influencer

デジタル社会の多様性に応えた新しい情報拡散の担い手であるインフルエンサーに注目が集まっています。

紙媒体の限界と画像・映像の濃密情報がダイレクトに見れる時代の趨勢を感じさせます。

ユーチューブ、ツイッター、インスタグラムなどソーシャルメディアのデジタル社会の稼ぎ頭の一つ。

インフルエンサーが新しい情報発信の在り方を証明しスポンサー企業の妥当な対価で浸透し始めました。

 

インフルエンス

今年のインフルエンザ(influenza)はパンデミック(pandemic:世界流行)並みで苦しんだ人々を想うと本来の意味の影響を通り超しその猛威は感染と言われるゆえんで特に子どもへの感染は辛いものでした。創造力の根っこコラムでも最初から人から人へ伝播する感動経験や創作による相互共感などで取り扱っているキーワードのひとつとしてインフルエンス(influence)の表現を多用してきました。インフルエンサーとは影響者あるいはスピーカーといわれる情報を拡散させる発信者を指すともいえネットでブログ利用者が急増した辺りから言われ始めました。インフルエンサーは主体である情報発信者で影響力をもつ人を意味します。

 

子どもインフルエンサー

「モーサテが見た近未来ニッポン」(Newsモーニングサテライト、テレビ東京3月29日放送)で、世界の子どもインフルエンサーについて興味深い放送がありこの数年で急激に情報発信の多様性を実現し誰でもが発信源になれるネットのソーシャルメディアを世界的に実現したことを裏付けていました。

日本の子どもインフルエンサー

日本の子どもインフルエンサーと広告主になるクライアントをつなぐ情報を提供する会社ではチャンネル登録者数が1000人を超える子どもインフルエンサーは400人程いるとしています。ビジネスモデルとしては子どもインフルエンサ―が投稿するYouTubeやツイッター、インスタグラムなどの1案件画像に再生回数掛ける1視聴単価3円で、例えばフォロワー3万人x単価3円=報酬額9万円になる計算です。1週に1本投稿すれば1か月で36万円の収入を得られる計算になり、もはや就職しないでただひたすらユーチューバーとして生計を成り立たせたくなる例として注目です。大人になってなりたい職種のアンケートでユーチューバーが上位に入るほどですが、つい最近のハレンチな事件も再生回数を増やしたいがため渋谷の駅前で前代未聞の不祥事を起こした女性などがニュースで取り上げられ、なりふりかまわず視聴回数を増やす目的が社会的な問題の続出を示唆しています。日本では13歳未満はSNSのアカウントを作ることができないので子どもインフルエンサーのほとんどは保護者が運営していて家庭という点では円満な景色が見え比例して収入もアップするというパーソナル・ビジネスモデルです。

世界の子どもインフルエンサー

米国サンフランシスコに住む少女はTHIS SHIRT FREES SLAVE(このシャツは奴隷解放)と大きくプリントされたTシャツを着てレモネード売りをしている1枚の写真をツイッターにアップしたことで拡散され世界中から共感の声が届き、1年間で3000万円以上の募金が集まりこれをきっかけに2012年レモネードのオリジナルブランドを立ち上げ米国中で販売、2年間で数十億円を売り上げ5%を子どもの奴隷問題に取り組む支援団体に寄付した成功例が世界標準として記憶に残る快挙です。放送によれば世界で一番稼いでいる子どもインフルエンサーは12億円だそうで年間なのか毎月なのかは言及していませんでしたが日本の一般サラリーマンの生涯賃金を遥かに超え数倍であることは確かです。

 

紙媒体のインフルエンサー対デジタルのインフルエンサー

米国では21世紀になって画像・動画などインターネットとスマホの普及で紙媒体(ペーパー)である新聞の売上が激減し地方の新聞社が廃刊に追い込まれテレビ局も全米3大ネットワークに淘汰され、ますますペーパーへの情報依存が薄らぐ中でペーパーによる歴史へのアバキが復活する背景を描いた注目すべき映画が3月30日に日本で公開されました。映画『ペンタゴン・ペーパーズ(原題The Pentagon Papers)THE POST』がネット社会の現在で注目されるのは監督スティーブン・スピルバーグと初共演したアカデミー賞受賞常連の女優メリル・ストリープと初めて共演したトム・ハンクスの異色のハリウッド映画です。ニクソン大統領を退陣に追いやったウォーターゲート事件につらなり21世紀の「パナマ・ペーパーズ」へと受け継がれていると推測でき米国の正義を魅せられました。新聞による紙媒体がインフルエンサーとして活躍した時代を描いた作品だったと言えます。この映画によるインフルエンスは、ワシントン・ポストの経営陣の英断を描いているだけに現在のトランプ大統領が「フェイクニュース」と揶揄する新聞社ワシントン・ポストなどが代表する紙媒体・ニュースペーパー対トランプ大統領が直接情報発信できるデジタル社会のSNSソーシャルメディアの生き残りをかけた闘いと世代交代なのか共存なのか混在する現実の中にあって近い未来、あるべき姿を映画として再現したかったのではと深読みし過ぎてしまう鑑賞者が続出するのを狙っていると感じさせます。

因みにワシントンポストはAmazon.com の共同創設者でありCEO、取締役会長、社長がジェフリー・P・ベゾス(Jeffrey Preston Bezos)で2013年にワシントン・ポストを買収しオーナーになっていました。現在の米国でトランプ大統領に何かにつけ目を付けられている現実のリアルな世界が映画の中に生々しい姿で潜んでいると想わされる映画でした。

 

純粋無垢な子どもを主役にしたインフルエンサーと大人を主体にした紙媒体のインフルエンサーとを比較すれば将来を担う子どもインフルエンサーにほほえみのまなざしで期待を感じながら5月5日の子どもの日がいつの時代にも祝われて清く正しい感性を感染させてほしいインフルエンサーです。(2018年4月1日)

 

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