NUDNimageNUDNとはimageID/PD分野についてimageお問い合わせ

image
partitionホームpartition芸術学部情報partitionデザイン学科情報partition学生作品partition卒業生作品partitionリンク集partitionメールマガジンpartition
image

清水教授のデザインコラム/連載 - 103(04/04/2011)

「自らを高める「聞く力」・・・・」

 ところで、「日本人は話を聞く能力が低下しているのでは・・・」と言われはじめてからは、もう数年が経ったのでしょうか。あまりにも話が通じない、「相手の言うことを理解できない若者が増えているのでは、ということが問題になっている」というものでした。とうぜん「仕事はすすまないしユーザー・ニーズを把握することもできない。上司の指示やアドバイスも確りと理解できないというのですから企業にとっては大変なんだ」と・・・。
企業もそうでしょうが社会人としてのコミュニケーシヨン能力が低い人は、例えばデザイン実務の場でも大きなハンディを負うことになります。人の話を確りと聞き取り、理解できない、アドバイスを受けても正しく受けとることが出来ないということでは、当然、デザインプロセスの上でも求められる創造的な発想ができないことにもなるのです。デザインの教育の現場ではコミニュケーシヨン能力の訓練として「伝える」こと、「話す」ことを強く意識させています。たとえば、デザインの提案についての考え方や言いたいことを相手に伝えるためのプレゼンテイションなどはいまでも繰り返しおこなわれているようです。
しかし、そのためでしょうかコミニュケーシヨンは「話し」「伝える」ことと勘違いしていまい、肝心な「聞く」ことに意を注いでいないのではないか、と思えるのです。
余りにも当然、あたりまえのことと考えられて、本人に自覚次第なんだということだからなのでしょう。しかし、「社会人基礎力」の中にも相手の意見を丁寧に聞く「傾聴力」が指摘されているが、聞く能力が改善されているという話はいまも無いのです。

「聞く」ことの大切さ・・・・

 なにごとも学ぶ過程では、さまざまな形ながら「話を聞く」こと、が基本となるものでしょう。しかし、なにより本人が「聞く」意欲をもたなければならない。声は聞こえても気持ちをそこに集中しなければ内容を聞き取ることは出来ないし、勿論、聞いたことにはならない。
とにかく、講義や演習、あるいは友人との雑談であっても多くを聞くことで、さまざまな知識が自らの目標意識と重なり意味のある情報になるものです。
また、メモをとりスケッチとして記述することが大切。話を確りと受けいれるためで、記憶脳の容積が小さく、次々に話を聞いても忘れてしまう仕組みになっているからなのです。デザインとしてのモノづくりが目的であれ、デザインの初めには「テーマ」を聞きながら正確に解釈し、ユーザーからの情報を正確に聞きとることが必要になるのです。話し言葉は直接、音声として発せられるものであり、ただちに反応し行動することが出来る、いわゆる頭が切れる人間の行動として重要でもあるのです。

「話す力」より、「聞く力」が大切・・・・

 実は「聞く力」こそ重要でよい人間関係をつくり、よいデザインをつくる・・・。「聞く力」は、話す人の目を見て聞く姿勢を保つこと・・・。
「うなずき」、「あいずちを打つ」という聞くための積極的な心構えが大切なのです。相手の話を確りと「話を聞く」態度は幼児期から身につける大切な習慣です。
私の先輩、友人知人の中にも、そんな優れた能力をもった人がいます。
話を聞きながら笑顔であいずちを打ってくれる好人物です。信頼できる人として私も心を開き話をします。もちろん、彼の話しは私も素直な気持ちで聞くことが出来るのです。さまざまな雑談の中にも必要な情報があり、話を聞きながら自分のこととして咀嚼することもありました。彼を思う時、彼の顔はいつも笑顔なのです。魅力的な人間性は幼少期からのものだろうと思います。聞く力もまた、習慣付けられていたのだろうその態度を、遅蒔きながら学んでもいます。
さまざまな分野の人との話、さまざまな講演会などに感じ取るものをイメージし、切り口としてデザインすべき条件がえらびだされることもありました。
自らがもつ「テーマ」があり、問題意識が有れば「答え」や「ヒント」となるものが必ずあるものなのです。
このことは、デザインだけの手法ではなく「ニーズはユーザーの中にある」と云う考え方、「ユーザーの声に耳を傾けよ!」とはしばしば言われるリサーチの方法。その基本的な考え方は、市場の声を聞くこと、意見を聞き、「欲求」を読み取るということです。「ユーザー」の中にあるニーズに耳を傾けることが必要だということなのです。

「聞く力」は自らを高める・・・・

 いまは、デザインに関わる学びや情報を聞き取ること。よりよい人間関係を築くためにも「聞く力」、「聴く能力」を身につける努力をしなければならないのだろうと思います。話しを聞くための姿勢は目標達成の意欲であり、自らを高める手段でもあるのだといえます。
独り、偏向独断的に物事を推し進めてしまうのではなく、人の話をしっかりと「聞く」ことで「客観性」と「自らの意思」を確かなものにすることが出来るのです。
反応が早くなり、確かな対応、次へのなすべき行動にもなるのです。
さらに言えば、話を聞き、話し合うこと、話の内容がわかることが「聞くこと」であり、それができるための能力は男女や夫婦間、親子間であっても極めて重要なことなのです。一人よがりの考えで物事をおしすすめるのではなく、相手の声をしっかりと聞くこと、「思い遣る心」は人間としての魅力をもつということでもあるのです。 

     (2011/ 4・2 記)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

追伸:

幾たびかの試練!日本
「カタ、カタ、カタ・・・・。カタカタカタ−!」
微かに聞こえた音が徐々に大きくなる。と、ゆっさ、ゆうっさと建物が揺れはじめた。「アレェ〜、チョッとながいぞ・・・!」と腰を浮かせる・・・。東京での揺れもこれまでには経験がないほどのもの・・・。しかし、震源地の東日本一帯がこれほどの大災害になるとは思いもよらないものだった。
11日午後2時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9.0の極めて強い地震だった。その規模はこれまでの大地震を上回り、その過去に我が国が経験したことがない最大規模の地震が引き起こした津波によって災害はさらに甚大なものになっている。死傷者は数万人となった。被災地が広範囲に及び、警察や自衛隊などの捜索活動が進まない地域もあるため、被害の全容判明まではなお時間がかるのだとか・・・。
77年前にも津波にあったのだと老人、一瞬にして家も街も失い呆然とする姿が印象的だった。それでも先祖代々の地でがんばりたいのだと・・・。
東日本巨大地震は津波を引き起こし、火災、原子力発電施設の破壊、放射線物質の飛散、計画停電などという想定をはるかに超える負の連鎖が我が国を苦しめることになった。敗戦から復興した日本、先進国として次なる生き方が試される時なのだろう。
この国難に遭遇したいま、世界の友人が見え、人々の善意が見える!
世界平和の礎になれば、死者の霊も慰められるのではないのだろうか!

復興を祈りたい !!