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コラム「創造力の根っこ」VoL.34(1/31/2012)

「アニメ時代−3」                        鈴木淳平

ガンダムとエヴァンゲリオン、TVアニメ黄金期の象徴として双璧な二大アニメ。いずれも連載マンガからでなくTVアニメ用として製作されました。
マンガから続く伝統を深化させテレビの本来の意味であるマスメディアの影響力を如実にした作品であり商品として時代を凌駕した二大TVアニメです。

『機動戦士ガンダム』は、1980年代を代表するTVアニメ
 TVアニメとして1979年から名古屋テレビから放送された【ロボットアニメ】の『機動戦士ガンダム』は、放送終了後あまりにも視聴者の反響が大きかったことから劇場版と東京から全国に向け再放送され定着しました。
団塊ジュニアの男の子たちが熱狂し社会問題化した【ガンプラ(ガンダム・プラモデル)】ブームが例としてその絶大な人氣は、語り草として伝えられています。1980年代を代表するTVアニメにふさわしい『機動戦士ガンダム』です。

『新世紀エヴァンゲリオン』は、元祖AKIBA系、1990年代を代表するTVアニメ
1995年テレビ東京で放送されたエヴァンゲリオンは、今までのガンダムに代表されるロボットアニメ(メカ系=メカニカル・ロボット)と違った世紀末を代表する必然を感じさせ強力なインパクトがありました。
秋葉原を世界的なMANGA・ANIMEの聖地として知らしめ日本が誇る産業としても定着させたエヴァンゲリオンといえそうです。1990年代を代表するTVアニメにふさわしい『新世紀エヴァンゲリオン』です。
ガンダムがTVロボットアニメの口火を切ったスターターとするならばエヴァンゲリオンは現時点でアンカー役といえるかもしれません。

『機動戦士ガンダム』と『新世紀エヴァンゲリオン』の共通点
バブル前夜、団塊ジュニアが牽引した1970年代終わりからのたった一つの成功法則であった連載マンガ、単行本化を経たアニメ時代に、新たな成功法則を示したガンダムとエヴァンゲリオンです。
両者の共通点は、原作がマンガではなく初めからTVアニメとして製作されたことでした。そこには〈当たるか、ハズレるか〉、ノルカソルカ、成功か失敗か、の大きなリスクが潜むGRPを無視した成功事例として輝いた二大TVアニメです。
両者は、初回の放送では爆発的な人氣はなく、視聴者の感動による熱い視線によって再放送の復活成功によって巨大な市場を築き上げました。

TVアニメと視聴率と提供スポンサー
TVアニメの製作は、広告代理店による提供スポンサー(広告主)の獲得なくして成り立たない時代でした。提供スポンサーはマンガ・アニメに対する価値観を自社の製品ほど情報をもちえていなかったからです。
連載マンガが売れ、単行本化で定番化し、帯(ベルト)放送されるTVアニメ。
スポンサーは膨大な提供料を支払う見返りに、自社製品の告知・認知・売上を期待できるメリットを視聴率に比例して感じる時代でした。 同時に文明の利器であるビデオ・レコダーの登場により視聴者の中心的存在である団塊ジュニアの子どもたちの〈ケイコ・マナブ〉の塾通いが一般化しリアルタイムでアニメのゴールデンタイムである時間帯の視聴率が精度を欠きテレビ局と広告代理店、提供スポンサーの思惑にズレが生じてきた時代でもありました。

TVアニメの製作費
1年を4分割し番組改編時期の4月からを上期、10月からを下期とし、それぞれを2クールに分け新番組の投入をしてきたのがテレビ業界の現状です。
提供スポンサーの獲得を合理的にする手段としても定着されました。
ガンダムもエヴァンゲリオンもそうした業界の常識から逸脱したTVアニメとして放送を開始し静かなブームのままライブラリーでホコリにまみれる道をたどると想われながら視聴者がそれを許さなかったことになります。
己を信じイマジネーションによる創作意欲を失わず、その思いを作品、商品に思う存分ぶつけ情熱を出し切ったことが視聴者へGRPの常識を覆し圧倒的に支持されたことで今も生き続け世界的なTVアニメとしてその存在をゆるぎないものにしたのです。

『機動戦士ガンダム』と『新世紀エヴァンゲリオン』の相違点
ガンダムは、常にメカ系ロボの王座を我がもの顔にしてきました。
その牙城を崩壊さることは不可能のように想われてきました。
モビルスーツというメカ(メカニニカル)ロボに、主人公の少年がコックピットに乗り込み宇宙で戦いヒーローになる話は、過去のヒーローと違い等身大のどこにでもいそうな少年として感情移入しやすく人氣を支える一つの要因になっています。エヴァンゲリオンは、【生体(せいたい)系ロボ】として主人公が乗り込む【初号機】の複雑な生い立ちも含め深淵をのぞかせ、目に見えない領域まで広がり時流に乗りました。エヴァンゲリオンの主人公の少年も、どことなくか弱く自分の世界に閉じこもりがちな、ある意味、時代を映し出し身近な存在として誰でもヒーローになれる『世界に一つだけの花』を彷彿させる要素を魅せました。
エヴァンゲリオンの名前は、「福音」に由来していることから哲学領域までに踏込み視聴者の間で激論まで交わされました。

機械仕掛けのメカ系のガンダムと異なり生体系エヴァンゲリオンであったことが、その差が時代の移り変わりと進化を現わしているのかもしれません。
わずか、60年程度の歴史しかもたいないマンガ・TVアニメは、時代を映しながら今後もさらなる進化をとげ若い世代の想像力の根っこを刺激し、両者を超えるTVアニメ・キャラクターが日本発で誕生する素地が日本にあると信じます。






























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