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コラム「創造力の根っこ」VoL.71 (01/03/2015)

色・クライシス(crisis 危機、あるいは恐怖)          鈴木淳平

色(色彩)を共通認識していたと想う時代を懐かしむ時かもしれません
総天然色の時代から文明の発達で総人工色の時代に移り変わりつつあります色は、我々に生命現象にも影響を及ぼすと再認識する必要を語りかけています
色の共通認識は可能なのでしょうか

「…彼らの言葉を乱してやろう。彼らが互いに相手の言葉を理解できなくなるように」(「バベルの塔」ウィキペディアより「創世記」11章1−9節から)、言葉だけでしょうか?
 国際化の波に飲み込まれ英語が世界標準語になり、産業界ではISO(国際標準化機構)の取得による製品の工程管理や仕様書の国際標準化が推し進められた今日、バベルの塔時代の再来に想えてきます。
色の世界でも人工色による世界標準色が浸透しつつある現状がバベルの塔時代と同じではと感じさせます。
色の世界の危機、あるいは恐怖が迫っているのでしょうか?
バベルの塔の崩壊が事実ならば色の世界の崩壊も顕在化するかもです?
すでにクライシスは始まっています!

〔例のドレス〕がネットで話題に(2月28日2015年)
 「世界中のソーシャルメディアでは“青黒派”と“白金派”の戦いが起きています。見る人によってドレスの色が違って見えるというある1枚の写真をめぐって、「青地に黒のラインのドレスだ」「いや、白地に金色のレースだろ」と、世界がまっぷたつに割れて議論が盛り上がっています。ねとらぼ 2月28日(土)21時33分配信)」
これは色に対する世界の地域、人によって見え方が異なることからメーカーでは正解後完売し、間違った片方のドレスも生産したという話で、色の非共通認識による新マーケティング戦略に例えられるかもしれません。
色のない深海探索の流行
深海探索が流行で映像を見る機会が増えてきました。ほとんどの生き物に色はありません白色に見える何とも摩訶不思議な生き物たちが画面を横切る姿を見ることができますが、色という色は見当たりません。
光の届かない深海の景色は、カラーテレビが普及する前のモノクロームの世界がいまでも存在していようです。
深海探索艇がライトを照らし高感度カメラで撮影していることから白い生き物たちに見えますが、裸眼では光のない闇の世界では何も見えません。
光のない世界では色は、ないとされています。

色は、〔例のドレス〕の例のように世界共通認識されていないのでは?
人は、色をどうやって認識しているのでしょう?
色は、個々の物体に客観的に存在するのでしょうか?それとも…
色の認識は光なくして成り立たない
 人が色を認識する仕組み
かつて分子生物学者の福岡伸一(ふくおかしんいち)がオランダの17世紀の偉大なる画家ヨハネス・フェルメールの絵画『真珠の耳飾りの少女』の映像を眺めるところから始まり、「光の魔術師」の異名をとるフェルメールに焦点を当てながら色の認識について語り始めるテレビ番組がありました。
「光をプリズムに通して分解してみると、様々な色が含まれていることが分かる、この光をとらえることで私たちは色を認識しているのだ」。
「リンゴが赤く見えるのは、実はリンゴが赤い光を反射しているからだと言う」
(それ以外の光はリンゴの中に吸収されてしまっている)
「脳が赤いと感じている」(注:言語が異なれば色の固有名詞も異なります)
リンゴ全体の色は赤と認識されていますが、実際には微妙に文字通り色々な色を反射しているのが正しく一色だけの赤に見えない理由がそこにあるようです。

〔色の世界〕は自然光と人工光の2重螺旋あるいは二つ巴(ともえ)
太陽の自然光なくして人類は色を認識することはなかったことになります。
古代の人類が偶然にも稲妻や摩擦などの自然現象から〔火〕を起こすことを覚え始めた時から、人類は人工による光を手に入れ人工光による色を認識するようになった言えます。
光は太陽や月、夜空の星々の自然光と、火を起こすことで学習した人工光に分けられて以来、DNAの2重螺旋(らせん)のように人類にまとわりついてきたのかもしれません、あるいは寄り添ってきたのかもしれません。
色は三つ巴の世界
光源が最低2種類ある中、脳による色の認識は何種類になるのか?
三つ巴が現状です。自然光で見える物体の総天然色が基本になります。
(厳密には自然光での物体色と人工色での物体色は別ですが同類とします)
人工光で見える物体の色を総人工色としていうなら、最低2種類あります。

人類が自然光の総天然色に近づけようと工夫・発見・発明した絵具は、色鉛筆やクレヨン、パステルなどがあり顔料と染料に分けられています。
PANTONE(パントンカラー)、DIC(ディックカラー)など紙に印刷した色見本なども含まれます。 これらは色の三原色を基本にしたCMYKで表すことができます。
パソコンが普及し新たな色がパソコンの画面上で〔発光〕しています。
これらの色はRGBで表しています。

混沌と混乱を招いている〔色の世界〕
〔創造力の根っこ〕である脳の中で認識される〔色の世界〕が色・クライシスになる理由は、多岐にわたり多様化された〔色の世界〕の現状が現代社会が生み出したバベルの塔に似て、崩壊あるいは崩落が近づいていると感じています。
そもそも、人類は色を共通認識できるのでしょうか?





 

 



「バベルの塔」、「創世記」11章1−9節の引用はウィキペディアの注釈:フェデリコ・バルバロ「創世記」『聖書』、講談社、p24、2007年第16刷(1980年第一刷)から


ISOInternational Organization for Standardization: 国際標準化機構、
1947年設立、147カ国が参加。本部はスイスのジュネーブ:文字並びはIOSですが、「isos」というギリシャ語の「平等」が起源としたことでISOになったとされる。




 

 

 

 










 

 

 

 



「奇跡の地球物語」〜近未来創造サイエンス〜色の認識、テレビ朝日、2012年4月1日放送より、文字おこし抜粋







 

 

 

 

 

 

 

 

PANTONE(パントンカラー)国際的に普及してるといわれる色見本で、携帯電話会社のCMでも有名。

DIC(ディックカラー)印刷会社やデザイナーなどで色指定や色合わせに利用され日本では一般的な色見本1967年から出版)