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増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 89(04/29/2011)

「おさがりのおもちゃ。」

4月。娘が1歳の誕生日を迎えました。二人目の子どもの1歳までは、一人目のときとは比べものにならないくらいあっという間。4歳の息子に振り回されているうちに初めての誕生日を迎えてしまったという感じです。
よくいわれるように二人目の子どもは写真が少ない。洋服も上の子どものおさがりが多い。そしておもちゃも例にもれず。
子どもを二人育てるのはもちろん大変なことで、手間は倍です。時にはそれ以上。けれど、色々使い回せるものも多いので、金銭的には倍とまではいきません。
(現実問題として、そんなにお金を使っていられないということもありますけれども。)

気がつくと、子供部屋は息子のおもちゃでいっぱいです。誕生日プレゼントやクリスマスプレゼント、おもちゃを卒業した家庭からのおさがり、そして年に一度か二度しか会えない遠く離れたおじいちゃんおばあちゃんからのたくさんの贈り物など。数も種類も大変なことになっています。
電子音が鳴ったり、光がピカピカしたりするものは、見栄えが良く華やかで、子どもにとって食いつきがいいもの。ですが飽きるのも早いものです。そして電池が少なくなってくると、音は割れ、メロディもゆっくり途切れ途切れに。ボタンを押しても反応しないので、そのうち見向きもしなくなります。親のほうも電池を入れるの が面倒で、いつの間にかそのまま放置ということも。

数ある息子のおもちゃの中で娘もよく遊んでいるのが、積み木。木製のものとクッション製のもので遊んでいます。積み木を投げたり、高いところから落としたりしています。時には「コツコツコツコツコーツ!!」と、積み木で色んなところを叩いていることも。見ると、テレビの両サイドにあるスピーカー部分を叩いているでは ありませんか!スピーカーにきれいにまあるく穴を開けてくれました。まぁ、まだ赤ちゃんですから仕方がありません。これも成長のひとつ、と涙をのんでいます。
最近では積み木で、息子と娘が遊んでくれるようになりました。息子が積み木を高く積み上げてやると、娘はうれしそうに寄ってきて、手を大きく拡げ思いっきり倒します。これを何度も繰り返します。こうなると、親としてはしめたもの。子ども同士で遊んでいてくれるので、その間に滞っていた家事を済ませられます。

ただの立方体ですが、子どもの想像力に任せると遊び方は無限。息子が積んで、娘が倒し、二人で声を出して笑い遊ぶ姿は微笑ましいものです。が、そのうち、息子が高く積み上げないうちに、娘が倒しにかかってしまいます。息子は「ダメッ」と怒り、娘は泣くことに。どうやら息子はスカイツリーくらい高く積み上げてから、倒 して欲しかったようです。
そんなわけで、子ども同士で遊んでいてくれるからといって、いつまでも家事が続けられる訳でもなく、親が介入することになるのですが。それでも積み木という単純な構造のおもちゃを通して、子ども同士のルールも学んでいくのでしょう。もちろん電池は必要ないので、いつの間にか電池が切れて見向きもしなくなる、というこ ともありません。

積み木は成長も感じさせてくれます。息子のときを振り返ってみると、生後まもなくはもちろん持つこともできません。色やカタチもぼんやりと見えているのか見えていないのか。それが目の前で振ってやると、はっきりと目で追いかけるようになり、いつのまにか持てるようになり。生後半年の頃はひたすらなめたり、生えかけの 小さな歯でかじってみたり。投げたり、落としたり、叩いたり。そして今、1歳を迎えた娘は積み木を倒すことに夢中。まもなく息子をまねて、自分で積み上げる楽しさに気がつくでしょう。色の名前も覚えていくのでしょう。息子が赤ちゃんのときから使っている積み木。子どもが二人になり、さらに遊びの幅が広がりました。 それにしても、積み木を投げても1歳の娘の場合は「上手ね〜。」と誉められるのに、4歳の息子の場合は「コラッ」と叱られる。同じ行為をしているのに誉めるから叱るに、いつ変わったのでしょう。毎日をひたすらこなすことに必死で気がつきませんでした。

さて、娘の1歳の誕生日プレゼント。色々考えましたが、結局、買わない選択をしました。息子のたくさんのおもちゃの中から、興味を示すものを発見するのが楽しみということもありますが、特に必要なものでなければ、その分を震災の義援金に回したいとも。子どもの誕生日に欲しいものを我慢させてまで募金するのは、個人的 にはどうかと思います。が、娘はまだ1歳。自分であれこれ欲しいとは思わないだろうし言うこともありません。誕生日プレゼントを買って消費に回し経済を活性化させるもよし、募金に回すもよしだと思っています。大切なのは、今、何ができるかをずっと考え続けることだと。
誕生日プレゼントの代わり、と言ってはなんですが、小さな防災頭巾を作りました。息子の保育園用に防災頭巾を作ったので、娘にも。
タオルを重ねて、中にオムツや着替えを入れてクッションにしています。こればかりは息子のおさがりではありません。
娘の初節句を迎えて間もない頃に起こった大震災。長く支援の気持ちを持ち続けるために。子どもの命を守ることの大切さをずっと忘れないために。

そういえば、電子音が鳴るものなど子どものおもちゃには電池を使うものが多くありますが、震災後、特に単一単二などの大きな電池が不足しています。今でも入手が困難です。我が家でも大きな電池を使うおもちゃがいくつかあります。入れっぱなしになっているものもありましたが、現在、これらのおもちゃからは電池が抜かれ 、有事に備えています。おもちゃも「節デンチ中」です。
さて、大型連休。震災以来、なんだか心まで節電状態でしたが、そろそろ動かさないと。外食したり、色々なところへ出かけたり。日本の経済は発電していかないと、ですね。

2011年4月29日 昭和の日

増子瑞穂
http://members3.jcom.home.ne.jp/massyweb/









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●積み木。素材も木や布など色々あります。

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●積んでは倒し、積んでは倒し。

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●小さな防災頭巾。

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●おまけ。スピーカーの穴。小さな子どもがいる日常の一コマです