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「2030年」のデザイン活動 (8/30/2006)

               加藤 均(S47年度卒)本田技研工業

 最近のマスコミのニュースを見ていると、環境問題のニュースが無い日が珍しい時代になりました。今回は環境問題をグローバルな視点で将来予測をしながら、これからのデザイン活動について考えてみたいと思います。

■1:レスターブラウン氏の意見
レスターブラウン氏は米地球政策研究所理事長(元ワールドウオッチ研究所所属)で環境問題の研究者として“世界的な大御所”として大変有名な方です。最近、日本の某大手新聞がレスターブラウン氏の環境問題レポートを掲載しました。主に中国に焦点をあてています。現在好調な中国経済が年8%で成長を続けた場合を想定しています。

■2: 2030年予測
レスターブラウン氏のレポートのポイントは、第1の視点として「中国の好調な経済発展が仮に2031年まで続いた場合、現在の全世界穀物消費量の2/3が必要になる」。第2の視点は「2031年に中国の車の保有率が、アメリカ並(4人で3台)になれば、現在の全世界の原油生産量が必要になる」。この予測を元に「世界は地球的規模で課題解決に向けた努力が必要である」としています。
とてもわかりやすく明快な文章です。しかし、このレポート、よく読んでみると、少し“不思議な感じ”もします。それは、人口13億人の中国の経済発展を基本にしてますが、アジアではインド経済も好調で、成長率が5〜8%です。現在10億人の人口も、2030年には中国を抜いて世界NO−1の人口になると言われています。同じアジアでもASEAN諸国も経済が好調で人口は5億人を超えてます。ブラジルも好調、産油国も好調・・・・・・世界最強の先進国アメリカでも人口は増え続け、経済も堅調です。アメリカは移民に寛大な歴史がありますので、2030年は3億人を超えると予測されています。
私の手前勝手な解釈では、「中国だけをみてもわかるような状況ですから、他のアジアの国々や世界を見れば予測がつく。また、自国の“世界的影響力”を配慮して意図的に書かなかった」と思います。

■3:グローバル視点
中国だけでなく、インドを含めた全世界的な視野で見た場合、レスターブラウン氏の2030年予測をまたずに、“ある種の大ショック”(「第1次オイルショック=1973年」のような出来事)が訪れると見たほうが妥当だと思います。急激にではなく、徐々に来る可能性も充分にあります。
実際の予測は経済変動・戦争・気象変動などの要因もあり、正確な予測は大変難しいのですが、最も厳しい予測では「2012年説」があります。もう少し余裕をみると「2016年説」という案も考えられます。この予測が仮に“当たり”ますと、後10年で“大ショック”(&段階的ショック)がくることになります。

■4:豊かさとは
以前、TVで中国の地方政府高官が日本TV記者のインタビユーで、「豊かさ」について答えています。この高官は「欧米や日本の市民は、高価な家電製品や自動車がもてるようになった。中国人も早く持てるようになりたい・・・・・・・」との発言でした。とても“正直”な意見と思います。また、この発言は多少の考え方やニュアンスの違いはあっても、中国に限らず、インドでもASEAN諸国でもブラジルでも世界共通だと思います。つまり、政治・宗教・人種が違っても、ほぼ同じ発想になると思います。

■5:日本的豊かさ
日本的豊かさを考える時、自動車産業の視点から見てみましょう。かつては世界最強の自動車大国はアメリカでした(今でも強いが・・・・)。敗戦国日本は、貧しさもあり、アメリカの豊かさに大いに憧れました。でも、日本は国土が狭い、道路の整備率も低い、資源もない、豊かさも違う(庶民はそれほど豊かではなかった)・・・・・結果、日本的な発想の自動車を考えました。
当時のアメリカ車は5m以上の全長にV8気筒の巨大エンジン=6000ccの乗用車でした。これに対して、日本人は3m+αの短い全長と、1000ccクラスの小さなエンジンの車を主力車種としました。結果として、高燃費省資源型の車でした。この日本的な考え方の基本は、豊かになり大型車を製造できる時代になっても、決して小型車開発には手を抜かずに力を入れてきたのです。
現在のような原油高騰時代の米国では、日本製の小型車、小型ハイブリット車(超省燃費車)が大変売れしてます。時代が変わりましたが、GM・FORDのアメリカ巨大自動車企業は従来型の大型車にこだわったため、業績不振が続いています。
つまり、自動車という欧米発祥の文化を、日本の歴史・伝統・風土などに合わせて、日本流にアレンジ(小型高効率型化)し、普及させ、“伝統”として堅持した。これがまさに「クールな日本」だと私は思っています。
もちろん日本の自動車産業が理想的で完璧だと言っているわけではありません。環境的視点に立てば、無公害車=電気自動車・ソーラー自動車・燃料電池車などの開発。リサイクル100%の車の開発(ゴミが出ない!)。リユース部品活用の活性化。リサイクル材料の大幅採用車などなど、限られた時間の中で達成しなければならない課題は山ほどあります。
また、車が生活に必要なアメリカと違い、日本や欧州先進国では市民の価値観変化などもあり、車の売れ行きは横バイ傾向なので、ビジネスとしての厳しさが増しています。

■6:デザイン活動
現在の工業デザイン活動の基本は、鉄・アルミ・ガラス・繊維・材木・石油などが、豊富に安く大量に手に入ることを大前提に考えられています。これが大きく崩れる可能があるのです。特に石油から作る樹脂類は未知数の部分が大きいですね。
現在、日本製の古紙や使用済ペットボトルは、“国際資源”として海外バイヤーの“高価入札”が起きています。
未来は「超限定資源時代」「超高価資源時代」が起きる可能性があります。このような時代がくれば、“鼻つまみ”だった、巨大ゴミ埋めたて地=例:夢の島(東京臨海部)が“金鉱脈”として、大きくもてはやされる時代がくるかもしれません。
価値感や発想が大逆転する時代になる可能性があります。このような時代になった時、必要なセンスはまさに、「クールな日本」です。「日本的クールデザイン=日本的発想の環境デザイン」を未来デザインのコアコンセプトとして新たに確立することを求められる時代と思います。
限られた資源を認識して最大の価値と効率をデザインする。具体的には、長寿命商品。リサイクルしやすい商品開発。リユース可能なデザイン。リサイクルチップを使った商品開発などなど・・・・・。リサイクルチップを使った新デザイン商品を“クールでかっこいい”思わせる活動も大事です。“世界語”となりつつある「もったいない」の精神も大変重要です。

■7:今後に向けて
最近のNUDNを読んで知りましたが、今回、学部・研究室の大変な努力で、定員100名に増員したデンザイ科が出来たことは大変喜ばしいことと思います。悲願達成ですね。私もOBとして自分のことのように喜んでいます。
また、過去にNUDNに寄贈した時、手前勝手な意見ゆえ、OBや学生の皆様より、厳しい感想などを想定していましたが、予想外の方(日大に関係ない方)より、丁寧なお褒めの言葉などを頂き、大変感激しました。それと同時にNUDNが幅広い読者を持ち、日芸&工業デザインのPR活動に大きく貢献していることが、自分自身が寄贈してみて、初めて知ることが出来ました。
今回の増員を機会に、将来は工業デザインコースの中に「環境デザインコース」などが出来るとうれしいですね。単なる環境デザインの視点だけでなく、視野の広い「地球的価値感」なども勉強できるといいですね。
また、総合大学の利点を活かし、学内の環境技術と環境デザインの融合のような活動が出来ることを期待してます。

尚:私個人の勝手な意見ゆえ、みなさまからの反論・感想などがあると思いますので、下記にメールをお寄せ下されば幸いです。

(下記添付資料=写真を参考にしてください)2006.08.30
・環境NPO:Eco Smart:加藤 均
・Eメール:yta114@yahoo.co.jp
・URL:http://ecosmart.web.infoseek.co.jp/e

■下記は参考写真です(日本の強さは「優秀な自動車〜自転車まで」ですね!)

●アメリカ車(大型乗用)
●ホンダ小型車(ハイブリット仕様もあり)

●アメリカ車(ライトトラック)
※あまり知られていませんが、アメリカ市場の50%前後が通称「ライトトラック(大型バンも含む)」
 と言われるカテゴリーの車です。

●トヨタ車(小型ハイブリット車

●ホンダのバイク
※Hondaスーパーカブは、1958年以来の継続販売車。時速30Kmの定速で走れば130km/1L走ります。

●ヤマハの電動自転車
※ガソリンが“300円/1L”以上にでもなれば、電動自転車=ヤマハPASなどが大ブレークする時代になるかも!





「デザイン分野の産学協同研究」(1/31/2006)

             加藤 均(S47年度卒)本田技研工業

2006年、環境NPO:Eco Smartを設立して早いもので3年目に入りました。現役サラリーマンのため活動は休日中心で、インターネットで環境問題に視点をあてた“主張と提案”からスタートしました。活動していく中で、環境問題の解決策は幅広く存在することがわかりました。環境問題の解決!と言うと堅く難しいイメージがありますが、身近な行動としては、家で「電気をこまめに消す」「水道の水を出しっぱなしにしない」など、手軽に誰でも簡単に実践できます。

■1「企業の環境研究」
企業がどのように取り組んでいるか!を直接知りたいと思い、環境展示会などによく出かけました。会場には、各企業のブースがたくさんあり、真剣に取り組んでいる姿がありました。環境問題はテーマによりますが、内容が地味な分野と華やかな分野とがあり、注目度に大きな開きがあります。そんな中、各企業のブースで説明員と話してみた結果、彼等の悩みが浮かび上がってきました。つまり環境ビジネスを狙った企業研究も、どちらかといえば技術優先で進められているため、試作品にデザインが考慮されず、消費者からみてインパクトが低いのです。大手企業は「デザイナーがいても、自分の環境研究に自社のデザイナーを投入できるとは限らない」との意見も出ました。また中小企業などは、「自社にデザイナーがいないから」、また「研究費節約のためデザインに手が回らない」などの意見もありました。

■2「大学の環境活動」
展示会は企業展示ブースが中心ですが、各大学で環境問題に関心のある大学がゼミ単位でブースを出していました。それぞれの大学のブースで、彼等の主張を聞きながら、いろいろ話し合ってみました。大学のブースはどちらかと言えば環境理論が中心で、実践的取り組みは少ないようです。その中で慶応大学が、地域の子ども達とゴミ拾いをしたり、子ども環境教室を開いていたのが印象的でした。
私の地元横浜(港北ニュータウン)でも、武蔵工業大学が地域の学校や環境NPOと連携して活動しています。結果、地域住民は活動内容を知っています。武蔵工業大学は環境情報学部があり、学部を挙げて地域と連携活動を推進しているからです。地域住民にも感謝され、学生からも“大変有意義”との意見がたくさんでています。

■3「新規事業の視点」
たくさんある展示会の中で、環境やIT分野を新規事業として取り組んでいる企業や大学の展示会がありました。各企業とても意欲的なのに感心しました。今は有名なIT企業も、最初はこのような展示会の小さなブースから始めたのだろうと思いました。
この中に、日大芸術学部工業デザイン科の肥田教授と産学協同研究を成功させた、近畿大学大学院ロボット研究チームの小さなブースがありました。私がブースをのぞいて声をかけてみました。すると、すぐにこちらの考え方に賛同してくれ、合意を得ました。技術優先の近畿大学チームと、デザイン力のある日大工業デザイン科チームが力を合わせて魅了的なロボットを作るプロジェクトです。最近完成したロボット(写真参照)は、デザイン方面の展示会にも出され、「日芸工業デザイン科の名をPRするのに大いに役だった」と聞きました。また、このような学と学のプロジェクトは担当教授の能力や人柄も大きく影響しますので、中心となった日芸工業デザイン科の肥田教授の人柄・センスが成功の隠れた大きな要因と思います。

■4「東京モーターショー」
東京モーターショーで、各企業・大学の展示ブースを見た時もっとも印象に残ったのは、慶応大学が環境貢献を大きくPRしている電気自動車「エリーカ」のブースでした(写真参照)。この展示は群を抜いていると思います。その理由は日本最大の展示会「東京モーターショー」に過去も含め2度展示しているからです。 「東京モーターショー」は“おばけイベント”で、世界中の自動車業界VIPの来場だけでなく、自動車関連企業から専門家がたくさん集まります。「環境展が日本を代表するビックイベントに成長してきた!」と言われていますが、それでも期間中の来場者は最大でも15万人レベルです。東京モーターショーは140〜150万人と一桁違うレベルです。その超ビックイベントの中で、慶応大学だけが専用ブースを設けて電気自動車を展示しているのです。研究テーマ(電気自動車)と慶応大学のブランド力が相乗して大人気でした。30社の協賛企業の力も大変大きいと思います。余談ですが、慶応大学環境情報学部の女子学生が専用のコンパニオン制服を着てずらりと並べ、別の意味でPR効果抜群です。

■5「慶応大学産学協同研究」
この慶応大学の電気自動車「エリーカ」の産学協同研究のスタイルは、他大学と違うところがあります。基本形態は「大学+民間企業」で特徴はないのですが、大学の研究代表が2名いることが大きな特徴です。それは、ハード中心の「技術担当教授」と、ソフト中心の「民間企業に長く勤めた文系教授」(民間企業との橋渡しや電気自動車のビジネス性を研究する)で推進しています。このスタイルは大変な威力を発揮する!と言われてました。なぜか?それは私個人が製造業勤務だからよく分かるのです。“物作り”には、開発・製造・販売の各分野の叡智結集しなければ商品化は難しいです(単なる技術研究やデザイン研究だけなら必要なし)。慶応大学の開発研究形態は、うまくポイントを踏まえた方式です。ちなみに、90年代アメリカのシリコンバレーで起こった「大ITブーム=大成功」も、優秀なエンジニアのアイデアに、経営の専門家や投資家が参入して推進したので大成功しました。“この方式”は定番化されています。

■6「最近の傾向」
話題の多かった産学協同研究も一定の時間が経過し、変化の兆しが出てきました。展示会などで各企業担当者と話しあってみると、ブームとしての産学協同研究は終わり、企業側が明快な結果を求めるようになりました。別の言い方すれば、結果の出せない大学との産学協同研究は求めない姿です。この民間企業の傾向をどう評価するか!は別にして現実の姿のようです。
最新のNUDN(2005・12・30)に掲載されているように、「デザイン系大学ランキング」における日芸工業デザイン科の成績は大変すばらしいものがあります。清水教授・肥田教授などの教授陣の大健闘、学生のコンペ受賞・展示会出展・産学協同研究の大成功・・・・・・など日頃の関係者の努力の結果です。OBとして大変うれしく思っています。

■7「今後の提案」
私なりに過去1年の活動の結果として、日芸工業デザイン科の更なる大発展をめざした一つの提案をしたいと思います。それは、工業デザイン科単独の共同研究方式(ロボットデザインを中心大きな実績を出している)とは別に、「オール日大の力を結集したプロジェクト」を日大本部に働きかけることです。
テーマはいろいろ考えられますが、日大が伝統的に乗物系に強いので自動車を薦めます。具体的には「ソーラー乗用車の産学協同研究」です。理由は、外部からエネルギー供給が必要な電気自動車に対し、エネルギーの自己完結型であるソーラー乗用車が総合的に良いと判断しました。もちろん環境にも大変良いです。理工学部と工業デザイン科を中心に経営学科など総合大学日大の良さを最大限に生かすシステムです。産学協同研究ですから、外部企業も必要です。また、OBもボランティアで積極的に応援するスタイルです。

■8「最後に」
日芸工業デザイン科の先生で、日大理工学部・桑沢デザイン研究所・イリノイ工科大学を出て、GE社チーフデザイナーからの役員まで上りつめた故岡田朋二先生は、「工業デザインは総合力が必要なので、総合大学で勉強した方が、すばらしいデザイナーがうまれる!」が持論でした。私は、この言葉を実社会に出てはじめて理解しました。この岡田見解を、もっとも明快に実践しているのが慶応大学の産学協同研究「エリーカ」なのです。工業デザイン科まである日大の総合力を最大限に生かした「産学協同研究:日大ソーラー乗用車研究」をスタートさせ、2010年までに実車完成まで到達させたいものです。かつての「理工学の人力飛行機」は日大の看板でした。その技術蓄積から風力発電機のベンチャー企業が生まれました・・・・・・。工業デザイン科が加わることで、それに負けないくらいの成果の多い「継続的な産学協同研究」にしたいものです。

研究室・学生・OBのみなさまの更なる活躍を期待して最後の挨拶にしたいと思います。
尚:私個人の勝手な意見ゆえ、みなさまからの反論・感想などがあると思いますので、下記にアドレスにお寄せ下さい。
2006.01.19

・環境NPO:Eco Smart:加藤 均
・Eメール:yta114@yahoo.co.jp
・URL:http://ecosmart.web.infoseek.co.jp/e

日芸工業デザイン科のデザインで大好評だったロボット君

● ロボットは日芸工業デザイン科と近畿大学大学院の産学協同研究


東京モータショー2005に出品した慶応大学電気自動車「エリーカ」

●16名いる専属コンパニオンは全て慶応大学の学生!




■2005年「もっと活躍します!」(12/25/2004)

             加藤 均(S47年度卒)本田技研工業

●2004年の活動を振り返って

昨年から始めた環境NPO:Eco Smartは、大きく2つの目標を掲げました。
1:最大目標はホームページによる「Eco Smart流」環境問題のPRです。始めたばかりの無名団体のヒット数は、年間300〜500と言われる中6000を超え、大成功でした。これは友好的な大学や他のNPOが、善意でリンク集に掲載してくれたおかげでした。あらためてお礼申しあげます。
2:次は“アナログ的環境実践”です。主に、新環境商品の実現を目指して、企業と大学の「産学協同研究」の橋渡しをしました。数社橋渡しをしましたが、お互いの思惑と条件が充分に合わず、やや足踏み状態です。この方式の難しさを実感しました。
また、「横浜カーフリーデー2004」の参加です。有意義なイベントでしたが、仕事が忙しくパネル参加のみとなり、やや残念な結果となりました。

2005年の目標
昨年同様、Eco Smart精神「ゆっくりがんばろう」が基本ですね。ホームページが軌道にのったことから、今年は「地域活動(横浜)」を最大テーマと考えています。
1:地域活動、具体的には 「横浜カーフリーデー2005」の参加です。 その中でEco Smart発の具体案の実現と、イベントへの直接参加を目指します。また、地域活動で、交流の輪を広げ、その中から新しい活動テーマも見つけたいと考えています。
2:昨年からの「環境商品産学研究」の実現(1件以上)を目標とします。企業だけでなく、新規大学の開拓も視野に入れます。
3:ホームページヒット件数で、目標値:12000〜15000と、初の5桁実現を目指します。
以上3点を主要テーマとして活動して行きます。また、みなさまからご好評の最新情報欄も順次追加します。よろしくお願いします。

■最新情報:ビートたけしと「東京芸大横浜進出」

今回のニュースは大変大きな話題となりました。この話題には私なりに思うとこがたくさんあります!まず、東京芸大という官学系芸術大が、ビートたけしという映像学を全く勉強してないが、大変な才能のある、“おもしろ芸人”を、専攻長兼務の教授=最重要ポストにつけたことです。見方によれば革命的な人選です。いくら国際芸術祭に立派な成績を残したとしても、芸術系学歴社会の頂点に立つ東京芸大が指名したことは大変画期的なことです(ビートたけしは明治大学中退)。
じつは、私はビートたけしの人選以上にビックリしたのが、あの芸大が明治以来の伝統ある上野を出て、横浜に進出したことにあります。この決定の詳細は公表されてませんが、6つの視点が考えられます

.6つの視点
1:横浜には歴史的遺産・文化的遺産がたくさんあり、上野や東京とは違う刺激がうけられる。
2:横浜市の未来ビジョンに“横浜ハリウッド構想”(正式には文化芸術都市構想)があります。自治体としては明確な未来目標で、映像分野に大変な力を入れています。そのコアとなるのが映像系大学の進出と思います。
3:私も横浜でNPO活動をしているから分かるのですが、早くから撮影などに協力的なNPO団体(有名)があり、市街地での映画・TV撮影時の手続きを代行してくれます。そのため、関係者には大変評判が良いようです。(市街地撮影は、警察や自治体などに許可手続きがあり、大変面倒な作業と言われています)
私の住んでいる港北ニュータウン(横浜)でも、新しく近代的な空間や建物がたくさんあり、“巨大スタジオ”と呼ばれるくらい撮影が多く行われています。
4:横浜市は“横浜ハリウッド構想”に合わせて、芸術系大学誘致に大変力を入れてました。その条件の一つとして、市内中心部にある文化の香り高い歴史的建造物を改造して、安く提供することが決まっています。
5:横浜には以前からフランス映画祭があり、映像文化の発展に力を入れてます。まだ3回目ですが、横浜学生映画祭なども始まっています。11月に行われた横浜学生映画祭には、有力ゲストが多数出席したようですが、芸術系大学の中で唯一芸大教授の姿がありました。
6:率直に言って、映像系大学院を上野に創っては、明治以来の芸大の伝統に束縛され、従来のカラを破る大胆な改革や斬新な表現ができにくい!とう事情があると思います。
また、ただ単に場所がなかった!との見方もありますが、横浜以外に芸大のホームグランドである東京都の台東区が立候補していましたから、大方の予測を裏切って横浜進出となりました。

.アメリカの大成功
これを、別の視点でみますと、90年代アメリカの大ITブームを思いだします。この大成功要因は、たくさん語られ、定番化されてますが、再度要点をまとめてみます。
・シリコンバレーという特定地域(自治体)がコアになった。
・シリコンバレーにあるスタンフォード大学が中心になり、企業家を支援した。もちろんIT起業を狙う学生もたくさん集まりました。政府も大学に補助金を出したと聞いています。スタンフォード大学は、起業を志す技術者に経営のアドバイス。また、技術者の専門外技術分野のアドバイスもしました。
・起業した人に対して、資金援助するアントレプレナーなども沢山集まりました。
・もちろん、たくさんのNPOが、多方面かの支援を行いました。起業に対する専門的な支援とは別に、国内や海外から初めてシリコンバレーにくる起業家に対して、生活情報・地域情報・専門情報などを中心に、地味だが大変ありがたい支援もたくさんしたようです。
結果、大学・自治体・NPO・民間投資家などが、予想以上のシナジー効果を発揮し、大発展する素地をつくり上げました。それまで、一般の日本人にはハーバート大学は知っていても、スタンフォード大学を知らなかったのが、一躍有名になり、日本人の誰でも知っているアメリカの超一流大学となったようです。
一時の派手なITブームは終わりましたが、この活動の延長としてマイクロソフト・MAC・DELL・オラクル・サン・・・・・・・など世界的なIT企業がたくさんうまれたのです。創業者は現在でも、みな40代の若さです。IT産業はアメリカ経済の中心となっています。
つまり、90年代アメリカの大ITブームの要因は、起業家・自治体・大学・NPOを含めた関係者が一体になって活動したことにあります。

.石原知事の構想
東京都の石原知事も産業振興分野で、新しい取り組みをしようとしているようです。石原知事は東京の中小企業の技術力を高く評価しています。特に今生き残っている中小企業は、平成大不況を切り抜けた企業達ですから、特定分野で強い技術力があると思います。ただ、それだけでは今後生き残れないとも考えているようです。その結果、中小企業の未来を考えると、一つの答えが出ると思います。
必要なことは、自前の高い技術力を活かしながら、“有力な商品を産み出す力”にあります。それは、自前技術+他の技術+デザイン(商品企画も含め)で、恒久的な“有力商品開発システム”をつくることにあると考えているようです。これを実現するには、シリコンバレーの大成功と同様、複数の団体や機関が協力しないと、実現しないでしょう。もちろんコアとなる大学が必要になります。
だから、東京都立大を首都東京大学に大改革するとき、技術分野の産学協同研究に力をいれようとしているようです。そして、いずれは、工業デザイン科なども新設して、都内中小企業の優秀な技術+他の優秀な技術(大学発!)+工業デザインの組み合わせよるシナジー効果期待しているようです(すばらしい商品がどんどん生まれる!)。
また、都知事の強い意志で計画が進んでいる新銀行構想ですが、実現したときには、優秀な新商品企画には融資もつくでしょう。

.新天地の新学部
大学改革で大成功した慶応大学改革の最大ポイントは、新しい理念の新学部(環境情報学部・総合政策学部=SFC)を、既存キャンパスから離れた所に、あえて造ったことにあります。以前SFCの関係者から直接内緒で聞いた話ですが、「やはり三田(東京)では伝統的な保守派の力が大変強く、新しいことにトライできないため」と言ってました。でも結果として、SFCの大成功に刺激され、既存の学部も大学改革の波が広がって“改革の慶応”の名声を得たことになります。外からみると、芸大の横浜進出も同じスタイルに見えます。

.今後の方向性
以上の例から、未来型産業活性化プランのポイントは、大学・企業・自治体・NPO・投資家などによる連携プレーをコアにしたやり方が、現時点では最良と思います。そのコアは「特定大学と特定自治体の“結婚”」でしょう。
今後、デザイン分野での、大学(特定大学)と自治体(横浜市)の“結婚”が望まれます。
その理由、今までの環境商品は技術優先でした(私が現場の人たちと意見交換したところ、「技術はできたが商品展開が苦手で苦戦中」の企業が多かった)。今後は消費者向け商品(デザインが大変重要)に力を入れることで、環境分野の更なる広がりができると思うからです。
Eco Smartは小さな環境NPOですが、実現に向けて、多少なりとも応援していきたいと思っています。

独断と偏見による手前勝手な意見をたくさん書いてしまいましたが、反論も含め、皆様のご意見をお待ちしています。

・環境NPO:Eco Smart Life Japan
・理事長:加藤均
・Eメール:yta114@yahoo.co.jp
http://ecosmart.web.infoseek.co.jp/e

★尚、同文は上記URLホームページにも掲載されています。




『製造業の未来とデザイン活動』

加藤 均(S47年度卒)本田技研工業

みなさまご存知のように、日本の製造業は今大きな転換期にきていると思います。戦後、日本の製造業は、持ち前のバイタリティーで立ち直りました。その中でも自動車産業の成長は目覚しいものがあります。自動車産業は戦後50年、欧米先進諸国のビックメーカー (ベンツやGMなど)をモデルに、追いつけ、追い越せを“密かな合言葉”にがんばってきた時代でもあります。 それは、他の製造業も基本的に同じ流れだと思います。この事実は結果から見れば、“大変幸福な時代”であったと思います。なぜか! それはひたすら“追う立場でがんばる”というワンパターンの企業活動で通用する時代だったからです。これを別視点で見た場合、“苦境”の始まりでもありました。つまり、自分の会社や業界が本格的に、「追われる立場、追われてもガードしながら成長する」時代を想定して戦略を立て、素早く実行する“体質”がなかなか身につかなかったからです。

■自転車業界
上記の問題意識に対して、まず自転車業界を調査してみました。業界は戦後長きにわたり繁栄を謳歌してきました。日本で開発生産し日本人に販売して利益がでる。まことにありがたい時代が長く続きました。しかし、1980年代から台湾製激安自転車の輸入が始まり、その後、みなさまご存知のように中国製激安自転車が大量に輸入され販売されまし た。結果はなんと1000万台の販売台数の内、600万台が中国を中心とする輸入自転車になってしまったのです。 ここ10年たらずで激変しました。この問題に対して自転車業界は“アジアの実力を軽視”して十分な対応をしてこなかったからです。また商品構成のグレードUPも、十分なブランド戦略もなされていなかったため、急遽対応しても消 費者が動きませんでした。ヒアリングをした専門家のご意見では、現状では、「独立企業として、長期で生き残る企業は3社くらい」という辛口のご意見でした。

■家電業界
では家電業界はどうでしょう。一時期「家電の優等生」と言われマスコミを賑わした某家電中堅企業は独立した会社としてやっていくのが大変厳しくなりました。大変残念なことです。これについて、専門家のご意見では、複数の原因がありますが、ポイントは最初に自転車業界と同じように、アジア諸国に低コスト部品を求めて進出したことです。その後、力をつけたアジアの部品企業が、簡単な家電商品を自力で開発生産し、それを“激安”で販売してきた。そのためと、この会社のような低価格商品が中心企業は大変苦しくなったということです。この傾向は程度の差こそあれ、家電業界全体に共通しています。

■優良企業
次に、日本を代表する優良企業である世界的エレクトロニクス企業の場合、大変好調で過去最高の決算を計上しています。しかし、この企業の社長は大変な危機感を抱いています。その原因は2点ほどあります。その一つは、主力商品のカメラや複写機が、中国を中心としたアジアの国々に真似され、市場を奪われるかもしれないという恐怖です。もう一つは、先端技術商品もアメリカなどでは政府と民間の共同研究があります。この場合、他国の民間企業が簡単に参入できないシステムになっています。(有力先端技術の自国内企業への囲いこみです)。これが大きく広がると、先端商品でビジネスすることが難しくなるという事です。
以上3つの事例でわかるように、日本の製造業は国際的に上から抑えられ、下からは猛烈な勢いで追い上げられ、中間で出口がみつかず、大騒ぎしている姿が浮かびあがります。今までの日本の製造業が経験したことがない状況です。また、最初で説明したように長い間、現在のような状況を想定して動く“体質”が身につかなったということです。

■消費者の変化
時代の流れと共に、消費者の意識も大きく変化しました。それは激安自転車(ブランドもない商品)に代表されるように、「9800円ぐらいなら、多少粗雑な商品でも買う」 「1年間壊れないで乗れればよい」「盗まれても安い商品だから警察に届けないでまた買う」というような大きな意識の変化です。つまり日本商品の最大の特徴である“品質神話”がくずれだしてきたことです。過去の日本人の価値観から考えると大変な変化です。この変化が他の商品にも広がると大変なことになります。これとは別にもう一つの大きな変化があります。これもみなさんご存知のように消費の2極化傾向です。“平成大不況”と言われる時代に、欧米一流ブランド品は売れに売れています。最も代表的なルイ・ビトンは右肩上がりの成長をとげ、その中でも日本売上比率は実に全世界の50%と言われています。こうしてみると、多くの日本の製造業の商品は欧米一流ブランド品なみの訴求力はなく、中国製の激安商品ほどの価格競争力もないという事実です。経営が絶好調の本田技研も、一部のバイクを除いては安価〜中級品の企業です。「自動車産業は自転車や家電のにの前にはならない」との意見も結構あります。私も簡単に追いつかれるビジネスではないと思います。しかし、だれかが保証してくれるものではありません。自転車業界関係者のヒアリングでわかったことは、「自分の業界は大丈夫」と言う意識が不幸を招いた事実です。

■今後の対応策
いろいろ心配な状況がたくさんある中、日本の製造業は未来に向かって具体的にどのように動けばよいのか!

世界の好調企業を、よき事例として参考にすれば「3つの案」が考えられる。
●その1:「価格競争力をつける」日本ではユニクロの成功例があります。アメリカでは、デル・コンピューター社のPC事例があります。
●その2:「世界NO1&世界の一流品を目指す」具体的にはキャノンの高級カメラがあります。シマノの自転車部品もあります(自転車業界でこの一社だけが好調です)。だれもが知っているベンツの乗用車があります。
●その3:「独創的な商品で勝負する」日本では日清のカップヌードルがあります。富士写真のレンズ付きフィルムがあります。ソニーのプレステもあります。イギリスのダイソンの掃除機も大変有名です(社長のダイソン氏はデザイナー出身)。→「その3」は私が個人的に最も関心がある分野!

■結論
戦後の50年をデザイン活動の視点でみれば、“普通のデザイナー”にとって大変良き時代だった思います。大きな流れで見た場合、デザインや商品が特に優れていなくとも、造ればなんとか売れた時代でした。しかし、この良き時代は終わった! と私は考えています。
次の時代の日本の製造業は、今まで以上に、アイデアも含めた高度なデザイン、魅力的なデザインのみが、市場で評価され、売れる時代に移行すると思います。

本文は紙面の関係上、ダイジェスト版ですませました。
今後は在校生・研究室・OBのみなさんが、私くしの勝手な意見に惑わされず、有益なデザイン活動をされることを願っています。

辛口の反論も含め皆様のご意見をおまちしています。

加藤 均 E-mail:michi_b.b23@livedoor.com

★加藤さんのレポートに対するコメント(清水敏成教授/S36年度卒)が寄稿されています。
 是非御覧下さい。