■OBの仕事・作品紹介

□藤木 元さん<ソニー>(S59年度卒)からの報告。

藤木さんは日本大学芸術学部美術学科工業デザイン専攻卒業後ソニーに入社しオーディオ、TVのデザインをされて来ました。藤木さんの仕事=作品の一部を御覧下さい。

尚、藤木さんは先日の「第3回日芸ID-OBデザインフォーラム」にも参加されました。
当日の様子の中の学生との談話写真をご覧下さい

●FH-P33D について(ヨーロッパ向け)
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この製品は1995年5月からデザイン作業を開始しました。
事業部のリクエストは、小型コンポでW デッキ(カセットテープ)搭載のモデルをデザインして欲しいというものでした。当時、CDが全盛でソニーの小型コンポの主流がシングルカセット になり、よりコンパクトな方向に向かっていたので、下支えモデルとしてラインナップしたいというものでした。
そこで、セットの約半分の面積をカセット蓋を1枚にしてW デッキらしさを軽 減し、窓を太平洋に沈む夕日をモチーフにしてW カセットの印象だけもたせて、新しいコンポのイメージに仕上げました (FH-P11)。このセットが好評だったことからスーパーウーハーと小型スピーカーによるモ デルが追加されました(FH-P33D)。
この商品は、色々な場所で聞けるようにスピーカーの向きを自由に変えられる というもので、最適な方向にスピーカーを向ける事ができます。ウーハーもセットと同じ大きさにして出来るだけ小さくまとめました。正面の ブルーのリング状のネットで開口率を下げる事で低音を出せる効果を持たせています。

●LISSAシリーズについて
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この製品は1998年5月からデザイン作業を開始しました。
事業部のリクエストは、機器間の接続を i-LINKケーブル1本で行うという新 しいオーディオシリーズを立ち上げたいという物でした。
そこで、従来のパネル+筐体という構成をやめるというコンセプトでデザインを始めました。
また、ヨーロッパのインテリアや生活風景をイメージして花瓶や絵などと共存 していけるいようにメカらしさを排除することを心がけました。その結果、アルミ絞りの筐体を上 下にサンドしたデザインになりました。当時はまだ静電スイッチの技術があまり発展していなくて実現出来ませんでしたが、モックの段階ではもっとシンプルでスイッチが少ないデザインでした。
日本向けもソニースタイルから限定で発売されました。

●WEシリーズについて
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この製品は2002年1月からデザイン作業を開始しました。
当時、リアプロジェクションTV(RPJTV)はエンジンと呼ばれる光学部 品 と 画 面部を出来るだけコンパクトにまとめたTの形をしていました(KDF-60 HD800)。
発売当時はかなりインパクトのあるデザインでしたが、液晶パネルや PDPな ど の平面ディスプレイの普及にともなって画面部以外にも物量があるRPJTVは古いイメージになってきました。
そこで。1枚の板の上に画面が浮いているイメージでデザインしまし た。画面下のローレット状のグラデーション部は光学エンジンを極力見せない効果のための物で、奥行きのあるハンディを打ち消そうと考 えたアイデアでした。また画面下の部分を全てランプカバーにすることで部品点数を削減することが 出来ました。

●XBR シリーズについて
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この製品は2002年7月からデザイン作業を開始しました。
RPJTVのイメージを一新しようという社長コンペがあり、WEシリーズのデザイ ンで考えた光学エンジンを極力見せないアイデアをベースに、円弧状の壁の前に画面が浮遊し、その間から音が出てく るというイメージで、大型画面と音の関係をデザインしました。
光学エンジンの位置や角度を新しく設計してもらう事で、このデザインが完成 しました。またセットの端を薄く見せることで平面パネル感を出しています。70インチ の物量感のわりには軽く見えていると思います。
これ以降のソニーのRPJTVの基本的なデザインの方向性(光学エンジンを極力 見せない=袴レスデザイン)
を決めたモデルになりました。ペデスタルと呼ばれる転倒防止のパーツがありますが、このモデルではスタン ドに装着すると、ペデスタルを引っ込めることが出来、スタンドとの一体感を出す事ができました。

●SXRD QUALIA006/について
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この製品は2003年2月からデザイン作業を開始しました。
イメージは、フレームにより板感を強調し画面を浮かせ、全体をパネルとして 見せることにより薄さを強調しています。高画質な商品ということで70インチの画面以外をなるべくみせないようにフ レームなどを逆テーパーでデザインしています。
またアメリカの市場からのリクエストに答えて、スピーカーを取り外せるよう にしました。
取り外した後も美しくなるようにデザインしてあります。
スピーカーと本体の間に透明アクリルをデザインし、その間から後ろの壁が見 えることで製品とインテリアとの境を軽くみせる工夫(環境調和)をしました。
開発期間が長く、後にデザインを始めたXSとシリーズ感を出すために、最初の モックからは多少イメージが変化しました。

●XSシリーズについて
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この製品は、2003年6月からデザイン作業を開始しました。
画質と音質向上でベーシックモデルとの差別化をテーマにデザインを考えまし た。そこでスピーカーと本体との間に空間をもうけてセットの厚みを薄く感じる効果と画面まわりを軽く感じさせる効果を狙っています。
フレームをデザインすることで、ミラーカバー(リアケース)とフロントをセ パレートして見せる事で、平面パネル感を強調しています。
スピーカーを張り出したことにより、かなり横に回りこまないと製品の厚みを 実感するこが出来ません。
スピーカーは着脱出来ませんが、環境調和という意味で本体とスピーカーの間に空間をもうけてチャンネルなどのスイッチをデザインしてあります。

●Gシリーズについて
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この製品は、2004年1月からデザイン作業を開始しました。
GシリーズはXSをSXRD化してデザインイメージはキープしたものです。
違いはフレームが円弧からストレート(上面図)になりランプ交換が正面からサイドになったことで、正面に蓋がなくなったことぐらいで、よりシンプルな方向にチェンジ出来ました。

 

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