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増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 83(10/31/2010)

「やっぱり、トイレ。」

 急に寒くなりましたね。大人も子どもも体調を崩しやすい時期です。調子の悪さがお腹に来ることもしばしば。この時期、急にトイレにかけ込みたくなることがよくあります。するとやっぱり、子どもを連れてのトイレのハードルは高いと感じます。
マッシー通信でも過去2回トイレ問題をとりあげました。1回目は子連れでトイレの大変さに気づいたことについて。そして2回目はオムツ交換台について。オムツ交換台から赤ちゃんが落下する事故が多いが、手を洗うための場所がオムツ交換台から離れていることも原因の一つではないかという内容です。
子連れにとって、理想のトイレとは。子どもが2人に増えて「子連れでトイレ」のハードルが一段と上がった今、もう一度問題点を考えてみました。

新生児期「オムツ交換台とベビーカートイレ」
一番困ったのは下の子がただ横になっているだけの新生児期の頃。首も腰も座っていないため、自分がトイレに行くためには赤ちゃんをどこかにゴロンと寝かせなければなりません。抱っこひもなら、寝かせておけるオムツ交換台のあるトイレを探すことになります。
しかし、オムツ交換台が設置されているトイレは多くなりましたが、トイレの個室の中にオムツ交換台が設置されていることは少ない。この「個室の中」にオムツ交換台があることが重要なポイントなのです。まさか、個室の外のオムツ交換台に赤ちゃんを寝かせたまま、個室に入るなんて考えられません。オムツ交換台に寝かせる ときは目を離さないことが鉄則。赤ちゃんが落下するおそれがありますし、また連れ去りの危険性も。
では、個室の中にオムツ交換台が見つからないときはどうするか。
答え。「抱っこひもで抱っこしたままトイレを済ませる。」
これが非常に難しい。荷物がぎっしり詰まったリュックサックを前に抱えたまま用を足すのを想像していただけると分かりやすいかもしれません。
ベビーカーの場合なら、ベビーカーごと入れるトイレを探しますが、見つからないこともよくあります。友人は以前、赤ちゃんをベビーカーから降ろし、片手で赤ちゃんを抱っこしながら用を足した経験があるそうです。片手で赤ちゃんを抱っこしながら、もう片方の手でズボンを降ろし、用を足し、またズボンを履いて。抱っこし ている手は終始プルプル震えていたそうです。個室の外のオムツ交換台に赤ちゃんを残すこと同様、ベビーカーごと個室の外に置いたまま目を離すのも危険なことです。しかし、そうせざるを得ない状況がしばしばあるのも現状です。個室のドアを開けっ放しにしてベビーカーの赤ちゃんの様子を見ながら用を足すわけにもいかない のですから。

お座り期「ベビーキープ」
赤ちゃんが少し成長して、首や腰が座って、支えればお座りができるようになったら、子連れでトイレのハードルは少し下がります。ベビーキープという簡易の椅子を使うことができるからです。ベビーキープが設置されているトイレも多くみられるようになりました。しかし、このベビーキープの設置場所に疑問を感じることも多 くあります。
先日、ベビーキープが設置された和式トイレに入ったときのこと。用を足すための体勢になると、ベビーキープに座った赤ちゃんは完全に死角に入ってしまうのです。ベビーキープには「目を離さないで」と注意書きがありますが、これではどうやっても目を離さざるをえません。ちなみにこのトイレには洋式がいくつかあったので すが、洋式トイレにはベビーキープが一つも設置されていません。洋式トイレの個室内にベビーキープを設置するスペースがないのでしょう。トイレを設計した段階ではベビーキープの設置は予定になかったことが想像出来ます。もちろんこのベビーキープ、ないよりはあったほうがいいので、贅沢はいえないのですが。

「和式?洋式?」
さて、ここまで親のトイレ問題について考えてきました。続いては子どものトイレについて。赤ちゃん期を卒業し、オムツがとれ、子ども自身がトイレを使うようになってからの問題点です。子どもにとって使いやすいトイレとは。和式か洋式か。お母さん達にアンケート調査を行いました。

和式派
・ 公園など外のトイレは衛生面が心配なので和式。
・ 洋式だと座るときにベタベタ色んなところに触らなければならないのが気になる。
・便座が冷たいのを子どもが嫌がるため和式。
・洋式だと高さがあるため、子ども1人では座れず不便。

洋式派
・和式で子どもを抱えて用を足させたら失敗して服を汚した。
・子どもを持ち上げてオシッコをさせても重いしやりにくい、和式は難しいので洋式。
・ 家と同じ洋式の方が使い慣れているため。
・ 基本は洋式。仕方なく和式を使う時は子どもを持ち上げてオシッコをさせるが、床を汚してしまうため後処理が大変。
・ 子どもはまだ1人で和式を使えない。

使い分け派
公共の洋式は衛生面が心配なので子どもがオシッコだけの場合は和式。ウンチは便座にトイレットペーパーをひいて洋式。

バリアフリーの面から考えると、現状の多目的トイレを見ても分かる通り洋式が大半をしめています。しかし子どもにとって使いやすいのは和式だったり洋式だったり。幼児期は特に成長に幅があるため、和式、洋式いずれかが使いやすいと一概にいえないようです。

「理想のトイレとは」
抱っこひも、ベビーカー、オムツ替え、子どものトイレに親のトイレ問題と、様々な要素が絡み合ってくると「これが理想!」というのは本当に難しいのが分かります。

できるとすれば。
・せめて一カ所は個室内にオムツ交換台を設置。ベビーキープに座れない赤ちゃんを連れている人のために。
・ 目の届くところにベビーキープを設置。子どもの成長に合わせるために和式、洋式どちらにも少なくとも一カ所ずつ。
・子連れにとって、一番使いやすいと思われるのはやはり多目的トイレ。用を足す体勢でも、目や手の届くところにベビーキープとベビーベット。ベビーベットの側に手を洗える場所。ベビーカーでも、幼児を連れていても入れるスペースを確保。
来年3月に全線開通する九州新幹線「みずほ」と「さくら」の多機能トイレは理想型にかなり近いと思います。限られたスペースの新幹線でここまでできるのだから、公共の施設でもそんなに難しいことではないのでは。

さらに、とても大切なポイントとして、トイレ待ちで並んでいる場所から見て、その個室がどういうトイレなのか分かりやすく示してほしい。和式なのか、洋式なのか、ベビーキープがあるのか、ベビーベッドがあるのか。よくトイレの入口に案内板があったり、ドア部分にアイコンで示していたりするのですが、分かりづらかった り表示が小さかったりすることが多い。そもそもトイレに行きたい一刻一秒を争うときにじっくりと案内板なんて見ませんよね。それならば、個室のドアそれぞれに「洋式」「和式」「ベビーキープ付きの洋式」と一目で分かるくらい大きなイラストと、はっきりしたカラーリングで表示してはいかがでしょう。
他の個室は空いているのにベビーキープつきのトイレが使用中だったら。そしてベビーキープつきの個室から出てきた人が赤ちゃん連れではなかったら。ベビーキープが必要な時、正直不愉快な気持ちになってしまいます。一人の時はベビー対応のトイレをなるべく使わないように気を配りたいもの。気持ちよい気配りのためにも、 どんな個室なのか一目で分かる工夫が必要ではないでしょうか。
息子は4歳1ヶ月、娘は6ヶ月。いずれは一人でトイレに行けるようになり、私のトイレ問題は解決します。それでもこれからトイレ問題に直面する人は子どもが産まれる限りどんどん生まれるのです。機能と優しい気配りで「子連れでトイレ」が解決される日が来るといいですね。

2010年10月31日
増子瑞穂
http://members3.jcom.home.ne.jp/massyweb/
http://twitter.com/massykachan

トイレ問題コラム。
http://www.nudn.net/maccy/41.html
オムツ替えコラム。
http://www.nudn.net/maccy/63.html
新幹線「みずほ」「さくら」多機能トイレ。
http://mainichi.jp/select/wadai/graph/20100615sakura/2.html









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●和式に設置されたベビーキープ。用を足す姿勢になると…。

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●こんなにコンパクトに畳めるベビーキープも。

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●トイレの案内板。じっくりとは見ませんよね…。

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●トイレのアイコン、一辺10センチくらい。うーん小さいかな。

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●個室のドアに、これくらい大きく表示すれば分かりやすいのでは。