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岡田幸穂さん<ノンデザイナーズ>(S40年度卒)からの
                   
最近作品の報告(01/31/2008)

平成20年1月16日から18日まで東京ビックサイトで開催されたインターネプコンジャパンに出展されたマランツ・エレクトロニクス(本業はオーディオ)のU22X-350が最新の仕事です。
この展示会でのマランツのブースは5〜6年前から全てノンデザイナーズのデザイン担当した製品で占められています。

マランツのU22X-350は電子基板の外観検査装置で、このシリーズは今や世界中に「にーにーえっくす」で通る高い知名率を持っています。
既に高い市場占有率を持つ従来製品に対して新製品による市場のカーニバリズムを避けるため、この製品は日本に先駆けて1年程前にヨーロッパ・アメリカで発売が開始されました。

新製品は半解放空間での検査が可能な工夫をこらしたもので、試作機はカタカナの「コ」の字型をしたカンチレバー・タイプのものでしたが、「上部先端にユーザーが荷重をかけた時の強度(主に振動)が気がかり」と言われました。
そこでデザインはカタカナの「フ」の字型をモチーフを提案することとして、ヨーロッパ調のデザインでまとめ上げました。

まだ着色前の試作機を、来日したヨーロッパのエージェントが見学したその第一声は「 Brilliant !! 」だったと聞かされ、またこの評価でマランツも成功の自信を深めたようでした。

色彩計画は弊社に就任直後の、野口サンティ温世(日藝OB・スエーデン国立美術デザイン大学・大学院卒)がヨーロッパ・アメリカ遊学の経験を生かして腕を奮いました。
野口の計画では、ヨーロッパのデザイン傾向を1イタリア・デザイン 2ドイツ・デザイン 3スカンジナビア・デザインと3区分し、アメリカもこの分類の範疇に矛盾しないとし、3つの方向を提案し、結果としてイタリア・デザイン案が採用されました。
会場でU22X-350について、ヨーロッパでは想像していた以上の大好評であったと聞かされました。
その隣に展示されていたM22XHDL-350が、今日の「にーにーえっくす」時代を築いた立役者で、今や市場シェアの60%(ライバルがある中で寡占と呼べる数字)という「化け物商品」です。顧客は、「かっこいいね。買おう。いくらだい?」としか言わない、とマランツの営業の各員からいつも聞かされる製品です。
これに対して開発・設計担当のGMは、「少しは中身の質問をしてくれよー」と、これまた、いつも聞かされるボヤキです。

産業機器であっても、はっきりと、外観で製品が売れる、しかも、一目惚れ購入があるという「重要な証明」と私達は考えています。

このM22XHDL-350は今から6年程まえに、前身の製品からモデルチェンジされたもので、この前身製品も弊社のデザインです。前身製品も好評で市場シェアを20%とっていたものでしたが、性能を向上させたいとして中身のCCDカメラをもっと高性能のものに交換したい、ところが選定された高性能CCDカメラの寸法が大きい為その製品には収まらない。そこで開発・設計担当者はカメラ収容部の背を高くする改変を行って試作を作ったところ、この部門の統括責任者から強く叱責されたそうです。
「この製品は何で好評なのかわかっているのか?デザインで評価されているのだろう!それをそんな勝手な変更してお客様からソッポを向かれたら誰が責任をとるのだ!」。
という経緯でふたたびノンデザイナーズにデザイン依頼が舞い込んだものです。そもそもこの前身製品は今から11年前に初めてマランツから依頼があった案件で、マランツのFA事業部を立ち上げた初代の製品のモデルチェンジ版です。

●U22X-350最終デザイン

展示されていた、それ以外の製品も紹介いたします。4年程前にデザイン依頼された、M22X-HDL。社内でフェラーリと渾名されたものです。検査する基板を一切動かさない、という構想の製品です。

会期中に、パナソニックのデザイナーグループが訪れ、自らデザイナーであると名乗った上で「良くつくりましたねー」「ここまでやるんですかー」と質問やら感想を述べていったそうです。
マランツの営業員の話しでは、よそでも多くのお客様から、「さすがマランツですね」とデザインについての感想を言われるそうですが、多分オーディオを知る人はマランツの社内デザイナーの成果と思っているのでしょう。








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●初期プロポーザルスケッチ

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●M22XHDL-350デザイン「にーにーえっくす」時代を築いた

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●前身製品 市場の20%のシェアを取った。

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●社内設計の初代機

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●M22X-HDLの初期プロポーザルスケッチ

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●L22X-HDL 初期プロポーザルスケッチ インラインタイプの基板検査機