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『ブータン王国からの帰国報告』(11/2/2002) 青年海外協力隊(JOCV)参加報告〜

佐藤 夏織さん(H8年度卒)

青年海外協力隊(JOCV)は、国際協力事業団の中の事業です。自分の知識や技術を生かし、開発途上国とその人々のために貢献したいという意欲さえあれば20歳から39歳までの方が参加できます。

2年前、私は図学隊員としてヒマラヤ山脈のふもと、ブータン王国に赴任しました。ブータンの存在はワールドカップの最下位決戦で知った方も多いと思います。1999年にインターネットとテレビ放送が同時に始まり、発展しているかのようですが自分たちを「2周遅れのランナー」と呼び、「急がない発展を望んでいる」非常にユニークな政策を持つ国です。しかし、GNPは最低に近く、極貧国のひとつです。私は、首都の中心から4km離れた郊外にある「WOOD CRAFT CENTRE(家具製造センター)」で製図知識「図学」を指導し、AUTOCAD2000を使った家具設計図の電子化、家具カタログのデザイン・編集をカウンターパート2名とともに行っていました。業務は英語と片言の公用語(ブータン語にあたるゾンカ語)でスタッフの製図知識を統一するために、ワークショップを開催したり、疑問に答えるために現場まで潜り込んだり、私にとっても大いに学ぶところがありました。

デンマークのODAによって立ち上げられた産業育成プロジェクトで設立されたセンターは豊富に産出される木材を使った欧風家具と意匠を凝らした伝統家具を主に製造しています。北欧風家具はすでにデンマーク人によって定番が確立されていたので、私の2年分の業務計画は主に伝統家具の図面化・電子化が中心になりました。
相手の国をまず理解することは国際理解の第一歩だと思います。業務を進める前に、ルールというか基本として入れておくべき知識が沢山ありました。ブータンの場合は国教である仏教にゆかりのある伝統意匠でした。伝統意匠は、必ず使わなくてはならない法律があり、建築基準法もあるぐらいです。しかし、家具や伝統意匠の図面はほとんど現存しておらず(保管する概念がなかったので)、伝統家具にいたっては、もともとないという有様で、まずは現物の実測から始めることになったのです。実測してみて感じたのは、家具のサイズがデンマーク仕様のままであったこと。爪先立ちで椅子に座る大臣を新聞でみて、規格サイズの早急な整備の必要性を感じました。日本人とまったく同じ体型であったので、新しいデザインに日本から持っていった佐々木先生人間工学資料がとても役にたちました。

赴任して3日後に、「デザイナーはいらない」と言われて、かなり誤解をもたれていたようですが、伝統との共存を彼らと一緒に考えることが活動をスムーズにしたと考えています。デザイナーとしてキャリアが短い分、私は「協力隊」という選択をとりました。人生の早いうちに、もっと別の切り口でデザインを見たかったし、国際協力というまったく違う分野から発見できるモノがあると考えたからです。基礎さえしっかりしていれば、後は応用です。経験は人を強くすると思います。何かに行き詰ったら参加してみるのをお勧めします。語学力もおまけについてお得です。

2年の活動はあっという間で、成果がでた項目もありましたし、納得のいかない終わり方をした項目もありました。俗に協力隊の成果がでるのは10年後といわれています。もともとブータン意匠に興味をもち、もっと学んで見たいので、将来も付き合っていけるような仕事の形を探している最中です。

■写真解説(作品)
伝統家具
デリーにあるブータン大使館に納品された高僧の椅子。伝統意匠が彫刻された木のパネルをふんだんに使いました。

セキュリティカウンター
王宮に出入りする人をチェックする近衛兵が常駐するカウンター。入城するひとはここでIDカードを預けなくてはならないので、内部にカード保管のラックが入っています。

王宮入り口
画面左手のパーティションの裏にカウンターがあります。王宮は行政と宗教の総括が半分ずつ使っています。国王以外の大臣などが出入りする入り口になっています。

以上です。青年海外協力隊(JOCV)に興味のある方はどうぞ御連絡下さい。

佐藤 夏織
KAORI SATO
langjopakha@yahoo.co.jp
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