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清水教授のデザインコラム/連載 -174(09/12/2017)

「取り敢えず、『5W1H』をマスターすること」

  ここ数年は「デザイン思考」などに触発されたこともあり、これまで60年来ともいえるさまざまな技法・発想法などを思い返すことにもなった。
意匠や図案などと言われていたものが「デザイン」という新たな言葉を掲げて生活雑貨、家庭の電化製品が作り出されると生活空間の近代化が急速に進んでもいた時代。日本のデザインは戦後の経済成長期に一気に開花、欧米に倣った生活と文化は、我が国を一変させた。
60年代には、GNPが世界2位に。
そしていま――「AI技術」「センサー」「VR」「AR」「ブロックチェーン」「量子コンピュータ」「ゲノム編集」などのデジタル技術の進化は、次世代への革新的なテクノロジーを生みだし未来生活を一変させるインパクトを持つ。
しかし、いずれの時代であれ、なによりも自らの感性と直感力、観察力によって問題領域を的確に理解することから次世代の発想も生まれるもの・・・。
私の演習授業で『5W1H』は、問題の提起、アイデア発想・解決などと、デザインアプローチに必要な「チエックリスト」であり、情報量の生産性を高めることに意味あるものだったと思っている。ただ、発想の質については個人的な資質で、チエックリストに準じた過不足ない的確な観察力と知力が重要で、広く詳細に考え得たことをアイデアとして反映させられたかによろう。とにかく、ひと通りの説明とその演習だけでは体得したとは言い難いし、結果につながるレベルではなかろう。そのテーマと方法論を繰り返すには、演習の時間はあまりにも短い。限られた時間とプロセスの中での成果を得るのは数ヶ月、数年を要するだろうからだ。勿論、言うまでもないが「デザイン理論」、「方法論」が発想するわけでは無く、発想する主体は「人間」であり、「自分自身」であると言うことだ!
先日、たまたま『5W1H思考』という本が目に止まった。「いまさら、5W1H・・・」、そう思いながらも、その本を手にしていた。
「様々な思考法や発想法を学ぶがうまく使えない」「テーマの部分にとらわれ発想の巾が狭い」「全体や目的を忘れてしまう」「本質的な問題設定、問題解決が重要だが」「アイデアを出しても数が少なく、平凡だと・・・」そんな悩みに答えるのだという。その本、『5W1H思考/スバル舎』の著者・渡邊光太郎氏は、もう、あらゆるフレームワークに頼るのはやめシンプルに結果を出すことにしたら・・・と。他の多くのフレームワークの基本となるマザー・プロセスでもあり僅かに、6ワード。これだけで複雑な課題にも十分応えられ、問題発見/解決、アイデアの発想、コミュニケーション力などのデザイン活動のパフォーマンスを高めてくれる最高の「考具」なのだと。とにかく、発想に必要な基本的な思考力が身につくのだという考えには私も共感する。まずは基本となる『5W1H』の使い方をマスターすることだ!必要な情報をもれなく知る「チエックリスト」という意味もあるが、確実に使いこなすことで「モノ」だけではない、あらゆる問題に対応する『デザイン力』でもあるからだ。
                     (2017/12・5記)

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メモ:
When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ )、How(どのように)という『5W1H』は、他のフレームワークと併せて、分析や説明のパワーアップ、思考が行き詰まったときの原点回帰、方法にこだわらずシンプルに考える発想や思考力を体得する基本となるものだ。『5W1H』の考え方を身に着けることで、全てのケースに対応出来る。次々に現れるフレームワークを追い学んでも混乱するだけ・・・。
:『2W1H』―Whyなぜ What何を Howどのように
2つのW(WHAT、WHY)で事象を、結果として改善の方法(HOW)を導く。
要素が少なく短い文章になる、キャッチコピーや記事の見出しなどに・・・。チエックリストとして考えるべき内容を網羅することが出来る。
:『5W1H』―Why Why Why Why Why How
「Whyなぜ」を自問自答することで、数々の改善策を生み出した問題解決手法「トヨタ式5W1H」、トヨタのかんばん方式だ。繰り返し問題を深く問う中で、物事の本質、真の原因が、そこから「如何にして」の解決策が生まれる。
:『6W2H』―5W1Hの原則に対してto WhomとHow muchを加え6W2Hとする、事業計画の立案などの基本として。
What(何を)仕事の内容、種類、性質、分量
Why(なぜ) 意義・目的、動機、理由、狙い、背景、必要性
Who(誰が)組織、担当、グループ、中心人物、役職、人数、主人公
Whom(誰に)相手、関係、人数、何人に対して
When(いつ)タイミング、期限、時間、納期、スケジュール、季節、頻度
Where(どこで)場所、位置、職場内外、屋内外、出先、舞台
How(どのように)手段、方法、段取り、テクニック、進め方、期待度
How much(いくら)どれだけ、数量、予算、単価、範囲