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清水教授のデザインコラム/連載 - 143(02/02/2015)

次はアイデアの「質」へ ・・・・ 


アイデアの「量」、そして’「質」へ
アイデアの質とは、当然のことながら「より完成度が高い解決案」のこと。「テーマ」を解決するための様々な条件をクリアーし、可能性や独創性、差異化などと言うデザインにとって不可欠な条件のレベルの高さ。勿論、デザイナーであれば、そのアイデアに対するカタチ、組み合わされたデザインの質でもあるといえる。
それでも、そのデザインの質を高めるものは多様な可能性を持ったアイデアの量なのだ。これまでにも、まずは質よりも「量」、解決するための「アイデアスケッチを!」と言ってきた。
しかし多いのは、はじめに思い付いたものが、「いい」と思い込んでしまうこと。「出来たァ!」と、まだまだ取り組まねばならない条件をそのままに思考停止!というパターンだ。
時間を掛けず乏しいアイデアでは、「デザインだ」と、言えるレベルのものではない。そのことを確認する意味でもアプローチを継続してみて欲しい。
まだまだ、アイデアは生まれてくるし、問題が何かが分かると解決につながるヒントにも次々に気付くことになる。それらのメモやアイデアスケッチなど取り敢えず、10〜20枚を面として眺めながらアイデアの広がりを確認し、必要条件はメモに簡単な目標コンセプトを作成してみることだ。そのデザイン条件を改めて確認してみることにもなる。アイデアスケッチに集中し続けるなかで、「ヒラメキ」を得ることにもなる。少なくとも期待した数、あるいは期待を超える数量を努力目標にすることで解決の可能性は確実に見えるものになり、アイデア量が「質」のレベルへと高まることにもなるのだ。

デザインの質――多様なカタチの表現力
デザイナーにとっての「8好奇心」はデザイナーとしての資質であり、さまざまなものを観察する精度にも大きく関わり、触れることで気付くことも多いはずだ。そして、デザイン力の感性と脳力を高めるものでもある。観察する力は日々の新しい発見を生み想像し、創造する力を育む。そのことが楽しい!
多くの情報と資料、その行間にある意味とその裏側にある本質を見極める。そんなプロとしての目も研ぎ澄まされねばならないだろう。カタチを情報として「読める人」と「読めない人」の差も大きく「デザイン力」、その表現・提示する力は、独創的で最適なカタチを考えるための素材=形、質感、色彩など。そして、点、線、面、立体、空間などという造形的要素を持って思考する力でもある。造形のための形体要素が少ないと、その可能性はおのずと限られることになる。選ばれたアイデアが手で触れ、視覚的に捉えうるモノとして具現化されることになるからだ。デザイナーの感性や美意識が大きくものをいうことになり質的な完成度を高くもする。
アイデアスケッチ――それらのパッドの厚みが発想力と時間量を自らの眼と手で実感させるものにもなる! 
                     (2015/1・31記)
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メモ:デザインアプローチ用語
・問題・課題・テーマ
――デザインとして解決すべき問題。自ら考えた問題と 他から与えられた問題(演習の問題)など。
・イメージスケッチ――まずは、自分の知識・経験の中で描いたものは解決のビジョンと言えるスケッチ。与えられた問題の場合は自らの知識・経験の理解力のレベルチエック、あくまでも、初めの仮説と考えてもよいが生活環境に関わる知識・情報が無ければ結果は問題にならないだろう。「テーマ」についての「理解」のレベル「分かっていること」、「分からないこと」が自覚される。次への一歩を踏み出すためのものだ。
・必要条件――問題について解決すべき内容の目標項目。仮説を前に、気付いたこと、解決すべきことをメモとして網羅し、それらを比較し分かり易く並べて選び、序列化してアイデア展開の目標にするもの。
・アイデア――アイデアは思いつき(ブレーンストーミング)、着想、創意工夫、誰も気付かなかったことに気付くこと。同じ問題、同じ条件が与えられても、決して同じ答えでは無い。新しい可能性、独自の着想がアイデアだ。
・アイデアの数量――個人の脳力にもよるが、その「アイデア」は無限と言えるほどにある。デザインの質を求めるならばアイデアにもブレーンストーミングのような広がりが必要だろう。結構、3〜4点のアイデアでなんとなくレンダリングを描き、あやふやな図面を描いて終わり、という作品も多いようにみえるが・・・。
・アイデアスケッチ――デザインでいう必要条件に対する解決の新しい可能性の探求。絵や図として描き評価・検討する。→10枚→20枚→30枚→50枚→100枚→・・・・。ある建築家は「1,000枚以上のスケッチをすることでヒラメキ、それまでは気付かなかったアイデアをものにするのだと」といい、またある、デザイナーは「10,000枚を目標にひたすらアイデアを練る」のだと。もっとも学生時代にそう指導されたのだとか・・・。昔は、そんな目標にがむしゃらに取り組む学生が結構いたようにも思う。「描くこと、ものを作ることが好きで楽しい!」と。いまは、そんな熱い思いはなくなった、ということだろうか?
・初めて考えたアイデア――テーマについての理解もないままに思い付いたものは極めて平凡、デザイン性に乏しいということは当然だろう。それでも描きだしてみることが大切なこと。しかし、否定し評価することは比較できるものがあって、はじめて可能になるもの。初めは10枚余を壁面に広げて眺めて、比較し評価する。何をどうしようと考えたアイデアだろうか――5W1Hは? ヒントを得る広がりを考えて情報の収集を図り、求めるべき内容の理解を深くする。それらの作業の折々に気付いたことのメモ、スケッチは進めること。
初めの、わかったつもりの狭く偏向した判断力、未熟ななかで否定してしまうことは避けることが肝要だろう。
・ヒラメキ――一定量を超える発想の集中力と忍耐力でアプローチする中のある瞬間に突然ヒラメクことがある。その「ヒラメキ」からは、これまで考えたことも、見たこともなかったアイデアを生み出すことにもなる。
確りと自らの脳裏にとどめて知り得た知識・情報からこれまでは考えられなかった発想力にも気付くことにもなる。
・常識――一般人が持つ知識、判断力など。「常識を突き抜ける発想を!」と言うがデザインという専門性以前の問題。常識が無ければ突き抜けるという実感すらもないと言うことになる。


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