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コラム「創造力の根っこ」VoL.64 (04/08/2014)

「見る力」が記憶から想念を呼び覚ます
                                 鈴木淳平


「眼に見えないものは信じない」と多くの人は言います、脳の中の心象や想念は眼に見えなくても信じられ自覚できる主体性があるからです。
アイディアを含め眼に見えない想念から自己改革・幸運など多くのチャンスが生まれます。独りよがりは別にして想念は、経験した記憶から主体性ある「見る力」によって呼び覚まされると思います。

「アイディアが浮かんだ」と多くの人の言い方です。
脳が想念を自覚・認識したことを意味する言葉です。
想念が浮かび上がり自覚・認識する前は、脳内でどんな働きがあり、どんな情報経験をしているかさかのぼってみます。
アイディアが浮かぶまでの脳の働きは次のような心象の情報経験を繰り返しながら年を重ねています。興奮を覚える感動体験も含まれます。
〈想念化学変化プロセス〉と名付け、脳内の段階的働きは以下の通りです。
1、体験:五感による外部刺激を脳が認識し、強弱を含め記憶します→2へ
2、感動・興奮:肯定的感覚と否定的感覚の両方の物差しが働きます→3へ
3、発見(問題):感動作用を再認識する上でどこか〈腑に落ちない〉状態→4へ
4、想念:解決選択肢(案)、「アイディアが浮かんだ」状態、改善の自覚→5へ
(5、解決:脳内で解決するものと脳から行動指示を五感が受け外部へ実行)

有意識、無意識どちらでも末端センサーである五感(眼・耳・口・鼻・肌の触感)が外部の刺激を受け、その現象・経験を受動した脳が情報として認識していく作業を繰り返しながら記憶し記憶量が年と共に比例するのが普通です。
当然、個体差はあります。また社会環境によって世代的に左右もされます。
通常の人間の脳の使用比率はせいぜい多くて2,30%程度だそうです。
主体性ある「見る力」を活かせば膨大な情報量を記憶できることになります。
感動体験を記憶した後、次に外部刺激を受け記憶を想起させ照らし合わせ共通の記憶か新たな体験情報の発見かを脳は瞬時に見極めています。
発見は問題発見であり好奇心や問題意識の有無のレベルは、深読みする人、見過ごす人、意識的に観ないフリをする人、何も感じない人などそれぞれです。
問題が分からなければ解決できない、問題が分かれば半分は解決したも同然。

あとは実際に行動するか会社であれば承認が必要で、失敗しないように〈夢は叶う〉の叶う漢字の字面通り多くの人の意見を聞くことで解決精度を向上させるのが普通です。一概に言えないのは、仮に10人参加の企画会議で商品化案を10人中8人が賛成なら〈没〉、1人か2人が理屈や打算抜きに賛成した企画を結果〈GO〉とした方が、市場でヒットする可能性が高いと言われたりもします。
市場導入までの開発・設計・生産のタイムラグがモノつくりにはあり、会議の今と近未来の市場導入の今と混同せず改善能力など前向き姿勢が求められます。

記憶を区分すると1:メモリー(録画・既知)、2:キープ(保存・記憶)、3:プレイ(再生・想起)になります。記憶は〈コト〉です細胞などの〈モノ〉ではないのです。
記憶細胞と言う人がいますが正しい表現ではないと想います。
〈想念を呼び覚ます〉は、プレイの〈想起(そうき:想い起こす)〉を含み、経験を情報保存した〈記憶〉と今経験している〈現在の刺激〉と類似、相似、相異などを確かめながら脳内で想念化学変化プロセスにより合成作業で、合成後の新たな情報であるアイディアや想念を意識にし、〈アイディアが浮かんだ、想いついた〉の前段階を含めより詳しく説明し認識することです。
想念は、想いついたよりも過去の経験情報の記憶と結びついているのです。
想念は、おぼろげで人に説明できるほど鮮明でなくアナログで科学の申し子デジタルと相反し脳の中で蠢(うごめ)いているイメージの状態です。
〈想いつき〉段階で人への説明は容易ではなく、記憶が飛ぶ恐れもあります。
イメージなのでフィックス・固定するツール・道具として知識を活かすインストルメンタリズム(コラム62)によるパソコンや紙などの伝達メディアを遣ってヴィジュアライズ・具現化による共通言語化が必要になるわけです。

〈記憶〉とは、唸り(うなり・beat:うねりではありません)となった状態だと想います。脳内を複数の微電流が走り交差し新たな波動となった〈唸り〉状態で保存されているのが記憶と想います。記憶した時と同じ複数の微電流を脳内に流せれば瞬時に想起(思い起こす:憶い出す)できるはずです。同じ複数の電流でも周波数が微妙にズレていれば求める記憶を想起出来ず暗中模索することになります。
憶いだそうと検索を繰り返すなど、憶いだせず記憶した時の状況を憶い返したり、居た場所や関連した事象をまさぐりながら、かすんだ記憶から元の記憶全体を呼び覚まそうと懸命に記憶を検索する行為を繰り返すのです。
〈現在の刺激〉で人体の末端センサー(五感)で最も情報取得量の多いのは、眼からの情報刺激といわれています。〈人は眼の動物〉といわれるゆえんです。
〈見えている〉だけなのか〈見ようとする〉のかで脳に入る情報量は大差です。
「見る力」は眼だけではなく、〈手や肌で触って感じて見る〉、〈耳で聴いて見る〉、〈口で味わって見る〉と末尾の〈みる〉を〈見る〉に変えることで五感すべてに共通する能力となり説得力が見えてきますが主体性が重要です。
五感である末端センサーは、一方通行の情報収集能力だけが備わっているのではなく双方向・インタラクティブな情報発信ツールでもあるのが、あらためて〈優れモノ〉を人体は有していることを再認識させられます。

過去に五感・末端センサーが受けた刺激を経験情報として保存状態の記憶と、新たに今経験している刺激とを、〈想念化学変化プロセス〉を作動させ主体性の「見る力」によって想念・アイディアを呼び覚ましているのです。