・いま話題の藤井少年は4段。数十年のキャリアを積み上げた先輩棋士と対戦して20 連勝だ!その強さの秘密は将棋ソフト・・・!
その研究をはじめたのはおよそ1年前からだと。弱点だといわれていた序盤研究を中 心に活用した。ソフトは1手ごとにどちらが有利かを数値で示すものだが、試行錯誤 を繰り返したのだという。「ただ数値をうのみにしたわけではないので特定の局面を 「判断する力」が磨かれたのだと思う・・・」と。特に、対戦相手の指し手の特徴は 事前に研究したことで連勝につながっているのではとも分析する。スターに対する憧 れと期待感・・・!
小学生が将棋教室を訪れ、藤井4段が学んだという「ソフト」を求めて書店を訪れて いるのだとか。いまは情報技術による変革の渦中にある。未来に生きるためには最終 的に与えられた自らの資質と思考力をもってITツールの有効性を見出して「使う」と いうことが大切なことだろう。

・日本の第一人者だといわれていた水谷選手を下した張本智和少年が日本の代表とし て世界卓球選手権に。世界トップレベルの中国選手を相手に13歳は一歩も引かないラ リーを繰り返していたという驚き!会場を埋める観客を魅了し、ニュースは世界にも 発信されていた。凖々決勝で敗れはしたが貴重な体験だったろう、一層の成長が期待 される怪童だとも・・・。親の期待した空気感は動機としては大きい。2~3歳から 始める練習は楽しく嬉しい!ただ、思うようにいかない口惜しさに泣きじゃくりなが らも決して止めようとはしない負けん気は、何よりの適性というべきなのだろう。
幼児期からの「目で捉える力」は、それぞれの興味が反応した映像をアタマに記録 し、それらのイメージは繰り返す訓練で全身体に刻み込まれた動きとして反応、記憶 されていく。好奇心、集中力、諦めない心であり、負けん気の強い性格が可能性を引 き寄せることにもなる

・黄ばんだ紙面だが、「韓国ブランド、アジアで大躍進」という大見出しが目に入っ た。2003年12月7日の読売新聞からの切り抜きだ。アジア市場を席巻してきた日の丸 家電や音楽ソフトが急激に勢いを失いはじめていた時のもの・・・。
シンガポールの大型家電販売店の店員は「いま消費者には韓国製が受け入れられてい る」という。インテリアデザイナーだというユーザーは、「韓国製の冷蔵庫を8年間 使っているが東南アジアで組み立てた日本製より安いし、品質も良いように感じる」 と。
かつては日本のホームグラウンドともいえたアジアの周辺諸国、2000年頃より韓国の サムスン、LGなどが進出し様相は一変していたのだ。
「日本製と品質は変わらないし、デザインもいい。何より安いからね・・・」と、テ レビの梱包らしい段ボールを担いだ男性は、子供の手を取り嬉しそうにインタビュー に答えていた。どこの国だったかは忘れてしまったが、そのニュースの映像はいまも 私の脳裏にある。誇らしく思っていた品質も、デザインもこの地のユーザには関係な い・・・!
松下電器が「ナショナル」を「パナソニック」ブラウンドに統一。イメージ戦略の再 構築に乗り出し、ブランド力の優劣が企業の価値競争力や収益に影響を及ぼすと日本 勢も巻き返しを期していたのだが・・・。しかし何より、限界を超える低価格競争に 巻き込まれシェアを奪われたことが日本企業の致命傷にも・・・。2016年4月にはシ ヤープが経営の破たんを受けて台湾のホンハイ精密工業の傘下に・・・。
(2017/6・5・)
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メモ:
・「『デザイン・ドリブン・イノベーション』ロベルト・ベルガンティ著による製品 が持つ意味のイノベーションを実現した企業だけが、市場優位に立つ」のだという。 デザイン・ドリブン・イノベーションとは、製品の特徴ではなく「意味」を考え、改 良ではなく「革新的な変化」を探求し、既存のニーズを満足させるのではなく「ビ ジョン」を提案することでイノベーションを追求することである」と。
訳者のまえがきには、ロベルト・ベルガンティによる本書では,このデザイン・ドリ ブン・イノベーションは,市場ニーズに応えていくという漸進的な進歩ではなく,人々 への提案を行うために急進的な変化を促すものと見なしている。言い換えると,ユー ザー志向の「マーケット・プル」から“What(人々がいま使いたいモノ)”を提供する のではなく「テクノロジー・プッシュ」を伴いながら“Why(なぜこれが生活の中に欲 しいのか)”を授けることで「意味」のイノベーションを達成するのである。そうした 意味を創出するのが,まさにデザインの役割となる」のだという。(ハーバード・ビ ジネス出版より刊行の「Design Driven Innovation」の邦訳)

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