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清水教授のデザインコラム/連載 -173(05/11/2017)

「「モノ」と対話する時代に・・・・」

  「スピーカー」は電気信号を膜の機械的振動に変え、音声を発する。また、音量を大きくして遠くまで聞こえるようにしたものだ。それらの多くはラジオ、テレビなどの家電製品に組み込まれている。特に音質が問われるオーデオ製品などでは、音響にこだわるマニアの要求にもこたえ高性能化を競っている。その「スピーカー」が次世代へ、新たな脚光を浴びて変溶しつつある。
スピーカーが「AI 技術」、「音声認識機能」をもってネットのクラウド上のAI システムと連携すると、人や言葉を理解し反応する。さまざまなネットサービスを利用し「言葉」で操作出来るという。たとえば、目の前に置いたスピーカーに、「明日、東京の天気は・・・」と尋ねる。「午前中は曇、徐々に晴れてくるでしょう。気温は、午前中は18 度、午後には22 度まで上がるでしょう」と。「テレビでニュースを・・・」と言うとテレビの電源がオンになり、「ニュースチャンネルが映し出される」と、いうように・・・。
さらに、「IOT」が進むことでAI スピーカーがリモコンとして使えるようになるというのだ。家電に「直接触れて操作する」時代から、「言葉」を伝え、「意思」を伝えることで制御するということだ。
帰宅しソフアーにドッカと座り込む、と「AI スピーカー」に話しかける・・・。「いつもの曲を・・・」「少しボリュームを上げて・・・」「うーん、もう少し・・・!」「あかりは少し落として・・・」「室内の温度は、いつもより一寸高めにネ・・・」などと。その日の気分に応じて住環境を構成している快適化・生活家電の全てをコントロールすることが出来る。
他人に気をつかうことのない独身貴族(お一人様)には申し分ない未来生活だろう。
ただ、社会的には少子化傾向が顕著になるのでは、という心配はあるが・・・。
とはいえ、我が国においては総合家電、音響機器、関連機器、様々な部品メーカーを含めて優位な「モノづくり」の環境にはあると言える。なにかと先行、誘導する米国IT 企業勢に対して、生活家電のカタチ、システム化を日本人の感性を通してアピールしたいものだ!9 月上旬にドイツのベルリンで開かれたヨーロッパ最大の家電見本市「IFA−2017」は、世界中の主要ブランド1,500 社近くが出展し、最先端の革新的技術、最新製品を展示している。今年度、主役の座を占めていたのは「AI スピーカー」だったのだという。ソニーやパナソニックなどは先行する「AI グーグル・アシスタント」を搭載しての出展・・・。予定していた自社の一押し製品がAI スピーカーの話題にすっかり影の薄いものになってしまったのだと。
デジタル化、変化の世界的な潮流を見極めることで「Industry 4.0」も生き、「モノづくり大国・日本の復活」も見えてくるはずだ! (2017/11・3 記)
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メモ:
・AIスピーカー、ソニーは米国と欧州、パナソニックは欧州での発売を考えており、日本での展開はその後に・・・。「紙」と「アミド」で外界に触れ、新建材で遮断する住居形態の我が国では家族の音声差別化はともかく、声の大きさ、趣味嗜好の差異などの違いをどの様に調整するのか。夫婦、親子、兄弟間の音声のチャンネル争いは騒がしいことになるのかも・・・。
・言うまでもないが、「プリンター」も、PCなどの情報を出力、用紙に印字記録する装置。米HPやキャノン、エプソン、リコーなどの「プリンター」生産メーカーが、「3Dプリンター」事業に本気で参入している。製品開発、試作などには極めて有効な加工装置で、数点から1000個単位の生産の可能性も。生産現場での3Dプリンター製の「車」や「コンクリート住宅」も造られ、その応用の可能性も連鎖反応状態・・・。
勿論、「Industry 4.0」時代の生産手段――生産速度を最大10倍にも高め、材料費とメンテナンス費を合算した運用コストも半減。素材メーカーやソフトウエアメーカーと協力、業界標準の基盤技術の構想(米HP)も既にある。
・「Industrie 4.0」――ドイツでは、「第4の産業革命」が進んでいる。工業のデジタル化によって21世紀の製造業の様相を根本的に変え、「コストを大幅に削減する」という高コスト国としての悩みを解消しようというプロジェクトだ。産業界、学界などが総力を挙げてこのメガ・プロジェクトに取り組んでいる。ドイツと同じ「モノづくり大国・貿易立国日本」でも大きなインパクトを持つ。「インダストリー4.0」は、生産工程のデジタル化・自動化・バーチャル化レベルを現在よりも大幅に高め、コストの極小化を目指し電子機器や自動車メーカー、IT・通信企業が取り組む「スマート工場=自ら考える工場」の開発。最大の工業見本市ハノーバー・メッセでも「インダストリー4.0」が焦点だった。
・ソニーのロボット「aibo」が、「AI―ベーシックプラン」を持って再登場する。「より愛らしく」、「豊かな表情と躍動感」のある動き、日々の触れ合いを通して「個性」を育み、パートナーとして成長する。繊細な感情表現は2枚のOLEDで、くるくると動く瞳と生き生きとした表情で。個性的な鳴きごえ、体全体で表現する躍動感の動きは22軸の可動部で滑らかな身体の動きに。また、呼びかけを待つだけではなく、能動的に働きかけても来るのだという。優しい言葉や笑顔、頭や背中をなでられたことなどを感じ取り、喜びを知り、学び、愛情を感じ深い愛情を返すようにも。この絶え間ない変化は、ソニー独自のAI技術で実現。個性的な成長は、クラウド上のAIが賢く進化を促すのだという。
ペットに癒され、孤独に暮らす人々も多い時代・・・。これまで以上に感 情移入した生き方で肉親の様に受け入れ、癒される人も多いのではないだろうか!