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コラム「創造力の根っこ」VoL.33(12/31/2011)

「アニメ時代−2」                        鈴木淳平

マンガ・TVアニメ成功法則 第一段階
 マンガからTVアニメまでの成功法則の一貫した流れを再確認しておきます。
マンガ家と出版社・編集部の〔異才能クリエーター集団〕は、連載マンガの読者アンケートのフィードバックをヒントに、マンガの完成度と面白さを連載に活かすことで、購読部数を伸ばし単行本へ発展させ、テレビ化への可能性を拡大させました、オートメーションのような〔スキーム:Scheme〕を創り上げました。
〔マンガ・TVアニメ成功法則 第一段階〕と呼ぶことにします。

 事業計画書と同義語になった計画であるスキームは、マンガ家と出版社に加え、広告代理店が連載マンガと単行本の売れ行きをみて提供スポンサーを獲得しテレビ局の媒体枠を押え、テレビ化が実現します。
高コストのTVアニメをいきなり製作するより、リスクヘッジとしてコンテンツであるマンガの人氣を単行本の売れ行き動向で確認しTVアニメにする常套手段が成功法則になりました。
『鉄腕アトム』がTVアニメとして産声をあげた時から、流れは変わっていません。
TVアニメ導入期に広告代理店が提供スポンサーを近隣業界の、飲料・食品・菓子業界、玩具、文具業界などに求めたことは成功事例になりました。
大勢の人がテレビを観る時代がTVアニメの人氣を押し上げ比例して、提供スポンサーもCMで商品の売れ行きが伸びた時代です。
最大手の媒体枠を独占していた広告代理店に対しTVアニメを主体に扱う広告代理店が頭角を現し、広告代理店の勢力比率を変えるほどマンガ・TVアニメは、社会に大きな影響を与えました。

マンガ家・アニメ家の早期抱え込み
 
現在では、マンガ連載の早い段階から、人氣マンガ家になれば連載前からテレビ化、商品化まで一連の流れが出来上がっていて、さらにマンガの企画段階からビジネスとして〔異才能クリエーター集団〕によってスキーム・案件化されている未来の作品・商品が多くなっています。
また各テレビ局、どこも同じで連ドラまでもがマンガ原作に頼るのが流行りです。
マンガ家・アニメ家を早期に抱え込み事業として確実な収益を期待する手法が成功法則のように標準になりました。
ここに新たなリスクが生まれるのも事実です。
ベルトコンベアーのような流れができていれば売れる作品・商品がポコポコと出来上がるわけではありません。
忘れてならないのは、〔異才能クリエーター集団〕が想像力の根っこをどれだけ活性化させ、受け手側と感動を共有できるかにかっかっています。

1980年前後が、マンガからTVアニメへ急激な成長を遂げた時期でした
 
マスメディアの主流が新聞・ラジオからテレビに代わった時期と、マンガ・TVアニメの急速な拡大は日本独特の復興・成長・繁栄を映し出しました。
1963年、『鉄腕アトム』からの和製TVアニメの歴史は、約半世紀あまりで急激な成長を遂げたことがわかります。
1980年前後は、団塊世代が30歳前後の父母になり、その子供たちの団塊ジュニアがテレビっ子といわれた幼稚園児から小学校低学年に当たります。
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団塊世代からその子どもたちの団塊ジュニア世代が牽引したことが以下の表でも理解できます。
(サラリーマン時代、表にしたものです)
TVアニメは1964年に7番組だったものが76年から82年のTVアニメ黄金期には毎年35本前後と5倍に膨れ上がり団塊ジュニア世代がテレビっ子と言われるようになるくらい右肩上がりのTVアニメ時代になったことがみてとれます。
『母をたずねて三千里』(76年1月、日本アニメーション制作CX:フジTV系列)
『キャンディ・キャンディ』(76年10月、テレビ朝日・東映動画制作、ANB系列)
『あらいぐまラスカル』(77年1月、日本アニメーション制作、CX系列)
『キン肉マン』(83年4月、東映動画制作、NTV系列、鳥山明原作)、などが代表作品・商品の一例で、カラオケでもアニソン人氣の火付け役の一つです。
そして電子ゲーム誕生期(1983年)である任天堂ファミリー・コンピュータこと〔ファミコン〕がマンガ・TVアニメに並行し、景気が絶好調になり消費社会、花盛りな、多様性を迎えた時代であり、バブル期に突入した時期でもありました。
日本特有の人口分布から学べることがたくさんあった時代です。
世界に先駆けて高齢化社会を迎え、少子化による人口の先細りを1980年代に予測していながら団塊ジュニア・ベビーブームは訪れませんでした。
日本全体の消費動向の先細りを、少子化を真っ先に経験した業界がマンガ・TVアニメを主体にした乳幼児から子ども向け商品を扱う業界だったのです。

(TVアニメ時代−3に、つづく)