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コラム「創造力の根っこ」VoL.62 (01/06/2014)

「見る力」は〔根っこ〕にあり                      鈴木淳平

〔見ようとする目〕の意思が情報を生きた知識に変えます。
〔見ようとする目〕は、外部刺激→受動・感動体験→問題発見→解決までの化学変化によって知識を見識に高めクリエィティヴな「見る力」になります。
目的に合った養分を吸い上げる〔根っこ〕の働きが「見る力」を養います。

植物が必要とする様々な養分・ミネラルが土の中に内在しています(右図上)。
ヒトも連綿と築かれた文明や文化に色々様々、種々雑多な必要とする情報や知識が内在されていることを知っています(右図下)。
植物の種には、発芽、成長、花や実の設計図が遺伝子として内在し最後にまた受け継がれる種を残す機能があります。植物自身の生存と遺伝子を刷り込んだ〈種〉を残し受け継ぐ姿に絶え間ない〈意思〉を感じ取れます。
逆さまな植物の図を見比べれば人の姿に見えてくるのはヒトの進化過程で自然界から様々な機能を取り込んできた姿が写し出されていると感じさせます。

人間の脳も種と似て一つの種が想像力をはたらかせ成果となる実・夢実現に向かう能力を備えていますが、植物と違うのは、例えれば一つの種からモモ、サクランボウ、スイカなど人それぞれ想い思いに異なる実を一本の木(一人の脳)で成果させられる創造力をもっていることです。
人間の脳を種に例えましたがそこから空間に伸びる〔根っこ〕は物理的な毛髪ではなく五感を通して情報や知識を脳に取り入れ見えない記憶として残す姿を表そうとした結果、稚拙にも逆さまな図が妙にはまっていることに氣付きました。

地中の中の植物の〔根っこ〕とヒトの脳の〔根っこ〕の違いは環境の変化を迅速に取り入れ順応していく速さにあります。植物と違いヒトは立って歩くようになって以来、〈見えている〉だけでは対応できない「見る力」の〔根っこ〕の働きによって環境の変化に対応し進化してきたと感じさせます。脳が外部情報を化学変化させ想像力と創造力によって知識とそれ以上にしたことを知ることになります。

三識(知識・見識・胆識)
知識は、「…人の話を聞いたり、書物を読んだりして得る、ごく初歩的なものでありますから、薄っぺらであります。」、知識は、情報過多の〈知っている〉〈見えている〉だけで、〈読み取る力〉、〔見ようとする目〕を活かせない〈宝のもち腐れ〉と同じで、知識は目的がなければ役に立たないと理解してよさそうです。
見識は、「…経験と学問が積まれて見識にならなければなりません。」、〔見ようとする目〕で本質を見抜く力と正しい判断力を備えてこそ見識ある人です。

胆識(たんしき)は、「…その上に実行力が加わって初めて胆識になるのです。」
「したがって知識だけではだめでありまして、知識が見識になり、その見識も最後には胆識になって、初めて役に立つのです。…いわゆる実際家ほどこの三識が要求されるのであります。」
見識に行動力・実現力が伴った胆識を備えるには、成長に必要な情報・養分を吸い上げる根本の〔根っこ〕の役割が大きなカギを握っていると想います。
〔見ようとする目〕・主体性をもてば可能性は無限になり、夢の実現である成果も無限にあると感じます。
(正しく人間の尊厳を守り社会貢献を実践できた人が本物の胆識ある人です。)
 安岡正篤のいう実際家はプラグマティズム(欄外)の実践者に似ています。
プラグマティズム(pragmatism)は、実用主義、知識が正しいか否かを、その知識に基づいて行動した結果で判断するという考え方で、思考や観念よりも行為を重んじる。(実用主義は誤解を招くので訳されなくなったようです
真実・真理追求か、実際・現実追求か(大きく二分する現状が続いています)

情報とは行動に必要な知識である
行動に必要な情報を得る、それが知識です。(情報を知識に変化させる)
行動することは、目的をもって動き出すこと。
目的をもてば必要な情報は奇跡のように寄って来る時もあり、ある人は〔引き寄せ〕と言っています。目的に向かう行動は情報を知識に変えます。
情報は目的ある行動への知識という知的道具
多くの人が、見えないものを信じようとしません。見えないところに重大な真実が潜んでいることを多くの人がここ数年で経験したにもかかわらずです。
原発の放射性物質、放射能は色も形も臭いも無い見えない存在です。
知的道具も同じです。普通の道具は目に見える物質で無になりますが、知的道具は目に見えない物質で無い記憶や精神と同じで永遠かもしれません。
知識は成功への知的道具
プラグマティズムから派生したインストルメンタリズムがあります。人間の知的活動は現実社会に適応していく器具・道具であり、道半ばの障害を克服し、行動と結果を含め〈成功・達成〉を織り交ぜた〈情報は成功への知的道具〉の解釈が成り立ちます。三識、プラグマティズム、インストルメンタリズム、どれも根本に「見る力」の〈根っこ〉が本質にあり結果・成果へ導くと感じ取れます。
「結果を出す」は大事ですが、知的道具の正しい活用が求められている日本社会です。

植物の地上に出た幹の大動脈を通して花を咲かせ、実を成らせる〔縁の下の力持ち〕ならぬ〔土の下の力の元〕なのが張り巡らされる〔根っこ〕です。
〔根っこ〕から吸い上げた養分を化学変化させる脳が想像力を創造力に変えるように、「見る力」が人それぞれの異なる目標、夢、成果の可能性を無限にさせていると感じさせます。人が自らをプロジェクトするのが人生かもしれません。

 














図解:「創造力の根っこ」Vol.8、『脳は芸術・創造の種と根っこ』に掲載

 

 

 






(「」引用(…一部割愛)、『先哲講座』P241〜242、安岡正篤(著)、竹井書房刊)




 

 

 

 


 

 

 

 



プラグマティズム(pragmatism)〔哲学〕(事象の意のギリシア語pragmaから)事象に即して具体的に考える立場。観念の意味と真理性は、それを行動に移した結果の有効いかんによって明らかにされるとする。主としてアメリカで唱えられ、パース・ジェームズ・デューイがその代表者。実用主義。(出典電子辞書:広辞苑/逆引き広辞苑)

 

 

 

 

 

 

インストルメンタリズム(instrumentalism):デューイの認識論の立場。
人間の知的活動は環境に適応してゆくための方式であり、概念や心理などは生活過程での障害をとりのぞくための道具にほかならないとする。器具説。道具説。(出典電子辞書:広辞苑/逆引き広辞苑)