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「東北地方太平洋沖地震」で大震災に遭われた、
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コラム創造力の根っこ」VoL.24(04/01/2011)

                                鈴木淳平
創造力の根っこの【権利保護】               

『神が降りて語ったメロディ』3部作で音楽アーティストが悩み苦労するのは、ヒット曲のつくり方でした。人間である以上、一度聴いたメロディは美しければ美しいほど印象に残り、脳のどこかに記憶されます。
偶然のように浮んだメロディが実は脳のどこからかタイミングよく浮んできた記憶だったり、悩みに悩んだ末であったり、いとも簡単に〈何かが降りてきて〉出来上がるなど、様々な経験を通し作曲、演奏され世の中を楽しませています。
これは本人の本能的な問題意識である鋭敏な感受性が成せる能力です。
また、盗作したつもりは無くとも出来上がったメロディが「あれぇ、どこかで聴いたことが・・・」と作曲者自身でなく鑑賞するリスナーが感じ取り、懐疑的になり、それを指摘する人も出てくることもあります。
音楽の場合、日本ではジャスラックが著作権管理をし、作曲者、作詞家の【権利保護】をしています。(ネット検索で、何小節までと決まりを理解できます。)
 仕事や授業で〈偶然のように想いついたアイディア〉に対して保護されているかはそれぞれの居合わせた人や受け持つ教育者側のモラルが重要になりますが、創造者としての確かな【権利保護】がされていない可能性も有り、ルール化が必要かもしれません。
たまたまその現場に居合わせて見てしまった、聴いてしまったために〈創造力の根っこ〉が敏感に反応し知らず識らず、似た作品を創造し発表してしまう場合もあります。この場合、表現的には[盗作]になります。
便利でおおらかな言葉に「芸術は模倣なり」が救いのように聴こえることもありますが、金銭が絡むとこれはモラルや哲学だけの問題では済まなくなります。
最善は創造者に事前に「君のアイディアを活用させてもらおうと想うけど、了解してくれるかな」と断りをいれて人としてのふれあいとつながりを重んじることが求められ[紳士協定]と同じでモラルの高い道徳心を示すお手本をみせることです。
万が一、後で[真似][盗作]が発覚した時に第一創造者は、不信感と厳密に言えば被害に遭うことになり訴訟を起こしかねません。
発案者や第一創造者への了解なしに、盗んで特許取得するようなモラルもマナーも無いような人が世の中にはたくさん存在しているものです。
訴訟を起こすことも大事ですが金銭では割り切れない人間の[もろさ][おろかさ]を感じてしまうものです。被害を受けた人は、盗み取った人が反省の無い顔でも、【魂を劣化】させた「かわいそうな人」と思えば心も氣も治まることでしょう。
盗人は[最期]の時までその【良心の呵責】にさいなまれ、人には言えない秘密を抱えたままの人生になります。悲しい、かわいそうな人になってしまいます。
【権利保護】という言葉とその意味の重要性が増してきている人間社会です。
ネット検索で調べれば【権利保護】について詳しく知ることができます。
音楽はジャスラック、著作物は各著作権協会、産業的な利益を生むものは特許庁とそれぞれ【権利保護】の仕方も異なりながらも分りやすく教えてくれます。
 YouTubeの映像や著作物の【権利保護】に関しては無断使用した著作物投稿が多く、問題となり2010年には京都府警察で中学生が初の逮捕者になった事件も起きています。YouTubeに投稿した純粋な著作物への【権利保護】は広告収入で、やんわりと投稿著作者をおさえているのが現状のようです。
(詳しくはサイト検索で検索op約1千万件)

 企業に属する業務から発案、開発、製品化されたLED(発光ダイオード)でも難題だった〈青色LED〉の開発者が会社側に数十億円の訴訟を起こした例も有名です。会社側の減額希望で和解が成立したと記憶します。
また音楽ではノイズ・リダクション・システムで有名な〈ドルビー〉システム、映画『時計じかけのオレンジ』(スタンリー・キューブリック作品1971年公開)、日本では『連合艦隊』(1981年公開)で初使用されたそうで、その開発者ドルビーはその携わった企業を退社し、会社契約の「所属中の開発者の権利は3年間、会社に帰属する」のルールを守り、3年間帰属期限が切れるのをスリランカで待って特許取得した伝説が、まことしやかに伝えられています。
 〈創造力の根っこ〉から偶然でも、「神が降りてきて」でも、人の目や耳、五感を刺激する〈表現物・創造物〉として人目に出すときの取扱について、居合わせる当事者は事前に話し合いでルールを決めておかないと[抜け駆け]で誰かだけが利益を得ることになりかねません。
【権利保護】について〈創造力の根っこ〉を活かそうとする企業人や一般人、学生は自己防衛本能を働かせネットで自主的に情報を得て安心を手中にしなければならない「嫌な時代」なのです。

創造性が枯渇、欠如しコンテンツ不足を招いている現状からして[盗作][真似]は当たり前な世の中です。テレビ出演者が常套手段の同じネタを使い回すのも慣例化され、表現者を自負する立場のものが平気でモラルや人としての基本を犯しても涼しい顔で利益を得ている世の中であることを〈創造力の根っこ〉を大切にしようとする人は記憶し自己防衛を心がけましょう。
〈創造力の根っこ〉が世の中に顔を覗かせるように芽吹く時は、自身の五感と第六感でひらめき、イメージを発案した後に自身の外に表現される状態です。
確実に意識的な[盗作][真似]をする組織や者がいることを覚えておきましょう。

『創造力が失われれば傾く』(P94、『先哲講座』安岡正篤(著)、竹井書房刊)是非とも自身で学んで欲しい重要な【権利保護】です。