NUDNimageNUDNとはimageID/PD分野についてimageお問い合わせ

image
partitionホームpartition芸術学部情報partitionデザイン学科情報partition学生作品partition卒業生作品partitionリンク集partitionメールマガジンpartition
image

増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 120(01/12/2013)

「介護を助けるロボ」

 イベントシーズンの秋。東京ビッグサイトで開催された、国際ロボット展を中継しました。2年に一度行われている国際ロボット展。医療や介護の現場で使われるロボットが多く見られました。

特に印象に残ったのが、アサヒサンクリーンのブース。来年で設立40年になる介護サービスを提供する企業です。在宅サービスの中でも、訪問入浴をメインにした介護サービスを提供しています。ここでマッスルスーツというロボットを見せていただきました。

介護現場では、しばしば介護者を抱きかかえて移動させる、という動作が必要になります。このとき、介護をする側は腰に負担がかなりかかります。マッスルスーツは、介護をする側の腰の負担を軽減する目的で開発されました。マッスルスーツの重さは6キロ。生後3ヶ月の赤ちゃんくらいでしょうか。エアーの入っているタンクが1.5キロ、それ以外が4.5キロ。リュックのような、抱っこひものエルゴのような感じです。(分かる人にしか分からなくてすみません)。実際に背負ってみると6キロという重さはあまり気になりません。胸元と腰にベルトがついていて、慣れると10秒くらいで装着できるそうです。

タンクに入ったエアーをスーツに送ることで、持ち上げる力をサポートしてくれます。力のオンオフは、呼気スイッチ。スイッチ部分を口にくわえ、息を吸ったり吐いたりすることで、オンオフを切り替えます。吸うとエアーが入って力が入る、吐くとエアーが抜けて力も抜ける。筋トレも力を入れる時に息を吸って、力を抜く時に息を吐きますが、それと同じ。とても直感的な操作感です。スイッチのオンオフを呼気で行うため、両手があき介護の妨げにもなりません。

実際に私もマッスルスーツを体験。マッスルスーツを装着して、前屈みの姿勢になってみます。力を抜いた状態から、マッスルスーツにエアーを送ると、キューッ!!!と体が強制的に起き上がりました。
思わず、笑ってしまうほどのパワーです。ビックリした…。

次に、7キロほどの水が入ったタンクを持ってみました。水のタンクが楽に持ち上がりました。
持ち上げるときだけではなく、タンクを置く時も、少しずつ息を吐いてエアーを抜きます。するとタンクを置くときも力をサポートしてくれるのが分かります。重いものを持ち上げるだけではなく、置く時にも腰に負担はかかっているのですね。

では、応用編。人の移動です。マッスルスーツを装着するのは、ベテランの方にバトンタッチ。私は介護される側を体験しました。寝たまま、ベッドから浴槽に移動してもらう、という状況です。マッスルスーツを装着した人と、足元のサポートの人の2人体制です。私はお腹に両手を重ねて、力を抜いて寝そべった状態です。
と、次の瞬間。なんでしょう、この感覚。体がフワッと持ち上がりました。人に持ち上げられたという感じがしません。何かハンモックのような大きな布に包まれて、移動しているような。人間リフトのような。そして、そのまま優しく浴槽に降ろされました。
一定の速さでゆっくり抱えられて、ゆっくり降ろしてもらう。このゆっくり降ろすというのが重要です。荷物ではないので、ドサッと降ろすわけにはいきません。むしろ降ろす時の優しさの方が大切なのかもしれません。
もし、介護する側が力んでしまい勢いで持ちあげると、介護される側にも力みが伝わり、怖がってしまうそう。抱える側に力が入っていないので、抱えられる側も力が入らずにすみます。介護される側の安心感に繋がるのですね。
もちろん、介護する側の腰の負担も軽減してくれます。中腰での作業が、最もギックリ腰などの危険性があります。マッスルスーツは介護する側も介護される側も守ってくれるのだと感じました。

介護は体に大きな負担のかかる重労働、特に腰を痛めて辞めてしまう人が多いそうです。介護はキツいという印象を払拭したい。体を壊して、介護現場から離れてしまう人を減らしたい。そんな思いからマッスルマシーンを開発したと伺いました。
私も子育てを経験して思いましたが、お母さんの健康がまず大事です。お母さんが体調を崩すと、色々なことが回りません。子どもの世話もできなくなってしまいます。介護も同じだと思います。まず介護をする人の健康が大事。介護をする人の健康なしには、介護はできません。介護する人のためは、介護される人のためにもつながるのだと、マッスルスーツを通して感じました。
高齢化社会。お年寄りが、お年寄りを介護しなければならない「老老介護」がますます進みます。年配者でも介護ができるように。楽に介護ができるように。マッスルスーツのようなロボット、テクノロジーが、これからの介護をサポートしてくれることを期待したいです。

追記
近所のファストフード店。リニューアルにともない、階段の手すりがクネクネしたタイプに変わりました。お年寄りにも優しい手すりです。こんなちょっとしたことからも、高齢化社会をサポートしてほしいですね。
参考マッシー通信「5歩とクネクネ」http://www.nudn.net/maccy/060.html

追記2
もしパズーがマッスルスーツを装着していれば、空から降ってきたシータも楽にキャッチできたのではないかと…。(再び、分かる人にしか分からなくてすみません)。余談でした。

「2013国際ロボット展」
アサヒサンクリーンブースは1時間52分頃から
http://live.nicovideo.jp/watch/lv157764900


 






image●アサヒサンクリーン、マッスルスーツ


●マッスルスーツを装着して前屈


●!?


●キューッと体g起き上がりました!

image
●ものすごい安心感です

image
●クネクネの手すり