NUDNimageNUDNとはimageID/PD分野についてimageお問い合わせ

image
partitionホームpartition芸術学部情報partitionデザイン学科情報partition学生作品partition卒業生作品partitionリンク集partitionメールマガジンpartition
image
コラム「創造力の根っこ」VoL.74 (02/06/2015)

色・パニック(panic 恐怖、あるいは混乱)   
                                  
鈴木淳平

ヒトの眼の進化が、色の認識と見る力を養い、色の使い方を多様化しました
ヒトは過去に色の使い方で生死を分かつ悲劇を幾多と経験し、未来も…
色の利用は平和的であってほしいと願うばかりです

赤い軍服
近代化前の戦闘服は、例としてフランスの皇帝ナポレオン以来の赤を基本にした軍服を第一次世界大戦までフランス軍が採用していたようです。
第一次世界大戦の最前線で赤を基調にした軍服に身を包んだフランス軍の兵士たちがバタバタと敵の銃弾に当たり崩れ落ちる姿は、格好の餌食・標的となり赤い軍服を着用していたフランス兵たちは、まさに色・パニックだったはずです。
英雄伝説に憧れ、職業軍人を輩出し、戦争が一般市民に及ぶ前の、戦闘地域・戦場と一般市民の暮らす街とが区別されていた時代の名残りで、男の気高さ、勇気、強さを誇示するかのような軍服の色が赤だったのです。

時代とともに価値観、誇り、氣高さや勇氣のあり方は移り変わり男の在り方も様変わりしたことを付け加えておきます。
迷彩色の戦闘服
近代化された戦闘服は、迷彩色を基本にしているのは、自然界の様々な色に混ざるように溶け込むように戦闘服の色を何色もの模様で表現し、敵に見えにくくカモフラージュすることで兵士たちの生存率を上げようと試みてきた結果です。
報道などで目にする戦闘服は砂漠地帯では砂漠を想わせる迷彩色、ジャングル地帯などの戦闘服は緑を多用した迷彩色など色彩が異なり、雪原での戦闘を想定した戦闘服はもちろん白を基調にバリエーションされた迷彩色です。
迷彩色の戦闘服をファッションとして着る人々
平和な日本において迷彩色の戦闘服を好んで着る、若者に限らず、老若男女に多様化させているファッション業界ですが、人の好みと言ってしまえばそれまでですけれども、近い将来、軍事教練や集団的自衛権のもとで着用せざるを得ない環境になるかもしれないと危惧する人も増えてきているようです。

戦闘服に限らず
文明の尺度である技術革新は、平和利用を最優先すべきでありながら歴史をみれば色の利用についても最先端軍事技術開発が見え隠れし、抜きに語れないことがわかります。

日本経済の屋台骨
日本経済をけん引する代表の一つである内燃機関から電気自動車・水素自動車など多様化する自動車産業の過渡期にあって色にかかわる技術開発のコンセプトカーが発表されて早や4年。2011年11月、トヨタ自動車はメガウェブ(東京都江東区)の「東京モーターショー前夜祭」で、自動車のボディーの色などを変更できる情報端末のディスプレイとして使えるコンセプトカー「Fun-Vii」が公開され、ユーザーがスマートフォンで好きな画像を選び、ボディーに向かってワンクリするだけでボディ表示を変更できユーザーの想い思いのボディ色・柄を選べるようになる、とニュースを観てビックリでした。
トヨタ自動車のサーバー経由とのことですが迷彩色を選ぶ人も出てきそうで自主規制するかはトヨタ自動車次第、他社メーカーも追従するはずなので何ともです。
軍事技術がヒトンか?
それより数年前、世界の警察官を自負する米国の軍事技術開発のBSドキュメンタリー番組で戦闘服の迷彩柄や戦闘車両などを見えないようにする背景を映すディスプレイになる服やボディのスケルトン技術を開発している実験段階の映像を観た記憶がよみがえりました。この技術が戦闘現場の戦場で使用されたなら無人飛行機に爆弾を積み遠く母国の米国からリモートコントロールされる無人兵器と同等の戦力になることは疑いようがなく、まさに柄を含んだ色・パニックが現実のものになることは避けられそうにありません。
それでも平和利用であって欲しい
未来の自動車に好みの色や柄を映し出すことで、運転中の周囲の自動車や人が気を取られ事故を起こしかねないという賛否論に発展しそうで、際限のない軍事利用と異なり規制の対象となるかもしれない話ですが、それでも平和利用であって欲しいと願わずにはいられません。

景気と口紅の色
 日本では1980年代末のバブル崩壊から約20年間のデフレから脱却しつつあるとマスコミ報道は、昨年辺りから経済の好循環を、モデルや芸能人が口紅の色を赤にし始めたことと結びつけ、変化の兆しが目に見える形になってきたという論評など出始めていました。
 OECDの世界76の国と地域を対象とした教育ランキングで、アジア勢が上位5位のうち3か国と2地域で占め、1位シンガポール、2位香港と、第4位の日本と台湾を抜き、韓国が第3位との発表がありました(2015年5月18日)。
その韓国では1997年のアジア通貨危機でIMFの管理下に入り、ソウル出張の際、韓国経済の回復は女性の口紅の色が赤になれば回復・好景気と話され、確かにその後の韓国ドラマを見ると赤い口紅をつけている女優が増えていることで証明され日本も韓国も経済復興は女性の口紅の色で分かるなぁと学びました。
赤い口紅
これからの日本が本当に経済の好循環を迎え、街を闊歩する普通の女性の口紅の色が鮮やかな赤に変化し見かけるようになったら違った意味で色・パニックに男性たちは、巻き込まれることになるかもしれません。
いつの時代も赤が色・パニックのキーカラーのようです。





 

 



 

 




 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










 

 

 




OECD:経済協力開発機構
Organisation for Economic Co-operation and Development
WIKIより


IMF:国際通貨基金
International Monetary Fund
韓国は経済支援を受け2001年8月、アジア開発銀行に2005年までに借入金は完済。WIKIより