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コラム「創造力の根っこ」VoL.72 (03/04/2015)

色・クライシス−2                       鈴木淳平

 太陽光の反射による総天然色、人工色のCMYK、LEDテレビなどの発光によるRGBの総人工色との三つ巴が入り乱れる世界に生きる人類
我々人類は、常に総天然色と総人工色の色認識を混乱し続けるのでしょうか?
総天然色と総人工発光色の〔色認識〕クライシスあるいはパラレル・ワールド

太陽光の反射の色よりもCMYKやRGBの人工色が主流になって世界の地域、民族や言語の差による色認識の違いを世界共通化、統一する〔色の標準化〕は、すでにパソコンでは達成されました。

現実は人工色によるCMYKとRGBの理解、使い分けに苦労する状況が続いています。学生時代の提出課題で失敗した経験をカミングアウトします。  『あおくんときいろちゃん』の絵本、映像化失敗談
 オランダ生まれのアメリカで最も活躍した絵本作家の一人として紹介される作者のレオ・レオニが国際絵本コンクールでグランプリを獲得し、現在でも人氣ある絵本の一つ、『あおくんときいろちゃん』を授業で紹介され、夏休みのどの授業の課題だったか忘れましたがその絵本の映像化に挑みました。
映画好きだったこともあり、3分程度の短編ながらタイトルやエンドタイトル・ロールにもこだわったことを憶いだします。自宅の部屋をスタジオに早変わりさせスポットライト数本の照明機材とどっちだったか壁か天井にスクリーン代わりに模造紙を貼り、撮影カメラはベータやVHSのカメラが高価だったので8ミリカメラで撮影するなど、現在では簡単にスマホやガラケーでカメラ撮影し誰でも映画監督になれる時代ですが、電子化による文明の利器が開花する前の時代でした。
ホワイトアウト
映像化にあたり集団による前打ち合わせ無しに、短時間で課題を仕上げる合理性に集中していたので、絵具を使って表現する手間よりライトに色セロハンをかぶせ色表現した方が撮影もしやすく時間短縮にもなると想い撮影を始めました。最初はエンドタイトルのアルファベットをAから順番に文字を所定の位置に貼り付けコマ撮りをZまで繰り返しアニメーション化し最後まで観ないと人の名前が完成しない自己満足のアイディアから始め、出来栄えはなかなかのものでした。いよいよ本題の『あおくんときいろちゃん』撮影はシンデレラ・タイムをまわり未明にさしかかり、2本のスポットライトにそれぞれ青色と黄色のセロハンをかぶせ真っ暗にした部屋でライトを点灯させ、欄外の表紙画像のように、端と端が重なったところに緑色が現れることを期待しカメラ・アングルの左右に分けて映し出し発光した青色と黄色をゆっくりと中央で重ね合わさるように寄せ、交わせた瞬間…。
ホワイトアウト・クライシスに襲われました。(無知でした)

光を重ねたことで透明になり模造紙の白が見えたホワイトアウトだったのです。色を発光させ重ねたものと絵具を混ぜ合わせたものとでは、真反対とでもいうべき差のパラドックス(paradox)的な体験をした瞬間でした。光の三原色には黄色はないのにと、?マークが頭に飛び散りました。

 CMYKとRGB
新聞や雑誌、フライヤーなどは、CMYKを基準にしたインクで印刷されます。鮮やかな色彩を表現するには特色(とくしょく)のケイピン(蛍光ピンク)や若草(明るい緑)を加え印刷します。多くの印刷機は4色機(CMYK)ですが特色を加え印刷できる6色機もありドイツ製が世界的には高性能とされていた20世紀でした。
  「お・も・て・な・し」を合言葉に2020年に東京でオリンピックの開催が決まりハイヴィジョン薄型テレビがさらに進化しLEDによる4Kや8Kのスーパー・ハイヴィジョン・テレビが市場をにぎわすはずです。1964年の東京オリンピックの時は、開催されるのを機に一般家庭にブラウン管のカラーテレビが普及するようになり、なじみのない言葉RGBが表面化し始めていました。
プラズマテレビとLEDテレビ
 太陽光の反射で見える現実の色にヴァーチャルな色彩で映るテレビにも自然光の反射に近い再現性を誇った薄型テレビのパイオニアとなったプラズマテレビがありました。LEDが主流になりプラズマテレビは市場から姿を消したに等しい今日、そもそもプラズマテレビとLEDテレビと見比べて薄型テレビを購入した人はいたのでしょうか?(色認識が人様々だと分かります)
 勿論、LEDの発光色も太陽光の反射色に近づけようと原理的にもイコールなはずですが似て非なるパラレル・ワールドです。反射色と発光色の差だからです。
太陽光の反射で見える現実の色は、問題にならない21世紀なのでしょうか?
LED薄型テレビ、LEDディスプレイ・パソコンに慣れ親しむ世代が次世代のデザイナーになるのならば…。LED発光の色のRGBは必須で必然かもしれません。
 PCでの色指定ミスや印刷上がりに、ご注意!
パソコンでの色指定には十分な注意を心掛けるようにしましょう。見ている画面の発光色とプリントアウトの反射色に近い発色が異なることを理解し、各ソフトの色選択指定を確認しないままにすると色・クライシスを経験することになります。
太陽光の反射による総天然色とLED発光による総人工色の永遠の2重螺旋
〔色〕の三原色〔光〕の三原色
色の三原色と光の三原色の差を理解できたでしょうか?
色の三原色を混ぜ合わせれば黒に、光の三原色を重ねれば透明です。
ノーベル賞を受賞した青色LEDが日本人の手によって出来たことで光の三原色の近代化を促進しほとんどの色が発光できるようになり世の中に役に立つ恩恵は計り知れない文明の発展をもたらしたと多くの人が知るところです。

太陽光をあびながら生きてきた人類がその恩恵よりも人工色を重んじるならば自然との棲み分けを選択したことで前述した〈バベルの塔〉が身近に迫っている裏付けではと感じながら、太陽や自然に対する畏敬の念を忘れられません。





 

 



 

 


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『あおくんときいろちゃん』、 レオ・レオーニ著、藤田圭雄訳、至光社 1967年出版。
あおくんときいろちゃん (至光社本)1984/1www.amazon.co.jp/、より。
www.ehonnavi.net/ehon/615/あおくんときいろちゃん/、」より。
ja.wikipedia.org/wiki/藤田圭雄、より。



 

 

 

 



 

 

 



フライヤー(flyer,flier):広告の媒体として遣われる言葉。チラシ、ビラと同じで時代によって世代によって言い方が違うように感じますが使い分けしている人はいないようです


CMYK(シーエムワイケー)
C=シアンcyaan,cyanの青(青緑)、
M=マゼンタmagentaの赤(赤紫)、
Y=イエローyellowの黄色、
K=くろkuroの黒、またblackのkとの説もあり)

RGB(アールジービー)
R=レッド・REDの赤、
G=グリーン・GREENの緑、
B=ブルー・BLUEの青(青紫)、


パラレル
(parallel)・ワールド
2つの物事が平行する状態、
太陽光の現実とヴァーチャルなPCの世界が平行
しているのが現在。


念のため:パソコン画面はRGB、
印刷はCMYKです。
作図ソフトや画像加工ソフトは、画面や完成作品の色をCMYK,RGBで指定できるようになっています。