プラスチックの環境問題・・・・連載184 清水敏成 
プラスチックは、いま、最も広く便利に使われている材料の一つだろう。なにしろ、化学的につくり出された素材であり、それまでに様々な「モノ」を作り出していた材料―陶器やガラス、鉄、アルミニュウム、紙、木材、綿布、ゴム、獣皮、羊毛等などに代わり、あるいは、それら材質の部分的な欠陥を補うことで、より理想的な材料として対応してもくれるものだから・・・。硬さや軟らかさをもちながらも、「強度」や「適度な重量」、「思い通りの形」に成型できる。
さらに、「好みの色」で、「透明」にも「不透明」にもなり、「耐水性」、「耐化学性」で、「耐久性」、「防腐性」、「難燃性」までも。さらに、生産のコストパフオーマンスも素晴らしいというのだから、これほど、さまざまな可能性をもった素材はないだろう。「もはや人間世界においては、プラスチックの無い生活は想像すら出来ない!」と、言うことになり、あらゆるモノ、あらゆる場面でも使われてしまうということになる。
しかし、その結果として造り出された「モノ」は、やがて、「ゴミ」として捨てられると広く地球上の海洋、河川、土壌、大気などという様々な環境汚染が引き起こされてしまった。皮肉なことだが、改良されたそれらの材質が、適量、適切な処理能力を超えてしまったのだ。考えるまでもない,自然な土壌の仕組みによっても分解しない特性をもたせたのがプラスチックだからだし、焼却するには800°以上の高温焼却でなければダイオキシンなどの大気汚染にも・・・。
さまざまな理由があって、地球気象の温暖化が確実に進み狂暴化し、いままでに我々が経験したことのない異常豪雨や異常渇水に繋がる現象が引き起こされることになるのだと言われている。

とにかく、科学技術の進展による恩恵の中で際立っているものと言えば、プラスチック製品によって簡便だが、快適な生活が出来上がっているということだろう。
スーパーやドラッグストアー、コンビニ・・・。日常的だが無意識的にも利用されている食品や飲料品などのほとんどがプラスチック製の個別容器に入れられて販売されているし、歯ブラシやコップ、スマホケース、下着、衣服・・・でさえプラスチック製品だ。出前は使い捨ての容器で配達され、ナイフ、フォークすらも直ぐにプラスチックゴミに・・・。
それらは世界の隅々にも波及し、日常的にもプラスチックに囲まれた生き方にもなりつつあるようだ。
しかし、いま、人々の意識はプラスチックにすべてを依存した生活が再考されねばならないだろう、と。プラスチックの改質によって天然素材とはちがうひとつの新しい素材としての可能性は、その有限の資源を効率的に使いながら、使用量を少なくすることを意識したモノづくりであることに努力せねばならない。このことは既に数十年前にも同じ理由から、生産と還元に関わる環境汚染問題が言われており提起され、研究されても来たことだが・・・。原料を石油に依らない植物由来のプラスチック=グリーンプラスチックの可能性を一層、拡大することも急務だろう。勿論、デザイナー活動の問題でもあり、プラスチック問題を含めた「生活世界の在り方」に強い関心をもって取り組まねばならないことだろう。トップダウンの「テーマ」に意を注ぐだけではなく、テーマに連なる広い観点からの「在り方」を思考し、的確な判断・発想をせねばならない。
                            (2018/11・10記)                 
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メモ:
●巨大なジンベイザメが鼻の先をかすめるように悠然と泳ぎまわる、巨大な水槽はプラスチック製、実寸は600ミリの厚みを感じさせないアクリル製。それを可能にしたのは日本の企業「日プラ」の技術だった。世界の水族館の70%を受注しており、中国にある「長隆海洋王国」は2014年の施工。現在までの世界最大の水族館だ!
●どこの博物館だったろうか・・・。「え!あのときに見た石・・・?」 メキシコのピラミッド遺跡の石が展示されており懐かしく、感動もしていた。そっと後ろ側からのぞき込んで見ると、やはり・・・プラスチック製の模擬石だった。「あのピラミッド遺跡の石が、こんなところにあるはずがない!」と、納得したものだったが・・・。

●夢の島は実はかつて、家電、様々なモノ、プラスチックなどを埋めたてた地域・・・。「将来技術的に可能になれば、また掘りおこして原料か燃料にする・・・!」と。「少なくとも我が国の領土が広がるのでは・・・」というジョーク。
いまは、プラスチックゴミもきちんと分別収集されれば、リサイクルされる。が一部は処理やリサイクルされずにゴミとして周辺に捨てられている。また、破損した部分が風で飛ばされて、街路や河川に落ちているマイクロプラスチックは、結構多いのだと。海を漂うプラスチックは多く、海の生物がプラスチック片をエサと誤飲・誤食し、ほぼ全ての個体からプラスチックが見つかっているようだ。また、野生動物の命を脅かし環境を傷つけて消化管がプラスチックで詰まり、傷つけるなどの障害も。拡散してしまったプラスチックの回収は困難で、水鳥の足に絡みついた釣り糸や、ウミガメなど海生生物の体内に蓄積しているのだという報告も多い。
●南氷洋か?船が向かうその先に氷山が見える、そう見えた風景だった!
よく見ると捨てられたごみ袋が海面をプカリプカリと漂っていたのだ。産官学のゴミ問題研究会が東京都の船でごみ投棄場を見学した折のことだ。      
1950年代には高度経済成長期を迎え、国民所得が増加しはじめ、生活は大量生産/大量消費の時代。大量のゴミに少ない清掃工場、焼却能力が追いつかず85パーセントを夢の島に。運び込まれるゴミはそのままに野積みにして満杯に。次の海面区画での投棄、埋め立てが行われていた。「夢の島」は高度経済成長期の負のシンボルでもある。
●プラスチックの環境問題は「使い捨てのプラスチック」を減らしていくだけでも環境汚染を抑えることは可能ではと。アメリカの一部やEU諸国では、レジ袋の禁止や削減が法制化され、日本でも「使い捨てプラスチック」を減らすための取り組みがはじまっている。また、プラスチックでラップする過剰な包装を再考されねばならないし流通の「在り方」を考えることも。

●グリーンプラスチック(=生分解性プラスチック=バイオプラスチック)は、微生物の働きによって分子レベルまで分解、最終的には二酸化炭素と水となって自然界に循環していく性質だ。グリーンプラの生分解度は、国際的に規定された試験方法と定められた基準により審査される。さらに、重金属等の含有物、分解過程(分解中間物)での安全性等の基準をクリアした製品のみが、グリーンプラ・マークをつけることが出来るのだとか。
捨てられても自然に分解される地球にやさしいプラスチックは、ここ数十年にその開発と製品化が活発に進められている。もちろん、デザイナーの更なるアイデア、ユニークさが求められることだ!

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