider、フランスのThomsonを買収しメキシコ、ポーランドの工場で生産、Thomsonなどのブランドで欧米への輸出を行っている。
また、海外の既存工場と契約してOEM生産を行い、自社ブランドの委託と他社ブランドでの受託を行う。OEM生産を通して中国のテレビメーカーは海外での販売拡大と国内からの部品輸出の拡大を図るのだと言う。
しかしその中国と言えども、利益率が低く、経営的な困難に直面することもあるのだとか。
経営環境や海外市場の変化、コスト面での賃金が大幅に上昇し平均月給は12.6%上昇、最低賃金も17.6%引き上げられている。また、世界的な資源・エネルギー価格の高騰の影響で原材料や部品調達コストも大幅に上昇。電力不足により多くの企業の稼働率が低下し、加速する元高は輸出コストを上昇させる、など・・・。
途上メーカーのモノづくり基盤、様々な優位も条件が揃うと、いよいよその実力が問われ競わざるを得なくなるのだ。

製品の二極化・・・・
初めてその機能、快適さを実感し、所有する喜びを持つ製品。基本的な機能のみで大量生産、ローコスト化をはかる必要がある。もう一つは、高機能、高品質で豊かさを実感できる喜びを持つ製品であり、富裕層をユーザーに製品の差別化を図るが、企業間には技術力、品質・生産力の差は少ない。
先行メーカーにとっては、自ら首を絞めるということになるのだが・・・。
開発し、あるいは、専業メーカーが開発した高性能の生産マシーン・システムを導入されると、後は、マシーンやソフト次第ということになる。熟練の技は無くとも、我が国と同等ともいえる高品質製品を造ることが出来てしまうのだ。

自在に! 奔放に! 大胆に発想する・・・・
21世紀の世界は市場構造が激変し、技術の革新力が企業存続の生命線になるのだと言われている。
また、製品はビジュアル・アイデンティティやブランド戦略の中核となるもの、その存在を確かなものとする強みを捉え、個性として具現化することがデザインには要求される。デザイナーの際立つ独創性と常識を突き抜ける自在で奔放な発想を大切にしたいものだ・・・。
(2010/1・30 記)
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<参考文献・資料など>
・週刊:ダイヤモンド21年12月28
・週刊:東洋経済21年12月28
・富士通総研レポート(’06~’08)
・読売新聞22年1月12日
・朝日新聞22年1月30日
・メイドインジャパンの命運(NHKスペシャル1月24日 放映)
・その他

日本のグローバル・ブランドTOP‐30・・・・
世界的にブランドコンサルテイング会社である株・インターブランドジャパーンより、グローバルな事業を展開する日本企業のブランド力についてのランキングが発表された。
日本企業は、これまで企業間の切磋琢磨する中で品質・技術力、デザイン力、価格などの競争によってMade in Japanとして世界的に評価される企業ブランドをつくり上げてきた。
しかしここ数年、アジアの製品生産国との間に差別化は困難になるという非常に大きな課題にも直面し、低価格化に市場を失っているがブランデイングが重要なのだと・・・。

2010 年度のランキング ・・・こちらをご覧下さい。

ジャパンブランドが、一瞬で揺らぐとき・・・・
「トヨタ離れ進む米国」、最近のリコール問題と読売新聞が報じ、「安全への感度が生命線だ」と朝日新聞の社説が警鐘を鳴らす・・・。
日本のトップブランド・トヨタ、アクセルペダルやフロアーマットによる不具合が出たトヨタが連日ニュースに取り上げられ、世界的な問題となっている。
米部品メーカーCTS社製だという部品は米国、カナダ、欧州、中国など460万台超のリコール。トヨタ社への信頼性を失わせ、長年の努力で培ってきた日本へのブランドイメージが一瞬で揺らぐことになった。
トヨタの急速なグローバル化のひずみであり、厳しい品質管理の手法が海外展開の現地社員やアメリカの部品メーカーに浸透しない状態が生まれたこと、自信過剰と、気のゆるみがあったのでは、とも云われている。
ホンダも、また欧米で65万台のリコールが・・・。
この国の未来を託す政治家の観念的な施政演説、聞きながら不安は一層つのるものに・・・。

Fortune Global-500・・後退する米英企業・・・・
2009年7月8日に公表された「Fortune Global 500」ランキングは、金融危機の影響を色濃く反映し、地域別では、北米、欧州、アジア、その他の地域でそれぞれ155社、179社、136社と30社がランクイン。全体として北米企業は大きく後退し、アジア企業は著しく台頭した。 国別では、米国、日本、フランス、ドイツ、中国、英国が上位にランクインしたが、金融危機の影響が大きい米国と英国がそれぞれ13社と8社も減った。他方、中国、日本、ロシア、ドイツはそれぞれ8社、4社、3社、2社増えた。製造業を中心とする日本、ドイツや国有経済のウェイトの高い中国やロシアが逆に前進している。(当該ランキング評価はドルベース、円高や元高など為替の影響も要因である)

直近5年間 Fortune Global 500における主要国企業数の変化・・・・
米国  日本 ドイツ 中国  インド ロシア ブラジル 韓国
2008年 140  68   39   37   7    8   6    14
2007年 153  64   37   29   7    5    5    15
2006年 162  67   37   24   6    4   5    14
2005年 170  70   35   20   6   5 4     12
2004年 176  81   37   16   5    3   3    11
出所:CNNMoney.com

また、フランス(+1社)、スイス(+1社)、カナダ、韓国(-1社)、スペイン(+1社)、イタリア、オーストラリア(+1社)、インド、スウェーデン、ブラジル(+1社)、台湾はそれぞれ40社、15社、14社、14社、12社、10社、9社、7社、6社、6社がランクインし、「Fortune Global 500」でのプレゼンスは安定している。ただし、BRICsの中でインドは唯一ランクイン企業数が期待されたほど増加しなかった国であった。さらに、イスラエル、ハンガリー、ベネズエラは初めて1社ずつランクインした。

日本製中古家電も高評価・・・・
我が国では、まだまだ使える家電製品などが大量に捨てられている。日本では不要とされるそれらの「もの」も、戦乱や貧困に苦しむアフガニスタンやナイジェリアといった国々に輸出されると立派に使える商品になるのだ。そんな日本製家電、その品質の良さ、堅牢性は中古品としても、改めて評価されているはずだ。

世界健康意識調査・・・・
世界最長寿国である日本では、自分の健康を「非常によい」9%あるいは「よい」39%と感じている人が半数に満たない48%だった。この割合は、『世界健康意識調査』による23 か国中、カザフスタン(40%)に次いで最も低い。
また、「良くない」と感じている人は11%で、ポーランドに次いで2番目に高い。
日本人らしいと思うのだが、他国の人々に比べ、自分の健康状態に対して懐疑的で、不安を感じている人が多い。この健康に対しての自信のなさが、健康に配慮させることになり、平均寿命が世界最高であることの一因となっていると考えられる。
(InstituteS IriS日本メンバー(株)スミスが’09年 調査を実施)

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