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■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 35(8/31/2006)
「臨月を迎えて」
妊娠10ヶ月目に入りました。出産予定日の前3週間、後2週間を正産期というらしく、もういつ産まれてもおかしくない状態です。このコラムを書いている今、お産が始まっても、もう大丈夫です。
たくさんの人に支えられてここまで来ました。辛かったこともあったけど、ひとつひとつを乗り越えてこられたのも支えてくれた人たちのお陰。
感謝しています。
ギリギリまで思う存分仕事をし、やりたいことをやって、行きたいところに行って、妊娠期間を有意義に過ごすことができました。
うれしかったのは、そんな私を見た周りの女性から「マッシーを見てると妊婦になるのもいいかなって思う。」といってもらえたこと。
妊婦は確かに大変だし、辛かったり苦しかったりすることもあるけれど、それ以上に、日々変化していく自分の体と向き合いながら生活する楽しさの方が大きいように思います。丈夫な体に産んでくれた親にも感謝です。
もうすぐ妊婦が終わってしまうのが少しさびしい気もします。でもそれ以上に大変で楽しい生活が待っているんだと思います。
コラムでいい報告が出来るように頑張ってきますね!

2006.8.31.
増子瑞穂
■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 34(7/31/2006)
「マタニティマーク」
前回のコラムの後、たくさんの方に励ましのメールをいただきました。ありがとうございます。お陰さまで妊婦生活も9ヶ月に入りました。
さて、タイムリーな話題ですが、8月1日から一部の鉄道で「マタニティマーク」なるものが無料で配布されることになったそうです。先日ヤフーのトピックスにもあがっていたので気づいた方もいらっしゃるかもしれません。
妊産婦であることを示すもので、妊娠中と周りが気づきにくい妊娠初期の人、またお腹が目立ちにくい人への理解と協力を求めるキーホルダーです。
取り組みとしてはいいことだと思うのですが、ここで大切になってくるのはマスコミの対応です。新聞、雑誌、テレビ、ラジオ。特に私が関わっているテレビの対応には注目しています。
このような妊婦であるキーホルダーやストラップは以前からあるのです。
しかし、知る機会がないのが現状です。私も妊婦になって初めて、マタニティ雑誌などで目にする事が増え知りました。知らない人にとってはただのキャラクターストラップになってしまいます。車の若葉マークのような認知度になるにはマスコミの取り上げ方にかかってくると思います。マタニティ雑誌や育児番組でいくら取り上げても効果は期待できません。いかに広く世間に知れわたらせる方法や演出をとることが出来るかどうかがキーになってくると思います。
8月1日、マスコミがどのようにとりあげるのか、鉄道各社はどのように配布するのか、どれだけの人に認識されるか、注目しています。
ちょっといい話をひとつ。
ある日、夜7時くらいのこと。仕事帰りの電車でのことです。いつもならすわれるタイミングで並んでいたのですが、日に日にのろのろしているのでしょう。その日はみるみるうちに席がうまってしまい、座りそびれてしまいました。
しかし、こんなことはもう慣れっこ。連結部分の手すりだけはゲットし、網棚にバッグを載せ、仁王立ちして発車に備えていました。すると私の肩を叩く人が。厚い眼鏡をかけた50代くらいの男性です。「こちらが空いていますよ。」と言います。その場所は私が立っていた連結付近から5メートル程離れた一般の座席です。男性は自分のカバンを座席に置き、私を誘導しに来てくれたのです。
男性は梅雨の蒸し暑い中、左手だけに厚手の手袋をしていました。ケガをしているのか、何か障害があるのか、理由はわかりません。気にしてはいけないのかもしれないのですがその手袋が記憶に残りました。私はお礼を言ってご好意に甘えました。
それから数週間後、同じような時間帯の電車に乗りました。
その日は運良く座ることができました。ふと、向かい側に背を向けて立っている男性の左手に目がいきました。厚手の手袋。離れた場所からわざわざ席を譲りに来てくれた男性です。注意深く観察しましたが、まちがいありません。どうしようか考えましたが、私は電車を降りるとき思い切って声をかけました。「先日はありがとうございました。お陰さまで順調です。」と。すると男性は一瞬何のことかわからないようなびっくりしたような顔をしましたが、次の瞬間「あぁ!どういたしまして。」と笑顔になりました。電車を降りてからも窓越しにお互い一礼して別れました。男性を乗せた電車は下り方面に走っていきました。
私が仕事を続けるのもあと1週間足らずです。あの男性に会うことはもうないかもしれません。でもこんな出会いができるのも妊婦ならではと思いました。
2006.7.31
増子瑞穂

●マタニティマーク

●最寄り駅に貼られたポスター。
こんなにさりげなく貼られても足を止める人はほとんどいない。
■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 33(6/30/2006)
「車内での出来事」
ここに書くべきかどうか迷ったんですけど、これも妊婦だからこその体験だと思うので記しておくことにします。
先日、山手線での出来事です。
妊娠もまもなく8ヶ月になるころ、日に日に腹は大きくなり、よろよろ歩く日々が続いていました。
その日も仕事のため、朝9:50分頃池袋駅から山手線に乗ろうとしていました。
ホームに着くともう電車は止まっていて、ドアが開いていましたが時間調整で停車していたようです。ゆっくりと乗ろうとしたところ、丁度ベルがなりました。
すると後ろから50代後半くらいの女性が、駆け込んで来て私にぶつかるようにして乗り込みました。幸いドアの手すりにつかまり、転倒することはありませんでしたが、一瞬ヒヤッとしました。
中年女性は悪びれる様子もなく「あらあらごめんなさいねぇ。」とニコニコ顔。
わたしは思わず、「危ないですよ。」とつとめて冷静にたしなめるように言いました。
すると、その中年女性は「突き飛ばしたわけじゃないじゃいのよっ!」と逆上。
他の人も駆け込んでる、だの、こっちも忙しい、だの、明らかに理不尽なことを口走り始めたのです。
こちらは妊婦であり、足元がおぼつかないし、ましてや後ろから押されたら危ないことこの上ないこともきちんと説明したのですが、逆上した中年女性にはもう聴く耳はありません。自分の行動を正当化しようと必死です。
最初は対応していたのですが、そのうちばかばかしくなってきたというか、相手にするのもストレスになってきたので、ほうっておくことにしたところ、ますます中年女性は逆上し一人で話し続けています。
聞けば、「自分も足が悪く大変な思いをすることがよくあるけど、席を譲ってもらえることはそうそうない。体が弱い人もがんばっているんだから少しぶつけられたくらいで文句を言うな。」との内容。
(この際、足が悪くても駆け込み乗車ができるのかという問題は置いておく事にします。)
この女性がこういう考え方になってしまったのも、電車で大変な思いを重ねてきてしまったからなのかな、と気の毒に思えてきました。もっとやさしい世の中なら、この人もこうはならなかっただろうにと。
前々回のコラムでも優先席について触れ、一般の人が座る座らないは自由と書かせていただきましたが、やはり、必要のない人は座るべきではないと思いました。
あの席はやはり、必要としている人のために開けておくべき場所なのだと。
しかし、今の状態「おゆずりください」や「みなさまのやさしいお気づかいを」などの表示やデザインでは無理なのだと思います。
例えば映画館の椅子のように普段は折りたたまれていて座れないようになっており、表示も「一般の方は座らないでください!」などといった強いものにするとか。
外国で子供を産んだ友人の話では、小学校から、体の不自由な人、妊婦などの対応を教育するそうです。なので、子供でもそういった場面になると、ドアを開けてくれたり、席を譲ってくれたりするそうです。
日本も子供に英語などを学ばせる前に、教えるべきことがあるのではと話していました。
さて、その中年女性のその後ですが、散々一人で騒いだあげく、今度は仲介に入ってくれたサラリーマンに逆上し始め、電車を降りていきました。なんともトホホな話です。
しかし、私が妊婦と仕事を両立させられるのもあと1ヶ月。日々起こるドラマを貴重な体験ととらえつつ今日も電車に揺られています。
2006.6.30
増子瑞穂
■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 32(5/31/2006)
「怖いものだらけ」
妊婦生活も7ヶ月目に入りました。
日々、笑える体型になっていきます。もとに戻るんだろうか。
前回のコラムで電車内での体験をお話しましたが、妊婦になって初めて思ったことがまだあります。
世の中怖いものだらけということです。
それは通勤時にしばしば体験します。
まず、駅の階段が怖い!
私が住んでいる西武池袋線のとある駅にはエレベーターもエスカレーターもなく、階段しかありません。
それもそうとう急勾配の43段です。段の奥行きも狭く、足を踏み外しそうになります。
以前、マッシー通信連載9「はじめての日本」で、駅のエレベーター問題について書かせて頂きました。 体が不自由だったり、ベビーカーを押していたりしている方のためのエレベーターがなぜ、わかりづらい場所に設置されているのかという内容です。(詳しくは「チャレンジ」のバックナンバーをご覧ください。)しかし、私がこれから体験するであろうハードルは遥かに高いようです。
わかりづらいどころか、ないんですもの!
反対口にはエレベーターもエスカレーターも設置されています。
しかし、それを利用するには、まず開かずの踏み切りを待って、渡って、ホームひとつ分また歩いて、乗る、という手間と時間がかかります。妊婦のうちはまだいいのですが、ベビーカーを押すようになると、とても運べるような階段ではないのできっと反対側に行くしかないんだろうな。と考えながら日々手すりだけを頼りに恐怖の43階段をのぼりおりしています。
あ、階段をおりているときに後ろから携帯メールしながらおりてくるのはやめてくださいね。恐怖心をあおります。
次に人ごみが怖い!
いまさらですが、東京は人が多いですね。
JRと地下鉄と私鉄の乗り換えフロアなどは、前から後ろから斜めから人が来ていつぶつかるのではないかとヒヤヒヤします。
そんな人ごみのなかで特筆すべき怖さを発揮するのが、サラリーマンがよく持っているショルダータイプのカバンです。このカバンの肩掛けのひもを、ダランと床すれすれに垂らしたまま歩いている人をよく見かけます。このひもに足をとられそうになります。この状況に階段が加わるとなお怖い!うしろからハサミで切っちゃおうかななんて考えます。肩にかけない場合はシートベルトのように自動的に縮むとかできないものかなぁ。
そして、歩きタバコが怖い!
タバコが妊婦によくないことはご存知ですよね。本人の喫煙はもちろん周囲の喫煙も、乳幼児突然死症候群(SIDS)と関わりが深いことがわかっています。なので、なるべく喫煙所は避けて通るようにしているのですが、歩きタバコとなると避けようがありません。気がつくとどこからかけむたい空気。前方10メートルほどのところに目をやると歩きタバコをする人。慌てて追い越そうとするのですがなにぶん走れなくなっているため、歩みをおそめて避けるしかないこともしばしばあります。
タバコを吸う吸わないは個人の自由なので全く構いませんが、歩きタバコはけむりを垂れ流しながら歩いているということを忘れないでほしいものです。
歩きタバコをされている方、気をつけてください。後ろから妊婦が日傘で殴りかかろうとしているかもしれませんよ。
2006.5.31
増子瑞穂
■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 31(4/29/2006)
「先ず、優しさを思う席」
ようやく暖かくなってきましたね。今年は例年になく大活躍したダウンともしばしお別れです。
さて、私、9月に出産する事になりました。現在妊娠6ヶ月です。
お陰さまで体はすこぶる快調で、仕事は7月いっぱいまで続ける予定です。
とはいえ、初体験の「つわり」というやつは辛かった。私も妊娠するまで知識がほとんどなかったのですが、妊娠というのは最初の2、3ヶ月が一番辛いのです。まだまだお腹が目立たず周囲から見て、妊婦とわからない頃。症状は様々らしいのですが、私の場合は地味な二日酔いが延々続く感じ。でも人によっては一日中寝こまなければならず、時には入院が必要な場合も!幸い私は仕事を続けられる程度でした。実は日芸の卒展の企画のあたりが丁度それにあたっていて、結構辛かったのですが、学生パワーをいただきなんとか乗り越えられました。協力してくれた皆さん本当にありがとう!
妊婦になってから日々の中でこれまで体験しなかった事に遭遇します。それは電車で席を譲られるということ。何年前からか、電車やバスの「シルバーシート」は「優先席」と名前を変え、お年寄りのためのものから、他にも妊娠している人や乳幼児をつれている人、けがをしている人のための席になりました。
実際妊婦になってみてこの理由がよくわかります。
妊娠中頃になってお腹が目立つようになると、周囲が気を使ってなるべく安静にさせがちなのですが、これは少しちがいます。5ヶ月を過ぎて安定期に入ると妊婦は体力をつける意味でも太り過ぎを防ぐ意味でも結構体を動かした方がいいのです。(もちろん順調な妊婦の場合ですが。)ですから、私も会社の中ではなるべく階段を使ったりちょっとした用を見つけて立ったり座ったりしています。
でもそれは安全が確保されている場所での話。電車の中では、大きく揺れたり、急ブレーキがかかったりと、はずみでお腹をぶつけてしまう恐れがあります。なので電車ではなるべく座るようにしたほうがいいと思っています。そんなときに「優先席」の存在はとてもありがたいのです。目の前で座っていた人がスッと席を譲ってくれる事も多くなりました。席と一緒に優しさももらった気がしてとてもうれしくなります。
しかし、そうではない場合も。どう見ても健康的な、若い人や中年が平気な顔をして優先席に座っているのもよく見かけます。音楽で完全に周囲の音を遮断していたり、本を読みふけっていたり、熟睡していたり。先日などはお年寄りが、さらにお年寄りに席を譲っているのを目撃してしまいました。周囲に譲るべき人材は沢山いたのに。あいている優先席に座るか座らないかは人それぞれの考え方があると思います。妊娠前の考え方は座らない派でしたが、もし座るのであれば、席を必要としている人がいないかどうか常に気を配りながら座るのが望ましいのでは、と思っています。明らかにどこぞの企業とわかるバッチをつけて熟睡しているサラリーマンを見ると、景気回復なんてまだまだ先だなと思ったりします。
ほんの少しの気配りで仕事はなりたっていますから。それでも、優先席に限らず席を譲ってくれる人はたくさんいます。サラリーマン、若い女性、様々です。感謝しながらこの経験を何かに生かせないかと日々考えています。
ひとつだけ、提案があります。少なくとも、優先席で熟睡してしまうのはやめませんか。人としてみっともないし、そこから何も始まらない気がします。春爛漫で、電車に揺られてついウトウトって気持ちいいんで
すけどね。
2006.4.29 みどりの日
増子瑞穂
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