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■OBの仕事・作品紹介

□ 岩田直子さん <NEC>(57年度VC卒)からのプランニングデザインに関する報告

■仕事の経歴

 株式会社NECデザインでプランニングデザインスタジオという部門に所属して いす。

 業務の内容は、コンセプト開発やそれに関わるユーザ情報の収集をすることです。 一応デザインに関わる仕事を続けていますが、内容はいろいろ変わっています。 もともと大学時代にはビジュアルデザインコースに在席していたのですが、なぜ かプダクトデザイン部に入社することになり、家電のデザインを担当しておりました。本社に出向したのをキッカケにマーケティングの知識や調査の手法を勉 強することになりました。はじめてみると、デザインの発想法や技術が商品企画 にも役立つことロがわかり、デザインの評価の難しさや、デザインを進めていくためにユーザの情報をうまく取り入れることの重要さを実感しました。 

 現在はNECデザインにもどり、デザイナーやメーカの発想とユーザの気持ちを結 びつけ、魅力的な商品開発を目指しています。








■プランニングデザインの仕事

( 1)創造性開発

 デザイナーのスケッチなどで発揮される見えないモノを見えるようにする力や発想法は、実際の商品デザインだけでなく、企画段階でも非常に力を発揮します。新しい商品やサービスのアイデアを出す ことや、コンセプトを人が理解しやすく表現することを目的として、企画・開発担当者や研究者との 共同作業でコンセプトの開発を行っています。その中で使っているいくつかの創造性開発手法をご紹 介します。

<ブレーンストーミング>
 アイデア出しの方法としてはブレーンストーミングがよく活用されます。なるべく魅力的で豊富な アイデアがでるような工夫をして開催します。工夫の事例では、(米国ではあたりまえですが)お菓 子と飲み物を必ず用意する事です。疲れた頭に甘いモノはとっても大事だし、咽が渇くと人はしゃべらなくなってしまいます。話し合う内容は、商品やサービスに関わること何でもOKです。昨年の事 例では、パソコンの中にバンドルしているサポートツールのネーミングというのもありました。えーっ、 それはないだろうというアイデアから、そんな当たり前な・・・というものもありましたが、 「ぱそガイド」というネーミングが決定しました。

●変更後それまでのものよりも認知率が上がったそうです。
 (*写真1)

<オブザベーション>
 
脳に刺激を与えたり、情報を収集するための方法として、オブザベーションを開発メンバーで実施 します。これは観察調査という調査手法の一つですが、ここでは新しいことを考える気持ちを持つ ための刺激や、自分の知らないことをちょっと実感してみることを目的としていて、あとで分析を するためのものではありません。ちょっと外に出て、コンビニの新製品を見つけたりするだけだったりもします。おばあちゃんの原宿「巣鴨」に行ってみたり、オジサンを連れて渋谷のギャルウォッチングに行ったりもします。但し、必要なことは「ユーザの視点」で実感することと「観察者の 視点」で魅力や課題を発見するという後で使えるネタにすることです。

●スポーツジムでオブザベーション/会社の施設を利用してユーザチームと観察者チームで交代して 実施しました。(*写真2)


(2)ユーザ情報の収集

 商品の発売後にデザインが良いという意見はなかなか伝わって来ませんが、売れなかったときの理由の上位には必ず入って来ます。そんなときにデザインの正確な評価を伝えることや商品やサー ビスを買う前や使う前に、使ってみたい・欲しいと感じさせる力を持たせることを目的としてカス タマインタフェースという活動を実施しています。 
 手法としては、マーケティングリサーチで使われる調査手法のグループインタビューや街頭アンケートなどを使っています。社内にもインタビューや観察調査のできるラボがあります。正確にユ ーザの気持ちを把握するためには、本音を聞き出し、潜在的なニーズを分析する技術が必要になり ます。ずいぶん前からユーザ視点の商品開発という風潮がありますが、安易にユーザの意見を鵜呑 みにしても良い商品には結びつきません。
 その為に、メンバーは調査手法の知識や技術を習得しています。そしてこのスキルは、最初にご紹介した、ブレーンストーミングのまとめやコンセプト開発にも大きく役立ちます。グループインタビューの事例では、北米と日本のオフィス機器の使用実態の差や、デザインに対する志向の違いなどを確認してオフィス用の機器の開発に活用していま す。この調査で、NYとSFにも行きましたが、ユーザの意見はもちろん全部英語で同時通訳もなしと いう過酷な条件に直面しちょっと冷や汗をかきましが、デザイン用語という共通語が少し役に立ちました。

●NECデザイン内にあるヒューマンインタフェースラボ奥がモニタールーム・手前が観察ル ーム (*写真3)