オリンピックは開催都市が、そして国が総力を上げてバックアップすることで、世界のアスリートが集い競うスポーツの祭典だ、といわれる。
今回は、我が国とは地球上の対極になるブラジルの「リオ=Rio de janeiro オリンピック2016」が開催された。南米大陸では初めてで、205ヶ国・地域(国連加盟国は193ヶ国)が参加し史上最多なのだと言う。
28競技、306種目が17日間にわたって行われ、28競技338人が日本の代表としてプライドをかけて戦いに挑んだということになる。
猛暑の日本からはリオはしのぎ易い冬だろう。が、リアルタイムに競技を見るには時差12時間、昼夜まどろみながらのテレビ観戦だった。夜に予選を勝ち上がると、どうしても夜明け頃の決勝戦を観たくなり、眠気まなこでテレビスイッチを入れてしまうという具合に・・・。競泳、柔道、レスリング、バトミントン、卓球、体操、陸上等などに一喜一憂の感動の連続、「頑張れッ!」と、おもわず声援・・・。
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マカラナン競技場での閉会式、その終盤には小池百合子東京都知事が着物姿でステージに登場。5輪旗を受け取るパフオーマンスに左右に数回旗を振ってみせた。
その後、選手たちが入場したスタジアムの床全面に次期開催国としての日の丸がプロジェクションマッピングによって投影され、アニメとゲーム、そして、被災地へお見舞い戴いた感謝の言葉「ありがとう」が、各国言語によって・・・。そして、「SEE YOU IN TOKYO」の文字だった。
場面は一転し、大型スクリーンに北島康介氏からボールを運ぶアニメのキヤラクタ ―が安倍首相に手渡される。閉会式に間に合うようにとスーパーマリオンに変身、4次元の土管を路面に差し込むとリオへ突き抜け、ステージ上の土管からスーパーマリオに扮した安倍首相が現れる・・・。会場がどよめき歓声があがった。短い時間だったが日本の「今」を強く印象付けるものになっていたように思う。リオオリンピックが終わり、寝不足の中でも多くの感動を得、なにかと考えさせられることもが多かったように感じたものだった。特に、日本人としての体力、その体力差を埋めるアイデアは、次回、東京オリンピックへ向けてさらに究められねばならないだろう、と思う。さらに、この後の4年の準備期間を通じて世界に発信される我が国の文化が、受け入れる姿勢が問われることにもなるのだろう。
(2016/9・2記)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・メモ:
マシーンとしての人体――生体の限界を見る
・見えるもの(身体)――人間のカタチ――競技種目によるアスリートのカタチ(構造形状の変化)
運動能力――筋力――肺活量――反射神経――スピード――五体のバランス
・見えないもの――精神Spirit  心Mind――意識――思考――意志――感情の機微――諦めない気持ち
――チームとしての阿吽(あうん)の呼吸
・より速く 走り、泳ぐ――空気、水の抵抗を見る――訓練し磨き上げられた身体の美 移動体のデザインにも関わる空気や水などの性質、その抵抗に対応するスポーツ科学の研究は、その向上には欠かせないものだろう。
優れた競技者を観察し科学的に分析する――常識を疑い、全ての過程を分解・分析し最も効率的で効果的な可能性を列挙する。さらに、自己分析があって走法・泳法の基本的な姿勢が研究体得される。数ミリ、0.01秒を意識した負けない心の練習も繰り返されるのだろう。
最近の陸上競技のメダルを独占するアフリカ系の選手。その走法、動きや体質なども徹底的に解析されたのだという。足首が固くばねのように使っているが、太ももを上げる高さと速さは関係なく、手足よりも体の中心部を意識した走法、生活環境の持久力などが効率的なのだろうと。ところが、400メートルリレーでは、まさかの銀メダル!常識的なバトンパスをアンダーパスにしたアイデアの効果であり、チームの阿吽(あうん)の呼吸――微妙なタイミングと気持を一致させる確実性、その練習を重ねた結果なのだろう。
・勿論、卓球やバトミントンなどのようにラバーやガット面の抵抗による球の変化を生み出し、対戦相手を惑わせる戦術にも密かな研究が繰り返されたのだろう。そんな1球1球の対戦が興味深い。無敵を誇る卓球王国、あの中国チームに一矢報いたと言う日本男女のチームワーク・・・。男子団体は銀メダルに輝き、3人で力を合わせ必死に勝ち取った銅メダルに涙する女子チーム選手・・・。バトミントンの女子ダブルスの決勝戦は最終ゲームまで競り合い、もう絶体絶命か!と観るものをあきらめさせるものだったが、その土壇場、5連続得点を挙げると言う劇的な逆転勝ち・・・。大いに感動した。
・4連覇、確実だろうと考えられていた吉田沙保里選手・・・。当然と考えていた一瞬の油断だろう。ところが、憧れる先輩の言葉を信じて「勝ちたい!と言うおもい」でひたすら戦った後輩たちが夫々に金メダルを勝ち取っていた。
「終わりが「銀」だった・・・」と、落胆する吉田選手・・・。しかし、今後、多くの後輩を育てる指導者としては、これ以上にない良い経験をされたのだと思う・・・。弱者の、敗北者の苦しい気持ちを知ることが出来たのだから・・・。
その後のインタビューに「敗者の気持ちも分かって良かった・・・」と。さらに、次回への挑戦を考えているとも語ってもいた。素晴らしいことだ!
・夢はオリンピックに出ること、金メダルを取ることである。目の前にその夢を実現させた先輩がいる。そんな先輩ですら、毎日必死に練習をしている・・・。日々努力!選手たちに強い動機が生まれるのは当然だろう。メダルに近づくためのメニューをひたすら信じての猛特訓であり、納得できる練習があっての結果なのだろう。それぞれの競技の一挙手一投足に感動!興奮もした。勝負にこだわりながらも考えさせられることの多い観戦だった。 ――間もなくパラリンピックも開催される。

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