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増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 108(12/01/2012)

「赤ちゃんを乗せて」

「あなたのお子さんは、もう少し大きくなるまで、飛行機に乗せてはいけません。赤ちゃんだから何でも許されるというわけではないと思います!」
ある漫画家の女性が、飛行機内で赤ちゃん連れのお母さんに放った言葉です。

詳しくは下記のサイトをご覧いただきたいのですが、ざっくり説明すると。漫画家の女性が国内線の飛行機に乗った時、同乗していた1歳くらいの赤ちゃんが離陸から着陸まで、ずっと泣き通しだったと。それに耐えられず、着陸準備段階で席を立っただけではなく、赤ちゃんの母親に冒頭の言葉を放ったと。着陸後も気持ちはおさまらず、この航空会社にクレームを入れ続けたと。漫画家自身が、ことの経緯を雑誌とネットに掲載し、これがネット上で広まり、炎上。大半は、この漫画家に対する批判的な意見です。
Twitterでの著名人のつぶやき。
脳科学者の茂木健一郎氏。「1歳の赤ちゃんのふるまいを、コントロールできると思っている大人がいることが信じられない」
音楽プロデューサーのつんく氏。「15年前飛行機で離陸から着陸まで泣いてた赤ちゃんのママと目が合った。『すいません。疲れてはるのに居眠り出来なかったでしょ』って。『いえいえ、2時間泣いてたこの子が一番がんばった。エライエライ』って言ったらママさんが涙しはった。今ならこのママさんの涙の意味がわかる。子供は泣くさ」
ごもっともです。子を持つ親の立場からすると、こんな人もいるのかと悲しくなります。しかし、世の中は色んな人がいる。この漫画家の女性を批判していても、しょうがない。子連れで飛行機に乗らなければならないときもある。

年末年始にかけて飛行機を始め、電車やバスなど公共の交通機関を利用して、子連れで長時間移動する人も多いことでしょう。こんな現状を知ったら、初めての子連れ旅の母親はビクビクかも。ちょっとした外出でも、子連れは大変なのに。少しでも、快適に心穏やかに移動するために。コツ、というか、ヒントになれば。

公共交通機関の中で飛行機は最難関です。途中下車できないから。電車なら降りてしまう、という最終手段がある。けど、飛行機は乗ったが最後、目的地に着くまで乗り切らなければならないのです。
飛行機内で赤ちゃんが泣く理由は、お腹が空いていたり、眠かったり、色々考えられますが、一番の理由は気圧の変化と考えられています。大人でもいやですよね、あの耳がキーンとなるの。ある程度大きくなれば、鼻をつまんで息を吸ったり吐いたり、つばを飲み込んだり、様々な対処法をとれますが、赤ちゃんはそうはいきません。

一番有効だと思われるのが、離陸時にパック入りの飲み物をストローで飲ませる。機内での飲み物のサービスは、離陸して機体が安定してからです。離陸時の飲み物は自分で用意しなければなりません。国際線の場合、機内に持ち込める液体の量に限りがあります。(乳児用飲料は別、というところもあるようですが)100ミリリットル以下だったり、それをジッパー付きの透明な袋に入れなければならなかったり、まぁ細かい。同時多発テロ以降、厳しくなったようです。
本当だったらね、お肌の乾燥防止のために自分用の化粧水とか持ち込みたいです。子連れだと、そんな優雅なことは言っておられず。子どものこと、優先です。愚痴でした、すみません。
乳飲み子ならば、ケープなどで覆って授乳させる。おっぱいも飲み物なので、耳が痛くなるのを和らげる効果があるのではないかと思います。それにおっぱいは赤ちゃんにとって最高のリラクゼーションタイム。なれない飛行機への不安も和らぐことでしょう。
あとは、赤ちゃんセンベイなど。これも国際線だと、食べ物の持ち込みに制限があるので、航空会社のサイトをよく確認しましょう。

スマホやタブレット端末で動画を見せるなども効果がありますが、離着陸時の使用はダメです。安定飛行に入って使用が可能になっても、音はオフにして。電子音というのは、小さな音でも他人には不快に感じることが多いです。
余談ですが、電車内で年配者が電子音を切らずに携帯を使ってるのを見かけます。たどたどしい手つきで一生懸命メールらしきものを打ってる。その度に、ピ、ピ、ピ、と音もついてくる。その隣には不快そうに見ているサラリーマン。あぁ、電子音をオフに設定してあげたくなります。ご本人は耳が遠くなっていらっしゃるのか、気づいていないのでしょうね。ご家族の皆さん、年老いたお父様、お母様の携帯を今一度、チェックして差し上げてください。ハナシがそれました。

それにしても、タブレット端末を子どもに見せると際限がありません。ずっと見てる。バッテリーがなくなるまで見てる。で、バッテリーがなくなると手に負えなくなる。乗り物に乗る、イコール、タブレット端末が見られる、という構図ができあがってしまっているといざというとき困るので、最終手段ぐらいに考えておいたほうがいいかと。子どもはバッテリー切れの心配などしてくれません。

あとは、空港に早めについて、キッズスペースなどで思う存分遊ばせて、お腹も満たしてあげて、離陸時には寝てもらう。遊び疲れた→お腹いっぱい→眠い、という流れ。国際線で機内食がある場合。機内食のタイミングを考えて、子どもを空腹で乗せてしまいがちですが、眠いのとお腹が空いたのとがコラボしちゃって、手に負えない号泣につながることも。月齢が小さいのであれば、機内食の時間に関係なくお腹を満たしてあげてから飛行機に乗り込んだほうがいいと、これまでの体験から思います。眠くてもご飯が食べられるのって、かなり大きくなってからなんですね。

あとは、座席のリクエスト。赤ちゃんがいることを航空会社につげておくと、足元広めの席を確保してくれることも。荷物を置けるというメリットもあるのですが、なによりも、足元広めの席は目の前が壁になっていることが多い。小さい子は目の前のものを叩いてしまったり、折りたたみ式のテーブルを出したり閉めたり、じっとしていません。前に座ってる人の迷惑になるんじゃないかと、気が気じゃありません。ちなみに我が家では新幹線に乗る時も、進行方向一番前の席に座るようにしています。目の前が壁、ですからね。

しかし残念ながら、どれもこれも確実ではありません。離陸と同時に寝てくれたり、いつまでも寝グズが続いたり。親がどんなに努力しても、配慮しても、ダメな時はダメです。仕方ない。赤ちゃんは大人の思い通りになんてなりません。親が、一生懸命周りの迷惑にならないように配慮している様子がわかれば、周りも温かく見守ってくれる、この漫画家のようなことはレアケース、と信じたいのですが…。

ある夫婦が双子の赤ちゃんと一緒に飛行機に乗ったときのことが、ネットで話題になっていました。赤ちゃんは生後14週間。それも双子。機内で起こりうることは想像できます。そこでこの夫婦は、この難関を乗り越えるために、先手を打ちました。袋詰めにしたキャンディーを乗客に配ったのです。メモを添えて。内容はこうです。
「こんにちは!ぼくたちは生まれて14週間の双子の兄弟です。飛行機に乗るのは今日が初めて。お行儀よくするように頑張るけど、もしも落ち着かなくなったり怖くなったり耳が痛くなったりして迷惑かけたらごめんなさい。ママとパパ(別名 歩くミルクマシーンとオムツ交換機)が耳栓を用意しています。ぼくたちは20Eと20Fの席にいるから必要な時はいつでもどうぞ。みなさんが素敵な旅をできますように!」
夫婦の行動に感動した乗客が、ネットにこのことを掲載し、世界中に広がりました。この夫婦はツワモノです。配慮というか、先手必勝。こんな「はからい」をされたら、「泣き声がうるさい」なんて文句を言うことできません。あらかじめ、乗客を味方にしてしまう。アウェーをホームにしてしまう。結局、この双子は騒ぐことなく、飛行機を降りていったそう。親がリラックスしているのが、双子の赤ちゃんにも伝わったのでしょうね。
慌ただしい年末年始、様々な子連れ旅のドラマがあるでしょう。パパママ、どうぞリラックスして。親子ともども、怪我のありませんように。

2012年11月30日
増子瑞穂
http://members3.jcom.home.ne.jp/massyweb/index2.htm

再生JALの心意気/さかもと未明(漫画家)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121119-00000002-voice-pol

双子の赤ちゃんを連れて飛行機に乗ったパパママの斬新な「気配り」が大反響を呼ぶ
http://rocketnews24.com/2012/09/07/246647/

マッシー通信87 子連れで飛行機、グアムに行ったハナシ
http://www.nudn.net/maccy/87.html

マッシー通信58 子連れで新幹線に乗ったハナシ
http://www.nudn.net/maccy/58.html

あと、こんな素敵な国もあるそうですよ。日本もこうあってくれたらいいなぁ。
http://youpouch.com/2012/11/23/93029/