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清水教授のデザインコラム/連載 - 72(05/31/2008)

「日本への国際評価を再認識する」・・・・・

日本は5位に・・・・
世界140カ国を対象にした世界平和度ランキングでの評価。
イギリスの経済誌「エコノミスト」が海外援助やビジネス投資活用のために世界平和度(GPI評価)ランキングを昨年から行っているのだと。
この種の評価は絶対的な信頼性が問われるもの・・・。
・国内外の紛争状態
・社会の安全性とセキュリテイ対策
・国家の戦闘能力 
・人口10万人に対しての殺人の数 
・テロ発生の潜在性 
・近隣諸国との関係 
・人権問題などなど、24のチエック項目を5段階で評価したものだという。
その結果は
1位 アイスランド 
2位 デンマーク
3位 ノルウエイ 
4位 ニュジーランド
5位 日本 

アイスランドは人口31万人。国土は北海道くらいの広さで四方が海。周辺国がな 
いので近隣トラブルもなく暴力犯罪など、テロ行為も全くないと言う評価。
2,3位は、いずれも社会福祉が充実した豊かな北欧の国。
そして、5位が日本。安部政権下の政治的な不安定がマイナスに評価。日々のニュース、この物騒な国が5位? と言う意見。或いは、なぜトップ3ではないのだと言う疑問の声も・・・。
しかし、人口1億人以上と言うスケール、先進国の中ではダントツの1位だ。
ちなみに6位はアイルランド・・・。
その他、オリンピックを成功させ世界の先進国にと目論む中国。言論の自由はなく、汚職、手抜き工事が明るみにでて共産主義の綻びも67位。
世界のリーダ・警察を自認し常に戦争状態にあるアメリカ。犯罪発生率も高く97位、先進国中では最下位のランキングだった。 
サイクロンによる被災は中国以上と言われるミヤンマー、軍事政権の圧制は大きなダメージ126位。あの北朝鮮は133位・・・。
そして、ワースト3は、
138位 スーダン 内戦状態が続き、経済制裁を受ける。
139位 ソマリア 政治的対立。
140位 イラク イスラム教のスンニ派とシーア派の殺しあい、爆弾テロも・・・。
国連加盟国は191カ国だ・・・。
と言うことは、51カ国・地域の評価データがない、と言うことだろう。
・・・・
日本の国土・・・・
地図で見ると本当に小さい・・・。
敗戦の廃墟、資源も力もなかった国だ。
生きるために、ただ黙々と働き、エコノミックアニマルとも言われながらも世界のトップに躍り出たことは世界を瞠目させ、奇跡とも言わしめたことも・・・。

アフリカの自立と可能性と・・・・
どうしようもない飢餓・貧困ゆえに紛争・内戦に明け暮れるアフリカ諸国にとっては日本は憧れの指標、手の届きそうにも見える目標だろう・・・。

その国にアフリカ40カ国余の元首が集まっていた。
日本が提唱しアフリカの成長と自立の可能性を探り協力、支援策を協議する「第4回アフリカ開発会議」だ。
1993年から5年ごとに東京で開催し、今回初めて横浜で開催された。
一方的に経済援助を与えるよりも「アフリカ諸国がいかに自分たちの手で自国を改善する道筋を探っていくか」に重点を置く発想。戦後、日本が東南アジア諸国に行ってきた支援の理念が反映されてもいるとも・・・。

次代を目指すBRICsの台頭もあり、世界経済の地殻変動はいよいよ激しいものになり、経済大国・日本がなしえた成功体験に学ぶものでもあろう。
3日間で40カ国余の首脳との会談は福田首相の誠意。
1国、15分と言う会談時間は限界だろうが、それでも不満を漏らす国も・・・。
善意もしかし、不満に繋がりかねない外交問題の難しさがある。
国連安保理事会への推薦の協力、食料、レアメタルなどの確保を期待する我が国の思惑・・・。
自国の資源、レアメタルなどを温存し、アフリカからの輸入を画策する中国への対抗策でもある。
安保理事国への加入も中国が反対、したたかな戦略をみせる中国への対応を急がねばならないわけもある。

またこの間には、「野口英世アフリカ賞」第2回の授賞式が執り行われた。
ノーベル賞に匹敵するものとして小泉首相が提唱。アフリカの医療活動を活発化させることを目的としたもの・・・。
今回は、ロンドン大学ブライアン・グリーンウッド教授、慈善団体「ウジマ財団」共同創設者ミリアム・ウエレさんが受賞、賞金1億円が手渡されている。
・・・・
BRICsの台頭・・・
日本の立場は急激に取って代わられ競争力を失っているとも言われている。
その証を「世界競争力ランキング」に求めることも。
'08年版の22位は前年より2つ順位を上げたとは言え認めがたい数字なのだ・・・。

食料やモノ不足の時代を経験しない世代にとっては「世界1」とも言われる「豊かさ」の中にいても、自らの「幸せ」を実感することは出来ない。
またあの、バブル時代を知る者にっとっての「いま」は、満足の出来ないものだ。
衰退と凋落を話題にしながらも、しかし、バブル時以上とも言われる好景気を続けていると言うのも不思議なことだが・・・。

我が国の教育はあくまでも個人。豊かさの中で自由平等・平均値主義によってプログラムされ、今日の様々な社会問題にも本質的なダメージを与えている。
己の存在、国を思い、他人を思う心の豊かさにも欠ける・・・。

人間としての「喜び」は・・・・
「人のためになる」こと。そのことが実は最も「幸福感」と「喜び」を感じることなのだ。
厳しい生き方を強いられているアフリカの現実を知ることは、なによりも「命」の尊さ、「生きる」意味を見出すことにもなる。
生きるために助け合い、一丸となっていた戦後の連帯感にも通ずるものだろう。

いまは個人主義の平和ボケとも言われる。
しかし、それ故に日本の「独自文化」を創り、世界に親近感と好印象をあたえてもいるように見える。
世界の国々との比較の中で、この国を実感し「世界平和度」「世界に最もよい影響をもたらしている国」と評価されたことを素直に誇りたいものだ。
勿論、「世界競争力」の凋落には発奮。デザイナーのグローバルな活動にも期待したい。

                       (May 31 / 2008 記)

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<メモ>

日本の国際的評価データーを見る。
「世界競争力」ランキングは'07年のGDPは世界2位だが低成長、海外からの投資の低迷などが響き22位に。
バブル時には1位であったことを考えると感慨深いものがある。
スイスの大学院IMDは世界の55カ国・地域の競争力を順位付けをし'08年度「世界競争力ランキング」として発表した。
「最も世界によい影響をもたらしている国は日本とカナダ」。
英国、BBC放送と米メリーランド大が27ヵ国、2万8千人を対象におこなった共同世論調査での結果を、600の世界のメディアが報じていたもの。ちなみに、3位はEU欧州連合、4位フランス、5位英国だった。
米ネット企業「エクスペデイア」が欧州のホテル関係者1万5000人を対象にした調査でも日本人が「最良の客」に選ばれている。
「行儀がよいか」「おしやれか」などの採点基準で高ポイントを獲得した。
日本が打ち出した「紛争に関わる3者に利益のために手を携えて、まず、仕事を・・・」と言う中東支援策は「ユニークな発想」として評価され国際社会の支援モデルに。
東大、ハーバード大、華東師範大などの研究チームは日米中の大学生505名に潜在的な意識を測る新たな心理テストを実施。「自分を誇りに思う」程度を推定した。
これまでの調査では最も低い結果であったが、今回は「3者に差はなかった」のだという。
外務省が米国でおこなった世論調査では「日本は経済力に見合った重要な役割を国際社会で果たしている」との答えが83%に・・・。