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コラム「創造力の根っこ」VoL.39(7/01/2012)

「キャラクター・ビジネス−5」                 鈴木淳平

著作権者の権利と義務
ヒットすれば著作権契約で支払われる高額な印税は著作権者の特権です。
「継続は力なり」、著作権者が負う義務は、キャラクターである作品・商品を活かし続け消費者の購買意欲を刺激するコンテンツで魅了し続けることです。
著作権管理会社は、例外を除き著作権が消費者から飽きられる前に、常に市場に対して需要を喚起する策を講じ続けなければなりません。
例外は、TVアニメであれば放送終了後に人氣が再燃することもあります。
人氣を博したキャラクターは3、5、7年などの周期説で復活する、復活させることができれば人氣を取り戻せるという経験法則が、かつてはありましたが現在ではヒット・コンテンツ不足でリバイバルさせる周期が短縮傾向になってきています。

著作権の義務である継続性は、維持していくには相当の努力と才能で〔想像力の根っこ〕に常に養分をおくり続け、研ぎ澄まされた五感からの刺激を知覚し作品・商品に活かし続けることを著作者である原作者に求められます。
またはマンガ家ならばアシスタントを雇い作業を分業化し異才能集団の創作活動で、発想に重視しその作品・商品に〔らしさ〕であるブランド・マネージメント、キャラクター・マネージメントに集中することが大切な持続力の秘訣です。

キャラクター・ビジネスの成功者は一つのコンテンツでたくさんの人が名乗りをあげるものです。「あれは私が描きました」、「これをやったのは僕です」など異才能集団によって創りだされたものであればあるほど成功者が沢山出てきます。
予想を裏切り人氣が出なければ原作者、本人の努力不足と才能が枯渇したかのように失敗者は一人・マンガ家本人だけが失敗者になってしまうケースもあり原作者の力量である経験、才能が試され続けるものです。
一方で、誰にでもチャンスがあるキャラクター・ビジネスであり続けています。

ライセンサーである原作者・著作者の義務は、キャラクター・ビジネスの継続に欠かせないのは、作品・商品のキャラクターの人氣を常に保ち続けることです。
ライセンシーは、ユーザー、ターゲット、ファン、消費者の欲しくなる魅力あるキャラクター商品を提供し続け利益を生み出し著作権料、印税を払い、みんなが喜ぶWINWIN・ビジネスを心がけることが重要で楽しみにもなります。
キャラクター・ビジネスは契約で著作権料を払う商売ですので、ライセンシーはライセンサーに宣伝告知の計画やボリューム、人氣を維持する取り組み方や仕掛けなどの情報提供を請求し共有することで、どのタイミングで新商品を発売するか、どのタイミングで独自の宣伝をするかなど相乗効果を狙い、より多くの商品が売れる努力を同時進行で動かなければ計画と実績の差は歴然となります。
昔と違い広告代理店に頼る宣伝方法から、デジタル化が進み、スマホ、SNSなどで口コミによる商品情報がインフルエンスする傾向が増加しています。
努力で支払われる対価が著作権契約料や合意された料率の掛け算から積み上げられる印税となるので、続けるには版権元・コンテンツ・ホルダー、著作権者は継続的に印税が入るように新作の投入やキャラクター人氣を維持することが、クドイようですがライセンサーの義務なのです。
策を講じなければライセンシーは契約を売り切り、その時点で市場へのキャラクター商品の供給が止まり事実上キャラクターは市場から姿を消しキャラクターの寿命は尽きることになります。

キャラクターのリバイバルによる定番化
予想と経験法則に反し市場から姿を消したキャラクターがファンの間で語りつがれメディアを動かしローカルテレビ局で放送された『機動戦士ガンダム』にファンが騒ぎはじめあわてて映画や全国放送でリバイバル上映されブームを巻き起こした例や、大手スポンサーがテレビ放送提供を断ったおかげで『新世紀エヴァンゲリオン』の大ブームのきっかけになった事例など、いずれにせよ圧倒的にファンが支持した結果起こるリバイバルの事例です。
また仕掛け側の製作者側が意図してリバイバルを仕掛けて成功する時もあれば失敗する時もありその分岐点でどちらに比重が傾くかはファンの人氣が左右すると理解できます。
雑誌連載から人氣がでて土俵に上がり巨額の初期投資費用が掛かるTVアニメ化のリスクを回避する裏付けとして単行本の売れ行きが判断材料になる成功法則もあれば、『新世紀エヴァンゲリオン』のように大手スポンサーに断られたことで爆発的なヒットになるものまでファンをトリコにするコンテンツの独創性が大きく作用し、ひとたび大ヒットしブームになればファンの心に生き続けていくのがキャラクターなのです。
続編を出しリバイバルをさせることで定番化への道が照らされ始めます。
キャラクター・ビジネスは、キャラクターがファンや人々の心に生き続け文化となり影響力を持ち定番化することでビジネスの可能性が飛躍的に増大し拡充した商売を期待できるようになるのが面白いところでもあります。

最初にコンテンツとして産声をあげる前に原作者や監督は、ネーミングやキャラクター設定、コンテンツである内容などを執念に似た、徹底的にこだわった独創力で創りあげていく水面下の動き、努力、悩みを解決し作品・商品に結晶化させていく情熱と集中力が大きく作品・商品の売れ行き動向に左右することを知っています。キャラクター・ビジネスに限らず多くの人が知るところです。
原作者になろうとすれば、〔想像力の根っこ〕にたゆまなく養分をおくり続ける努力をし、日々の感動と観察力から化学変化する問題意識と自分流解決案のオリジナリティに変換させる〔ヒラメキ〕を大切にしながら独創性を貫く〔らしさ〕で新しいキャラクターを創造する努力を繰り返しつつ、社会性である著作権契約や異才能集団作業を同時にこなすことが重要性だと理解できたと思います。