モンゴロイドの道 日本人になった祖先たち

親切で勤勉で真面目な日本人と評されてきた反面、国際社会での貢献と存在感は功を奏しているのか?

移民を取らない単一民族を継承しようとしつつ外国人労働者の手を借りなければやっていけないお国事情。

世界の先を行く超高齢化社会に、もがき苦しみ答えを見いだせない現状の本質は日本人氣質というべきか 

 

日本国内で働きたくても働き場からエンゲージされない多くの女性と高齢者の嘆きをよそに、自国よりも高収入が見込めるはずのジャパンドリームを求め来日する外国人労働者への過酷な現状も明るみになり、かつての常識ではやっていけない少子化と超高齢化社会を根源に、多様化する日本社会の価値観の変貌とが日本人氣質を崩壊させ迷走させているのか、夜長な年末年始の長期休暇を利用し現状への直球的な提言よりも婉曲的に感じるかもしれない以下の名著から学び今に活かせればと思います。

われわれ東洋人の遺伝子を彷彿とさせます

『第十の予言』(ジェームズ・レッドフィールド著、角川書店刊、1997年発行)を読み終わった時の懐かしさと忘れかけた何かを感じさせ、陽に当たり木々の葉一枚一枚の端にほとばしる光の粒にエネルギーを感じ生きる美しさ優しさを学び活かそうとする内容が忘却の彼方から蘇ります。東洋哲学を西洋人が知らずしてか悟りに近い境地に書き上げた書籍ではと想えます。

日本人氣質とは

先人たちが世界に東洋を知るきっかけや日本人を知らしめ大いに貢献したと想われ日本人自らが読み直し再認識すべき時に来ている今、代表的な例としてお薦めしたい歴史的書物です。

『学問のすゝめ』、1872年初編。福澤 諭吉(ふくざわ ゆきち、1835年-1901年)著。

『武士道』、1900年 英文初版。新渡戸 稲造(にとべ いなぞう、1862年- 1933年)著。

『茶の本』、1906年英文初版。岡倉 天心(おかくら てんしん、1863年- 1913年)著。

 

『学問のすゝめ』では空理空論よりも実践による日本人の心意氣を説き、『武士道』の文武両道の鍛錬や古代中国の儒教的な倫理である「仁義」や「忠孝」や本来の慎ましく思慮深い謙譲(けんじょう)の心意氣など最も西洋人に理解しがたい部分が表現され、『茶の本』では国際外交の基本ルールである争う前に「まずは茶でも飲み話しましょう」の自然の中で暮らし自然と共存する精神に等しい平和主義に連なります。すべて精神論と片付けないでまずは読み本から学べるところを現状の問題解決に汲み取って欲しいものです。

 

国際社会を築きリードしてきた西洋先進国でアジアの人間論や人生論を説く東洋哲学を先頭に、局所療法といわれる西洋医学も全体療法の東洋医学の経絡(ケイラク)やツボなどの指圧や漢方を取り入れたり、食文化による健康長寿と想われている日本食などの研究を真剣に進めている現状をマスコミでも取り上げられ、

生まれた時から東洋文化に親しんでいるはずの我々日本人が西欧社会から学び直す逆輸入の現象が起きています。鎖国を解かされた明治維新時代の「追いつけ追い越せ」精神が根強く残っている劣等感、列島感(鎖国時代の感覚)の表れではと感じさせます。

 

本来、大多数の日本人が遺伝的にもち養ってきた”おもてなし”精神、親切で勤勉、真面目が懐かしく感じる今日です。日本人の多様化する価値観による生き方や働き方、人との接し方などが変化しています。良い意味での多くの日本人が”自分は自分”をネットやSNSをメディアツールとして発言のチャンスを手に入れ自己主張をインフルエンスさせ個人主義の花盛りをさらに加速させています。裏返せば孤立化した日本人個人、あるいは孤立化させられた多くの日本人がハッキリと見えてきます。本来の日本人氣質はどこへ!

 

日本人氣質は前述の「親切にしてますか?」(連載115)の著書『親切は脳に効く』を読後連想すると、分かち合う「優しさ」、「優しい」は「適者生存」の法則が人類史であり実践してきた日本人氣質になります

現人類とされるホモ・サピエンスにネアンデルタールから入れ替わり人類史の認識になる要因の一つがエネルギーの合理的な消費方法で検証されました。ホモ・サピエンスが集団生活で分け合うことで同じ労力を使わないで済ませ民主主義の礎を築いたのに対し、村社会どまりの同族生活を貫きそれぞれの村が同じ動きをし効率的でなかったネアンデルタールが消滅する原因の一つだったそうです。

親切の同義語には「優しい」、「思いやり」、「おもてなし」などがあり、ネアンデルタールにも適者生存法則はあったはずですが規模と高等さが運命の分かれ道だったようで創作した道具や言語にその差がはっきりしているそうです。ネアンデルタールの一部の遺伝子がホ・モサピエンスの遺伝子に組み込まれている事実を、最初に謙虚にして思慮深い日本の分子生物学者集団が発表し、ここ数年で西洋の学会で西洋人学者が肯定するまでは遠慮し氣を遣う内容になっていた書籍をもっと多くの日本人が読むべきです。

『モンゴロイドの道』、科学朝日編、朝日選書刊、1995年3月25日第1刷発行。

『日本人になった祖先たち』DNAから解明するその多元的構造、篠田 謙一著、NHK出版刊、2002年2月25日第一刷発行。

 

テーマである創造力の根っこ想像力の根っこは「異才能集団」の共同作業として同一目標に向かって互いの得意分野の能力を問題解決に役立て成果を出すことを内包しています。多くの日本製品や創作物が海外でも高い評価を受ける背景には必ず「異才能集団」の活躍があると理解できるはずです。

適者生存の「優しさ」はモノ造りやコト創りの基本であり理念・デザインであるといえます。日本人氣質は工夫することで縄文から弥生の古代から近代史を生き抜いてきました。まさに今その復活、回帰を試み改善すべき時に来ているとご紹介した多くの書籍が本棚や販売倉庫で読まれるのを待っていると感じます。

明るく・元氣に・波動を合わせる…鈴木淳平

 

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