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新規連載コラム「創造力の根っこ」開始のお知らせ(03/31/2009)

 4月号より新コラムとして鈴木淳平氏<S51年度卒>の創造力の根っこ」が連載されます。鈴木淳平氏には昨年本学デザイン学科で特別講義を行って頂いております。デザイン・音楽・芸術・・・様々な切り口で「創造力」について語ります。
以下、第一回に先立ちVoL.0として書かれたコラムです。是非ご期待下さい。


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コラム創造力の根っこ」VoL.0

                                鈴木淳平

 はじめに、総合芸術の移り変わりを、、、
総合芸術をテーマに、時代の移り変わりによる、“個人、ひとり”から”異才能の集団活動“による総合芸術のあり方、変化を、"外(そと)"情報として書こうと思いました。
過去に興奮を覚えたリヒャルト・ワグナーやチャールズ・チャップリンなど、"ひとり"で何役もこなす天才総合芸術家の感動の作品を憶い出し、織り交ぜながら、これを書いている私自身の会社が“異才能の集団活動”によるコンテンツなどのOEM主体に多くのキャラクター商品や、映画、芸能人の版権商品、企業CIなどを企画商品化した実績に、それぞれのエピソードを付け加えてと想っていました。

 想いあぐねて、どうやら個人でも異才能の集団でも創造することの本質、根源、資質とか要素など、根本の方は個人の脳や心、魂にあり、こちらの方が先ではないのかと、自己の根元にある、"内(うち)"情報の方が重要ではないのかと、自分なりに感じ、それは"創造力の根っこ"ではないかと思うようになりました。

 創造する時の情報の有り方は"芸術は模倣から"と言われますように、"外"からの情報で刺激され創造するに至ることと、自身の"内"側の、"内"を見つめて内からの湧き出してくる発意とか発奮、創造力と言うエネルギーを、エナジーを、"外"にホトバシリを吐き出すように表現することとの、"外"からと"内"からの二通りに集約されると思います。
感動を覚える"外"側の情報と、"内"である精神性や素養、気質、根本の両方を、"内"と"外"、それぞれにバランスをとりながら、どちらかと言うと"内"寄りの内容を重視して"創造力の根っこ"として書くことにしました。

 "外"からの情報において、"芸術は模倣から"と、これはある意味では、
"温故知新"論語の格言、四文字熟語が、"教え"が、当てはまると思います。
"古きをたずねて新しきを知る。"
過去の偉大なるクリエーターの作品を目にして耳にして、私は圧倒され打ちひしがれて創造する事の根本に自信をなくし、道に迷ったと思った時もありました。
温故知新は、たずね過ぎるとそれはそれで面白いのですけど、あくまでもポジティブにブレイクスルーすべき言葉としてうけとめる"教え"です。
逆の言葉も有ります。(次元は違いますけど)

 "過去にこだわる者は未来を失う"と、保守的になりチャレンジ精神を忘れて、過去の延長線上に未来があって欲しいと願う気持ちです。
これは悪いことではないと想います、しかしクリエーターを目指す、“志”をもつ者は、"温故知新"の"教え"を主体にして、"過去にこだわる者は未来を失う"と言うことを、自分流、わたし的、個人の作品における共通性という点において、"らしさ"の範囲として理解するようにすれば、これもまたポジティブシンキングで、良い"教え"に思えるようになります。
 常識にこだわると創造性や発意、オリジナリティは薄れてしまい、人にも、おのれ自信にも、感動を与えるまでには至らない氣がします。
常識と言う"外"の情報を、知識を、たくさん消化して、物知りになったり、情報通になったり、雑学の大家になったりで、クリエーターになる前に情報の荒波に飲み込まれてしまう可能性もあります。それはそれで評論家の道も有りますから卑下する必要はありません。
"非常識を常識にする"これが創造的であり、進歩であり、経営にも連なる格言であり"教え"です。

 経営の発想とデザイナーの発想、クリエーターの思いは驚くほど似ています。
経営は現実も掌握しなければなりませんし、現場を知らない経営や、現場を忘れた経営は失速しがちですし、また経営はビジョンをもち将来を“有るべき姿”にするように、成功に導かねばなりません。
デザイナーも、クリエーターも未来を現実にする職業ですから現実と言う現場を知らなければ未来も描けない立場です。
"非常識を常識にする"ことは身近な所では商品開発が例としてあげられます。
営業は今売れるものを売場に並べなければなりませんし、消費者に渡さなければなりません、企画開発や、デザイナーは少なくとも数ヶ月から数年先を見て提案しなければなりません。

 必要とされる物でも、また需要を喚起できるものでも技術検証や生産のタイムラグがあり、マジックのようにその場にポーンと直ぐ出せる物ではないからです。
ここが仕事で営業とモメルトコロでもあるわけです。
この世の中、常識で通っている多くのことがらは、この”常識”と言う言葉や意味が、"みんなで渡れば恐くない赤信号"のように、会社ならそこだけの価値観、また社会の体制、時代によって変わる言葉としての"常識"と言う感じがします。
またそれが"常識"だと思います。
"常識"とだけ書けば良いのかも知れませんけど、ややっこしいですから上記のような世間で言う"常識"と、私が思う、私なりに言葉に対するこだわりで本来の"常識"を、"普遍的常識"として区別しておきます。

"普遍的常識"は人間社会で、この世である限り、人間の尊厳を守ると言う意味で変わらない情報であり、法則、ルール、"教え"であると思います。
私にとっては"普遍的常識"で、読む人にとっては"外"の情報になるわけです。
現代は情報化社会として情報を過多に取ったり入ってくる傾向が多過ぎ、その現状が "当たり前視"されている世の中のように思えます。
本当にそんなに頭でっかちになって良いのでしょうか?
情報で頭の中がいっぱいになって、と言ってもセイゼイ13%程度だと言われています。
 情報を手段として"知識"が備わったと誤解したり、自慢したり、それに満足しないで、"知識太り"にならず、効率よく活かして欲しいものです。
"情報とは行動するための知識である"と言う"教え"があります。
行動に必要な情報を得る、それが知識だと思います。
行動することは、目的をもって動き出すことではないでしょうか。
目的にあった、必要な情報は奇跡のように向こうから寄って来る時もあります。
それを経験した人は本物です。
また"考える"と言う言葉も人間の脳の構造を少しかじると"考える"よりも"感じる"と言う方が自然ではないかと想い、極力"考える"を使用しないようにしています。

クリエーターに知っていて欲しい、変わらない"外"なる"普遍的常識"、法則、ルールと、私が経験し識ったことで、勝手ながら多くの人に伝えたい"内"を見つめる”創造力の根っこ"情報とを、自分探し、自分発見に役立てていただければ、参考にしていただければ嬉しいことです。
そして創造の根源である"創造力の根っこ"として価値を見出していただければ私の目的である、過去よりも今、今よりも未来が少しずつでも良くなり、良質の創造物に囲まれ、良き世の中の実現になると思い、少しは達成されると感じる次第です。
"外"なる"普遍的常識"の知識と、"内"なる"創造力の根っこ"の情報との、織り成すバランスが大切ということに落ちつきます。

くれぐれも世間の"常識"としてでは無い事を付け加えておきます。 
さらに付け加えたいのは、また大切なのは、
"目的"と"手段"です。
"外"なる情報は"普遍的常識"に基づく"知識"と言う"目的"を探す手段で、"志"は"創造力の根っこ"から生まれる"目的"だと言っても良いと思います。
志をもつことは、目的と手段をハッキリさせることになります。
偉大なるクリエーター達の作品に感動し、創造物に感激し、"普遍的常識"を識り、
"内"なる自分自身を見つめ何が自分を動かす原動力となるか、エネルギーの元は何なのか、それをハッキリさせることが必要です。
そして"創造力の根っこ"から生まれる"志"をもつことが最も重要だと感じ、氣づくことと思います。


(31/03/2009)







鈴木淳平氏プロフィール

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●1977年:日本大学芸術学部工業デザインコース卒業後、株式会社バンダイ入社、
研究室勤務を経て”ボードゲーム”のゲームデザインから開発、商品化までを担当、RPGの元祖的ゲーム”ドラキュラ””おばけ屋敷””Dr.スランプ アラレちゃん”ゲームなどを世に送り出す。
●1996年:株式会社ジェダイ設立。代表となる。
秋葉原で売れるキャラクター商品のさきがけとなる“限定商品”“シリアルナンバー”などを導入。日本初の3Dクリスタル(レーザー加工)をエヴァンゲリオンで商品化など。
●音楽CDが売れない時代にアニメ主題歌をジャズ風味で音楽CD化、その原案者となる、現在3タイトル9万枚を記録。“アニジャズ”として定着させる。企画から生産、品質管理、輸入、納品までの一貫体制でキャラクター等の版権商品を企画商品化請負業を営む。(生産は現在中国含むアジア中心)



●OEM:
 Original
 Equipment Manufacturing
相手先ブランドで生産することです。歌舞伎で言うところの"黒子(くろご)になりきることで数々のキャクター商品を手がけました。



●CI:
 Corporate Identity
企業ロゴや、マスコットなど。
企業の特徴を現したマークなどです。



●ブレイクスルー:
 Breakthrough
現状打破、未来こう有りたいから今こうすべき、あるべき姿と言ってもよいと思いますそして、今と言う現状を打破すること。