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コラム「創造力の根っこ」VoL.73 (03/05/2015)

色シンドローム(syndrome 症候群、あるいは病的現象)   
                                  
鈴木淳平

 太陽光に近づけようとしたRGB、太陽光の反射色に近づけようとしたCMYK
太陽光、人工のRGB、CMYKが混在し歴史に影響を与え影を落としてきました
色の混在・氾濫が招く〈色・シンドローム〉の混乱・汚濁(おじょく)が見えてきます

人類は、自ら知覚した色の混在する世界に生き、増大・多様化する色に晒され、極論すれば病的な現象の〈色シンドローム〉に脅かされるていると言えます。
ヒトの眼の能力・識(色)別能力が地球上の頂点に君臨していると自負させ、眼による色の認識が人類を傲慢にさせながら正当化してきた歴史も見えてきます。

 幼いころから運動会などの競技で白組、赤組などの色分けによる区別・選別と競い合いを刷り込まれ、奨励され、競争心・闘争心を煽れ成長する日本人。
黒字や赤字の経済界、白星や黒星の角界(相撲界)、交通信号の赤・黄・青(緑青にみえても日本古来の習性で青と表現)、トリコロールの青・白・赤による〈自由・平等・友愛〉、我々は知らず知らず歴史の中の色分けを教育され色に対するイメージも植えつけられてきました。
「黄色」の色遣いが絶妙とされる画家のゴッホ、その黄色は本来は〈気が乱れた色の代表としての黄色〉であり、常人扱いされない人を表す色とされてきました。
また中世ヨーロッパなどでは、緑色は魔の色・悪魔の色・魔女の色のように言われ、近年のミュージカル『ウィーキッド』のイメージカラーが緑であることにうなずく人もいることと想います。

近代史・現代史を観れば色による区別・差別は明らか
人類の起源をアフリカに求めながら、アフリカを舞台に約300年間、奴隷貿易で差別と非道と搾取で繁栄を享受した〈色〉の差による劣悪・辛酸・野蛮な歴史。
今年に入ってもまだアメリカ合衆国では大問題は続いておりボルチィモアから全米各地に抗議デモが広がり警察官の行き過ぎた暴力に暴徒化した市民の映像が日本でもニュースで明かされています。アフリカ系アメリカ人の悲劇は公民権運動などで人としての復権を勝ち取りましたが依然、根強い抵抗と差別にあっていることをボルチモアに代表される〈色〉の差別事件が物語っています。
色シンドロームの世界に生きる我々の色の近代史のトピックです。
色々様々、色についての問題は書ききれないほど人類にまとわりつきナーバスな気分にさせられます。(氣分を晴らしましょう)

スペインを代表する〈闘牛〉、マタドール(闘牛士)が興奮した牛に布を振りつかせさらに牛を興奮させとどめを刺す。その布は何故、赤色なのか?
(近頃では牛は赤に反応しているわけではないとされています)
共産主義国の国旗のシンボルカラーは何故、赤なのか?

食の世界を観れば〈青色〉料理が極端に少ないのは何故でしょうか?
例えば日本人が好きなマグロが赤マグロでなく青マグロであったら?
目玉焼きの黄身が青身であったら?赤飯が青飯になっていたら?
 日本は特に青については後進国なのかもしれません。

映画『ビートルジュース』(『ナイトメアー・ビフォア―・クリスマス』のティム・バートン監督作品)のディナー・シーンでは、エビのカクテルに続いて青色スープが出てきます。近頃ではバレンタイン・デーやホワイトデーに青色のマカロンが商品化されてたりしますが、好んでプレゼントしようとする人は少ないかもしれません。欄外の写真は食用色素を遣ってデザートを赤と空色で作ったものです。個人的にはサプライズを感じ食文化の新しいページを自らめくったような氣分です。

色の氾濫
繁華街や夜の街をみれば、設置年数の古さから経年劣化などによる崩落の危険性がささやかれ始め社会問題化しつつある、想い思い色とりどりのネオンや電飾看板が溢れていて、いつ崩落による危害・人身事故になるかわからない現状も色の側面からとらえれば差別化・区別化など他より自分が目立ちたいがゆえに色が氾濫・混在したと言えます。

色が混在・氾濫する色シンドロームに晒されながら、色を身の周りで体験しながら、最終的にほぼ毎日食べる主食に、白米を選ぶところに、日本人・アジア人の色の基本があり、やはり白に行き着くことに、ほっとする氣がします。

日本人・アジア人は、この世に存在するすべての色は、実体のない仮の姿であることを理解する〈氣付き〉を遺伝子にもっているかのように想わされます。

色即是空
 色があることによる悲劇も、色による区別・差別も、太陽光に近づけようとしたRGBも、太陽反射色に近づけようとしたCMYKも、人の世のはかなさ、不安定さ、そことはかなさ、危うさであり、所詮、この世の色は人種や地域、言語によって人が創りだしたに過ぎず、すべては固有の色など存在せず揺らいでいる実体がないとする色即是空に色シンドロームも、東洋人以外の人が〈氣付く〉世の中になって欲しいと願います。





 

 



 

 




 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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青色スープではありません、自作のイチゴに生クリームと食用色素の青を混ぜ合わせたデザートです